オバラ:長谷川さん、本日は「新卒採用の現実」をテーマにお話をお伺いさせていただければと思います。
IT人材の獲得を目指す企業の多くは、大手求人サイト経由ではなく、自社独自の経路で採用をし始めていると聞きました。学生に企業側から声をかける「ダイレクトリクルーティング」を採用する企業が増えているそうですが、本当ですか?
長谷川優さん(以下、長谷川さん):本当です。事実、一般的とされていた「一括採用」が壊れつつあります。
学生のみなさんも「3月の時点で内定が出ている」といった話を耳にすることがあると思います。優秀な学生の中には、一般的な就活とは別路線で動き、2〜3年生の時点で事実上の内定を獲得している人も少なくありません。
大嶋泰斗(以下、大嶋):企業はどのようにして、優秀な学生たちにアプローチしているのでしょうか?
長谷川さん:短期、中期を問わないインターシップや、ハッカソンといったイベントにてITスキルを持った学生との接触を図っています。動き出しが早い企業では、1年生の時点でアプローチをしている企業もありますね。
オバラ:そんなに早いんですね…。企業からすると、ハッカソンでビジネスの「いろは」を知っている学生や、長期インターンで実務経験を積んでいる学生は、やはり魅力的なのでしょうか?
長谷川さん:実務経験があり、スキルを持った状態で入社してもらえると理想的です。
経験がない状態で働くとなると、まず最初に「研修」が必要になります。仮に研修期間が3ヶ月だとすると、その分費用がかかります。もし研修を外注していたら、その費用に加え給与が発生しますよね。そうしたコストがなく、さらに入社後の活躍がイメージできている学生は、どう考えても魅力的です。
オバラ:なるほどですね。現在は売り手市場(有効求人倍率が高い)ですが、そうはいっても実務経験がある学生の方が有利であると。今後、長期インターン経験はますます重要になりそうですね。
長谷川さん:おっしゃる通りですね。長期インターン経験者が魅力的な点として、「ミスマッチが生まれにくい」ということも挙げられます。
入社間もない学生さんの中には、「なんとなくの就職活動」をしてしまったために、自分が入社する企業をそもそも深く知らないケースがあるんです。すると、早々に転職を考えてしまいます。
長期インターン経験者は、就職前に企業で働く経験があるので、「会社に合うか」をしっかり考えた上で就活をする傾向にあります。ある意味での“社会人経験”があるため、リテラシーが高く、「なんとなくの就職活動」を避けるのです。
大嶋:その傾向はありそうです。特に、自社の長期インターンを経験している学生には、オファーをしやすいですよね。
長谷川さん:そうですね。合同説明会では、学生が「本当に聞きたいこと」を聞きにくいと思います。「突っ込んだ質問をして、嫌な印象を持たれたくない」と感じてしまう学生さんも少なくないでしょう。
「実務経験があり、実力のある学生」に「ミスマッチがない状態」でオファーできることが、多くの企業にとっては理想的です。これから就職活動を控えている学生さんは、その事実を知っておいていただきたいと考えています。
オバラ:ちなみになんですが、今日は僕たちの就活についてフィードバックをしていただけないかとも思っています。僕は今年の10月に就職をしていて、大嶋は来年の4月からLINEに就職します。お互いに「幸せな就職活動」ができた自負があるのですが、具体的にどのような点が良かったのかお伺いできないかと…。
長谷川さん:もちろんです!では、まず大嶋君からお願いします。
大嶋:オバラさんのご紹介にあったように、来年の4月からLINEに就職します。
これまでの経歴を簡単にお話しすると、大学2年生の秋に休学をして、それからずっと長期インターンをしていました。企業のサイズはさまざまですが、複数のITベンチャーで実務経験を積んでいます。
休学をする以前は取り柄のない普通の学生でしたが、いろいろ業務を経験し、中でもUI/UXデザインが好きになりました。そこから勉強を始め、没頭していたらスキルが身につき、武器ができたんです。そこで、「大学を卒業する必要はないかな」と勢いで退学しています。
長谷川さん:就活はどのように行ったのでしょうか?
