世界をリードする名だたる大企業は、エンジニアたちが主体となって構成されています。プログラミングの必要性は日に日に増しているのにもかかわらず、日本は世界と比べて“IT後進国”です。IT人材の不足が懸念されています。そうした現状に立ち向かい、プログラミング教室「TECH::CAMP」を展開する株式会社div。2014年のリリース以来、受講生は1万人を突破。「TECH::CAMP」を卒業した生徒さんは自らサービスを立ち上げ起業したり、大企業に就職するなど自らキャリアを切り開いています。高い満足度を誇る日本を代表するプログラミング教室は、どのようにして生まれたのかーー。代表の真子就有さんにお話を伺いました。
ーーまずは、起業したきっかけをお伺いできますでしょうか?
もともと小学生の頃から、何かをつくり上げることが好きだったんです。図工の授業で出された課題を、徹夜でつくって持っていくような子供でした。プロダクトだけではなく、チームを指揮して一体感をつくることも好きでしたね。合唱コンクールなどの学校行事にも本気で、毎回優勝を目指して常に全力投球でした。
そうした経験があるので、将来も自分で何かをつくれるような仕事に就きたいと考え、東京の大学に進学しました。ただ、みんなと一緒のことをするのがどうしても苦手で、サークル活動や飲み会にも全くなじめなくて。何か一生懸命になれることを探した結果、企業で長期インターンをして、常に自分の成長を考える4年間を過ごしていたんです。最終的には企業に就職せず、起業する道を選びました。
ーー就職を経ずに起業する不安はありませんでしたか?
インターンをしていた企業に就職しようと考えていたのですが、岡本太郎さんの著書『自分の中に毒を持て』を拝読して、起業しようと考えを変えました。本には「人生において、自分がやりたいことをやる以外に重要なことなんてない」ということが書かれています。
もし起業して失敗したら、いろんな人に後ろ指を刺されるかもしれない。「でも、他人にどう思われるかなんてどうでもいい」って思えたんです。経済的な失敗よりも、自分のやりたいことができないことの方がよっぽど失敗だと、気持ちが固まりました。最終的には就職せず、起業してdivを創業しています。
ーーdivが展開する「TECH::CAMP」について教えていただけますでしょうか?
「TECH::CAMP」は、最新のテクノロジーを使いこなせる人材に変えるテクノロジー人材育成スクールです。オリジナル教材でプログラミングを学習していただき、専属トレーナーが学習をやりきるサポートを行います。
過去の卒業生は、大学時代に「TECH::CAMP」に通い大企業に就職した方や、自らサービスを立ち上げた方までさまざま。多くの生徒が多方面で活躍しています。
ーー「TECH::CAMP」を立ち上げた背景についても教えてください。
「TECH::CAMP」を立ち上げた背景は、過去に独学でプログラミングを勉強した結果、あまり身につかなかった経験がベースにあります。起業当初は全く違うビジネスを行っていたのですが、プログラミング未経験のインターン生が、たった2ヶ月程度である程度までのレベルに達したんです。面接時に「居酒屋でアルバイトをしていたので、魚をさばくことはできます」って言っていたくらいなのに(笑)。そこで、効率的なプログラミング学習は大きな潜在ニーズがあると感じました。
ーー2020年に小学校からプログラミング教育必修化が決定しました。今でこそ「プログラミングが重要だ」という風潮の高まりを感じる機会が増えましたが、IT人材が不足している問題に関して、何かお考えはありますか?
