キャリア相談を受けているとき、「読んでおけばよかった本とかってありますか?」と聞かれる機会が多くなりました。
「本を読むより、OB訪問しよう!」と言いたいところなんですが、改めて振り返ると、就活前にキャリアに関するちゃんとした情報に出会う機会ってあまりなかった。
いまおもえば、「働くことへの解像度が上がる本」を、できるだけ早い段階で読んでおけばよかったです。
だって就活生のときは、説明会で人事の話を聞いてウンウンと言っていただけだし、やっぱり"働く"を考えるよりも"内定"を先に考えてました。
本当はこういう仕事ならこれができて、積み上げればこんな風になれるんだな、分かり始めることの方が断然大切なのに。
そこで、今回は、その"解像度"をあげる手助けになればなと思い、3冊だけ、紹介したいと思います。
コピーライターの糸井重里さんがキャリア論の研究者、フリーランスから、放送作家、最後には矢沢永吉まで、さまざな方と「はたらく」に関して語り合ったものを、対談形式でまとめた本です。
働くって十人十色なんだな、と教えられる本です。お金で選ぶひともいれば、一緒に働く人で選ぶ人もいる。やりたいことをやるのが人生、という一方で、目の前の仕事をこなしてたらたまたまこうなったという人も。
学生は、働くことに関して「こうでなければいけない」と思いがちだけど、ほんとにそんなことない。
読んだ後にはそう思えるんじゃないか、と思います。
"就活の仕組み"を丁寧に教えてくれる本。まさに就活開始前に一番、読んでおきたかった本です。
著者は、横浜国立大の助教授の服部先生。2010年に第26回組織学会高宮賞、2014年に人材育成学会論文賞を受賞された、"採用学"という新しい学問を研究されている方です。
企業の人事向けに書かれた本で、「なぜ、企業は採用するのか」というそもそもな問いかけから、「優秀な学生の定義」「なぜ早くから準備した方が内定をもらいやすいのか」というきわどいものまで、普遍的な"解"を導き出しています。
ポイントなのは、"企業"でも"学生"でもないアカデミックな視点から、それを紐解いていること。利害が発生しにくい第三者だから、フラットで信頼度の高いものになってます。
「新卒一括採用は、なぜこんなアホシステムなんだろう」って思ったことは何度もあるのですが、「なぜアホなシステムなのに無くならないのか」がわかりました。
これをしっかり読めば、企業側の論理がわかるようになるという点で、とてもおすすめです。
転職前提で就活する人は稀かもしれませんが、「ファーストキャリアがどう次につながるのか」は、知っておきたいです。
変化が激しいこのご時世。主体的にキャリアを築くためには、「この会社に入りたい」をゴールにするのではなく、「どこで、どういうスキルがいつまでに必要か」という視点も、新卒で持っておくとよいな、と思います。
文系職なら営業でキャリアを築くひともおおいかもしれませんが、有名企業で営業をずっとするより、ベンチャーでウェブマーケティングやデータ分析をしていた人のほうが、転職市場での価値は高いかもしれません。
まだ自分には早いかも?って思う人がほとんどかと思いますが、なんでも打ち手は早めに。
3冊ほど紹介させていただいたんですけど、キャリアに対して正解を出すのはやっぱりムズカシイ。
でも、「わかろうとする努力をやめないこと」がとても大事だなぁ、と思っています。
これをきっかけに、"自分について"・"はたらくについて"考えていただけたら、とても嬉しいな、と思います。
立教大学4年、93年生まれのライター/編集者。キャリア教育・パラレルワークなどの働き方に興味があります。普段は「HARES」「Co-media」などの媒体で執筆しています。 @ketokunsan LINEブログ始めました。http://lineblog.me/ketokunsan/