大嶋:今年の6月に「bosyu」を利用して、“逆就活”をしました。「僕に興味がある企業人事の方は、ご連絡ください」とSNSに投稿したんです。
すると、多くの方から連絡をいただきました。20〜30社にオファーをいただき、その日のうちに内定が決まりそうだったくらいです。
連絡をいただいた企業の中から、自分に合いそうな企業をピックアップし、ランチなどをしながらカジュアルなスタイルで面談をしていただき、本当に入りたいと思える企業に絞って選考を受けています。
そうしてそうして複数の企業様とコミュニケーションを取りながら、自分に合う企業や自分がやりたい仕事を明確にしていったんです。LINEは逆就活によって出会った企業ではありませんが、逆就活をしたからこそ、内定につながったと思っています。
長谷川さん:素晴らしい就活ですね。間違いなく、どの企業も欲しがる人材だと思います。まず特筆すべきは、自分の「好き」を理解している点です。
日本の就職システムは、ギャップイヤーのある海外とは違い、じっくりと自分と向き合う時間が確保されていません。すると、自分の好きなことが分からないまま社会に出て、働くことが目的化してしまうケースが往往にしてあります。
長谷川さん:しかし大嶋さんは、自分がバリュー発揮できる場所を知っています。好きを仕事にしているので、“ゾーンに入っている”。そうやって自分の得意分野を育てているので、結果的に大きな成果を上げることにもつながるのだと思います。
そして、しっかりとチャレンジしている点。「いろいろ業務を経験した」とおっしゃっていましたが、そのチャレンジをしている時点で、“100分の1”の人材です。かつ、その状態から武器になるまでチャレンジを続けている。今後、これまでよりも爆速で成長していく姿が浮かびます。いち企業人から見て、非常に価値が高い人材だと思いますね。
大嶋:ありがとうございます!照れますね(笑)。僕とスタイルは違いますが、オバラさんも結構特殊な就活をしていますよ。
オバラ:そもそも僕は、いわゆる“新卒”から2年ほど遅れているんです。大学を2度中退していて、今年24歳になりました。
長谷川さん:その時点で結構特殊ですね(笑)。就活について、教えてください。
オバラ:まず、大学1年生でアルバイトを始めたのですが、時給で働くのが嫌だったんです。仕事で成果を出しても、出さなくても、評価が変わらないことが気に食わなくて(笑)。
1年間働いたのちに、成果報酬で働ける企業で営業やライターの長期インターンを始めました。そこで「自分にはライターが合っている」と感じたので、3年次からフリーランスになっています。
そこから師匠をみつけ、2年ほど働いていると、「自分に合う仕事」が分かるようになってきたんです。
長谷川さん:というと…?
オバラ:たくさん取材をしていると、普通に就職活動をしていなかったら出会わない企業が見つかります。話を伺っていると、ネームバリューはなくとも素晴らしい企業がたくさんあるんです。
また、「自分と合うかどうか」はもちろん、「提供しているサービスの良さ」や「掲げているビジョンの素晴らしさ」、そして「ビジョンが社内に浸透しているか」など、大手求人サイトを眺めているだけでは知り得ない情報を手にしました。
そうしたオリジナルの情報収拾を行い、自分が活躍できると確信した企業に対して、適切な市場価値を算出した上で「僕に内定を出しませんか」と直談判したんです。その場で、内定が決まりました。
長谷川さん:「しっかりやり切ってから、次の選択肢を探している」点において、とてもいい就活をしている思います。やり切らなければ、自分の向き不向きを正確に把握することが難しい。少し嫌なことがあったくらいで辞めてしまっていては、自分に合う仕事を見つけることはできませんよね。
じっくりと自分の特性を知ることに時間を費やし、実績を出されているので、企業としても採用した後の計算ができるんです。「彼を採用すると、このくらいの利益が上がり、どのくらい会社にいい影響があるか…」と、イメージがつく。内定を出しやすいですよね。
オバラ:2回も大学を辞めているので、痛烈フィードバックがあるかと思いました…(笑)。
オバラ:僕は学歴がないことにコンプレックスがあり、「そもそも既存の就活スタイルでは評価してもらえないだろう」と感じていたことが、早く行動を起こす一つのきっかけになっています。しかし、たまたま武器があったおかげで自分に合う企業と接点を持つことができ、無事に内定をもらえています。
僕と同様に学歴がないことにコンプレックスがある学生さんも少なくないと思うのですが、そうした方が自分に合う企業と内定をもらうためには、武器を身につけることがよい選択だと考えています。長谷川さんはそのことについて、どう思いますか?