日本人のITリテラシーの低さに関しては、大きな問題意識を持っています。海外ではプログラミング教育は当たり前で、正直、日本は動き出しが遅すぎるのではないでしょうか。「終わってるな」と思うことも少なくありません。
世界で時価総額がトップのAppleや、Google、Facebook、Amazonといった世界的大企業はエンジニアが主体となっている企業です。コードが書けなければ、そもそも採用してもらう事すら難しい。また、オバマ前大統領はアメリカ国民に向けて「コンピューターを勉強することはあなたの未来のためだけじゃないんだ。アメリカの未来がかかっている」とスピーチを行い、Facebookの元役員だった、Chamath PalihapitiyaさんはTech Crunchのインタビューで 「プログラミングを学ぶのなら、生涯仕事に困らないことを私が保証しよう」と発言しています。
プログラマーが世界を動かしてるのは明らかなのに、日本では、多くの大人たちがプログラミングスキルの重要性に気づいていないんです。「プログラミングって本当に役に立つの?」そんな声が聞かれるほど。こうした問題を解決するには、民間主導のテコ入れが必須です。
ーー「TECH::CAMP」もその一翼を担っているわけですね。
はい。「TECH::CAMP」を卒業した生徒さんは、ITベンチャーを起業したり、日本を代表する企業に就職されている人が数多くいます。まだまだ成長過程にある会社ですが、少しずつ日本のIT人材不足を解決する一助となっているのではないでしょうか。
専門学校でプログラミングを学ぶと、年間100万円くらい学費がかかってしまいます。しかし、専門学校で1年間かけて学ぶスキルを「TECH::CAMP」なら1か月で身につけることができるんです。それも、月10万円ほどで。
また、TECH::CAMPを卒業すれば、確実に内定が取れるんです。これまで数千人の卒業生を見てきましたが、就職に困っている学生を見たことがありません。大学に入ったものの、なんとなく時間を使ってしまい焦っている学生さんは多いはず。エンジニアになることが目標でなくとも、「現状を変えたい」と考えている方にも徹底してサポートする体制をとっています。
ーーエンジニアリングスキルを身につけた生徒さんが、社会でご活躍されている事例を教えていただけますか?
山のように事例はありますが(笑)、分かりやすい例を一つあげますね。大学4年生のときに「TECH::CAMP」を受講した学生が、企業に就職した後に、会社の雑務をプログラミングで無くした話があります。エクセルのルーティンワークだったのですが、人手を要するうえに、煩雑な業務です。この問題を解消しようと、手打ち作業をプログラミングで自動化したそうです。これはテクノロジーを理解してるからこそできること。ITリテラシーがあれば、エンジニアでなくとも優秀なビジネスマンになれるのです。
ほかにもプログラミングスキルを買われて外資系金融機関に就職した学生もいれば、小学4年生でVRアプリを開発している子もいます。ITスキルが人材を変えていく過程を見るたびに、ワクワクしますね。
ーーすでに1万人以上の生徒さんが「TECH::CAMP」を受講されているそうですね。なぜ「TECH::CAMP」は優秀な人材を輩出できるのでしょうか?
教育で重要なことは、カリキュラムではなく、指導するメンターがいかに生徒に寄り添ってサポートしきれるかだと考えています。技術的に優れていることと、教育者として優れていることは全く別物です。生徒さんの悩みに親身に寄り添い、同じ問題意識を持って解決していけるよう徹底しています。
たとえ話をすると、自動車学校の教官はF1レーサーではないですよね。生徒さんの気持ちがわかる先生だからこそ、生徒さんが主体的に成長できるのです。そうした方針を貫いた結果、高い受講満足度を達成しているのだと思ってます。満足いただけなければ全額返金をつけていますが、返金率は数%以下で、ほとんどが出張など止む終えない理由です。
ーー最後に、真子さんから学生にメッセージをお願いします。
人生は、幸せに生きることが重要だと思います。幸せになるためには、外部の環境であったり、他人と比べることをやめることが大切です。自分がどうありたいか、そのために何をするのかが人生の幸福を左右します。
心を曇らせるマイナスな出来事にとらわれず、自分の可能性に果敢に挑戦して欲しいです。たとえ100人中99人が右に進んでも、自分のやりたいことが違うのなら、左に進みましょう。どんな結果だろうと、自分を大切にしてください。
最初は勇気のいることかも知れませんが、自分の殻を破り、自分がやったことのないことに挑戦する。そこで成功体験を得ると、人生が変わります。