プログラミング教育を当たり前に、東大生の本気

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名前:加藤 將倫(かとう まさのり)さん 所属:東京大学工学部 電子情報工学科 4年 現在は東京大学を休学しています。 生まれは愛知県で、幼稚園までは愛知にいたのですが、小学1年生の時に親の仕事の都合でオーストラリアに行く事になり、中学3年までオーストラリアで過ごしました。現在はプログラミング学習サービス・Progate(プロゲート)を開発しております。

納得のいかない学生生活


—— なぜ東京大学に入ろうと思われたのですか?


加藤將倫(以下、加藤)
:小学校1年生から中学校3年生まで海外で過ごしたのですが、日本が大好きで、「日本の高校に行きたい」と思い、愛知県の高校に間通いました。ですが、思ったより高校生活が楽しくなかったんです。


日本の学校は「ITの最先端」というイメージを持っていたのですが、全く違いました。オーストラリアに住んでいる間は「日本はスゴい」というイメージを持っていたんです。ハードルが上がっていました。


それに加えて、僕が住んでいた地域は田舎です。大してすることもなかったので、早く東京に出たいと思うようになりました。そうした思いもあり、必死に受験勉強して、東大に入学しました。


—— 東京大学に入学されてからの加藤さんの学生生活についてお聞かせください。


加藤
:東大を目指す目的は、シンプルに「東京に行く」ことです。ただ、入学してからは目標を見失ってしまったんです。大学生活に関しても思っていたイメージと違っていたんですよね。


東大は「進振り」という制度があり、大学3年の初めまでは一通りの科目を学べるのですが、一つ一つの密度が薄く、何も身に付いていないと感じていました。そのときは、有益な活動ができていなかったので2年生の終わりまでダラダラと過ごしてしまいました。


そういた時間を過ごしていると、ちょうど3年生になった頃に、ある友達が「遊んでばっかいないで俺と起業しないか」と誘ってきたんです。ちょうど大学の授業でアプリを作っていた時期でもあり、「ちょっと面白そうだな」と感じました。


ただ誘ってくれた友達が留学することになっていたので、今はタイミングが違うと思い、起業するのを辞めたんです。結局、3年生は大学にずっと通っていただけだったので、「起業しとけばよかった」と後悔しましたが。

—— 休学されるまで、電子情報工学科では実際にどういう活動をされていたのでしょうか?


加藤
:最初学んでいたのは、、C言語で、その後、、コンパイラを作る実験やロボットを動かす実験をしていましたね。


ただ問題は、それがプロダクトを作ることに役立つかどうかという点ですね。コンパイラを作れるようになってロボットを動かせるようになったとしても、ロボットなんかそもそも持っていないし、コンパイラなんて世の中に既に優れたものがたくさんあるんですよね。


 勉強という意味では良かったのですが、その勉強が何に繋がっているのかという疑問は常にありましたし、遠回りしているんじゃないかと感じていました。

相棒との出会い


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—— 起業しなかった後悔や学業に対する疑問がその後の行動に繋がったのですか?


加藤:まさにその通りですね。 いま僕が運営しているProgateの共同創業者の村井が、当時旅行系のスタートアップを手伝っていました。


その旅行系のスタートアップのエンジニアが足りていないということだったので、彼が情報系の学生向けにメーリスを流したんです。僕は情報系の学部にいたので、そのメールを見て、村井に会いにいったんです。


そこが村井との最初の出会いでした。旅行系のサービスは上手くいかずに村井はそこで辞めてしまったのですが、その後も僕らは連絡を取り合っていました。 その後、村井が「エンジニアが足りていない」という点に疑問を感じていたこともあり、東大にZEROXONEというプログラミングサークルを作り、そこから二人で活動するようになっていきました。


—— 具体的にどのような活動をされたのですか?


加藤
:サークルの活動とは別なのですが、昨年の1月くらいに、ある受託を村井と一緒にやろうと決めました。今まで僕は授業でC言語やJavaを触っていたのですが、受託はWeb寄りだったんです。HTMLやPHPやJavascriptですね。 


受託をすると「やるしかない」環境になるので、自分たちを追い込む意味で始めました。その後の1ヶ月くらいはかなり過酷な日々でした。毎日部屋にこもって、寝るかプログラミングかという生活をしていました。2月の終わりに、受託は何とか無事納品することができました。


そこでWebサービスを自分で作る経験をしたので、その過程でかなりスキルが身に付きましたし、同時に自信もつきました。大学の授業では教授の言う通りに作りたくないものを作っていて、自分に実力があるのか分かりませんでした。


そこから本格的に自分のスキルに自信が生まれて、学ぶ欲が出てきました。そういう意味で一回受託したのは、自分にとってターニングポイントだったと思います。 そこからは、ZEROXONEのメンバーにプログラミングを教えていきました。他のスタートアップでエンジニアとしてお手伝いもしていましたね。


プログラミング学習サービス・Progate立ち上げへ


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—— プログラミングサークルでの活動後、Progateを始められた理由をお聞かせください。

加藤:自分の仕事に満足していたものの、いつものようにスタートアップにお手伝いしていたときに、「これってリーチできる人数は少ないな」と感じ始めたんですよね。


 実際に、自分たちもプログラミングができるようになって、クリエイティビティも養われて、お金も稼げるようになり、自信もつきました。そういった経験やスキルを自分の周りだけではなくて、もっと多くの人にも体験してほしいと思ったんです。


これからエンジニアの需要は絶対に上がっていくと思っていますし、スキル上げていかないといけないとも思っていました。そこで、エンジニアになるためのスキルをオンラインで教えたいと感じたんです。 