長谷川さん:武器の有無が、就活を優位に進めるのはおっしゃる通りだと思います。たとえば弊社が「文系人材の中から1人に内定を出したい」状況にあり、「甲乙つけがたい2人の人材で迷っている」としましょう。
どちらかに内定を出す判断をする際に、一方が「稀有なスキル」を持っていたら、理由はさまざまあれど、その方に内定を出します。どの職種に就こうとも、そのスキルを身につけるために試行錯誤した行動力などが今後に活きる可能性がありますよね。
オバラ:なるほど…。誰もが持っているスキルではなければ、より魅力的であると。
長谷川さん:自社に活かせそうなスキルであれば、なおさらいいですね。これからスキルを身につけようと考えている学生さんも多いと思いますが、選択肢を検討する上で、「市場価値を高められるか」を考えてほしいなと思います。
たとえば、衰退していく産業のスキルを身につけるよりは、これから伸びていく産業で重宝されるスキルを持っている方が、市場価値が高い。つまり、内定をもらえる確率も高くなるということです。有利にキャリアを進めていけるでしょう。
オバラ:僕が考える「伸びていく産業で重宝されるスキル」の一つに、プログラミングスキルが挙げられます。エンジニアが市場に足りていないことはもちろん、エンジニアと仕事をすることが当たり前な現代において、共通言語を持っていること自体が価値なのではないかと感じるからです。
そうした意味で、長谷川さんが役員を務められるInfratopさんが開催されている「コラボキャンプ」は、プログラミングスキルを身につける上でこれ以上ない機会なのではないかと思っています。
オバラ:1ヶ月間でプログラミングスキルを身につけることができ、さらに企業からの内定オファーがもらえる可能性もある。しかも、無料。参加しない理由がないのではないか…と思えるのですが、改めて詳細をお伺いできますか?
長谷川さん:ありがとうございます。コラボキャンプは、1ヶ月でプログラミングスキルを身につける短期集中型の講座です。就活生であれば、実質無料でスキルを取得することができます。そこで習得したスキルや成果をスポンサー企業の方に見ていただき、場合によっては即内定をもらうことができます。
大嶋:無料でプログラミングが学べて、なおかつ即内定の可能性…?僕はプログラミング学習で挫折した経験があるのですが、1ヶ月間で本当にスキルが身につくのでしょうか?
長谷川さん:弊社が提供する講座は、満足度は業界満足度と学習継続率がNo.1なんです。1ヶ月間で成果物を作れるレベルまでに達するので、エンジニアを目指す方はその日から優位に就活を進められますし、スポンサー企業から即内定が出る可能性もあります。
オバラ:やりきった実績や、そこで得た自信が就活につながるケースもありそうですね。
長谷川さん:そうなんです。「こんなことができます」という実績があれば、自信が生まれるので、エンジニア以外の就職にも活きてくると思いますよ。
大嶋:現時点で、一切プログラミングができなくてもいいんですか?
長谷川さん:全く問題ありません。過去のコラボキャンプでは、非ウェブ系からウェブ系に転身したい学生さんからの応募が多数ありましたし、実際にエンジニアとして就職されたケースもあります。
オバラ:ちなみに、今回のスポンサー企業ってどこですか?
長谷川さん:東証一部上場企業のエイチームさんです。「ユニゾンリーグ」や「ヴァルキリーコネクト」などの人気ゲーム、エンジニアなら知らない人はいない「Qiita」を運営するIncrementsさんを子会社に持つ企業なので、ご存知の方も多いと思います。
オバラ:ええ…!そんな企業から即内定をもらえる可能性があるってことですよね…。やばい。
長谷川さん:私自身、やばいと思っています(笑)。
過去には、「プログラミングがタダで受けられるので応募しました」といった方が、企業の魅力にどっぷりつかって内定を勝ち取ったケースもありました。何より、深く深く企業について知れることが最大のメリットだと思っています。
これから本気の就活をしたい学生のみなさんからの応募を、お待ちしています。