僕たち自身もコードアカデミーやドットインストールを使って教えていて、どれも素晴らしいサービスですし一通りの流れを学べるのですが、意外と断片的なんですよね。 


たとえば僕がプログラミングしたいと思ったときには、何から始めていいかすら分からない状態だったんです。Web系だとどういう言語を使うか分からず、結局最初はJavascriptを学んだのですが、HTMLを分かっていないので結局扱えなかったんですよね。


僕らが受託をしたときは、教えてくれている人と言いますか、メンターのような方がいたので、助かりましたが、普通はそんな方は周りにいないですよね。 


そこで、もっと直感的で図があって分かりやすく、実際に自分でコードを打って学ぶことができて、その授業を受けたら、一つのサービスを自分で作れるくらいのスキルが身に付くようなサービスができたらいいなと思ったんです。そこで、村井に相談し、6月頃にProgateの開発を始めたという感じですね。


—— Progateさんの事業内容についてお聞かせください。


加藤
:Progateは無料でWeb系の言語を学べるオンラインサービスです。 特にProgateの特徴だと思っているのは、自分たちのWebサービスを一通り学習すれば、自然と自分たちでWebサービスが開発できる能力が身に付いているという点ですね。


ユーザーに自信をつけてもらうことも目標です。全容が見えて、自分たちは「こういう事を学んでいるんだ」という視点を持って学べる点が強みです。 


ただ僕らは、単にエンジニアを増やしたいわけではないです。そこで「learn to code learn to be creative」というコンセプトを掲げました。人々のクリエイティビティを刺激したいと思っていて、そのクリエイティビティを生かして起業するでもいいですし、エンジニアとして働く時にそれを発揮してくれるのでもいいと思っています。


生かし方は何でもいいということですね。 コードを書けるようになる事によって、僕ら自身も起業ができるようになりましたし、ある程度のサービスなら作れるようになりました。簡単に学べるProgateのようなサービスを登竜門にして、面白いものを作れる人たちを輩出していきたいです。そして一度学んだ人たちが、また社会に何らかの形で還元していくようなサイクルを作っていきたいです。


—— ユーザーを集めるために気を付けている点はありますか?


加藤
:2つありますね。 1つは、コンテンツフォーカスです。 コンテンツに非常に気を遣っていまして、すべて自分たちで作り上げています。そもそもコードアカデミーのような有名なサイトでも文字が多くて分かりにくくて辞めてしまう人もいます。


なので、僕らは「飽きさせないユーザー目線でのコンテンツ作り」を徹底しています。一度Progateのサービスをお使い頂けると他のサービスとの違いを実感して頂けると思います。 もちろんこれからもユーザーさんの声を聞き、改善していきます。


 そして2つ目はUIとUXですね。ユーザーさんに少しでも快適にサービスを進めてもらうことを意識しています。


そもそもプログラミングは環境構築の面で心が折れて辞めてしまう事が多いと思います。結構複雑ですし。エディタをダウンロードしないといけないなど、面倒なタスクが多いじゃないですか。 


初心者の方にとったらそもそもどこにコードを書けばいいのかすら分からないと思うので、Progateではエディタもダウンロードする必要はなく、コードを書いていけるような仕組みにしています。本当にゼロの知識からでも円滑にスタートできる仕組みが整っていると思います。

プログラミング=オタクではない



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—— 敷居が高く、プログラミングを始めようと思う方は少ないと思うのですが、加藤さんはどう思われますか?


加藤
:全く同感で、プログラミングに対して「オタクがやっている」とか「ギークっぽい」というイメージを持っている方が多いと思います。20代後半の方や30代の方も「自分がやってももう遅いんじゃないか」と感じてしまうと思うんですよね。


その偏見を壊していきたいと思っています。 プログラミングのような価値のあるものを偏見や固定概念で排除してしまうのは、すごくもったいない事だと思っているので、Progateとしてもそこを何とか和らげたいと思っています。 


今、サービスのリニューアルも行っていて、親しみやすいUIであったり、TOPページ用の動画を作っていたりしています。色んな年代の方々がProgateを利用している動画を作っています。


それを見て頂いて、こんなおじいちゃんでも、主婦でも、高校生でもやっているんだという事を本当に地道に色々な方に伝えて、偏見をどうにかして無くしたいと思っています。 僕たちはProgate Campという、オフラインでプログラミングを学ぶ取り組みも行っているのですが、たしかに学生は多いものの、30代後半の方も来て下さっていて、非常にいい流れができています。 30代のITの知識があまりない方でもキャンプを通して実際に作る能力が身についてきているので、こういう活動を続けていきたいと考えています。


—— Progateさんのビジョンについてお聞かせください。


加藤:僕たちが実現したい世界観は、「自分たちで”モノ”を作れる人材を輩出していくこと」です。プログラミングスキルを持った人材の需要が上がっていく今後に備えるという意味合いもあります。


プログラミングに対するネガティブなイメージをなくしたいです。これからプログラミングは教養の1つになると思っています。今はProgateを作っていて毎日がすごく楽しいんですよね。これまでの自分たちの経験をもっと色んな方に味わってもらって、作る事の喜びを感じてほしいです。


また、その経験やスキルを社会に還元できる人を世の中に増やしたいですし、そんな世界を実現しようと強く思っています。

Progate(プロゲート)さんのサービスはこちらから

Progate(プロゲート)を見てみる

この記事を書いた学生ライター

Keiji Takahashi
Keiji Takahashi
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大学一年次よりスタートアップに興味を持ちアプリ開発/ベンチャーでのインターンシップを経験。 現在、学生の視野を広げるco-mediaとインターンシップから築く新しい就職の形InfrAを運営する株式会社Traimmuの代表。 サッカー観戦とジム通いが趣味。

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