ウィリアム・カムクァンバは当時22歳(2009年)の青年でした。彼の出身はアフリカのマラウイという国です。
今回ご紹介するTEDトークは彼にとって2回目でした。というのも、2年前の2007年に一度TEDで彼は話をしたのです。
彼がその時話したのは「風車の作り方」について。 TEDでトークをした2007年、彼はたった19歳のマラウイから来た少年でした。
学校に行くのをやめ、図書館に行き、物理の本を読んで風車の作り方を学び、風車を実際に作り上げたこと、その風車からできた電力で家の灯りやラジオを動かせたこと、将来もエネルギー(開発)に携わりたいこと、などを約3分で語り、話題を呼びました。
マラウイという何もない土地で本から知識を学び、人のために、また村のために風車を建てた、ということはTEDの中でも衝撃的なものだったのではないでしょうか。
(Photo By https://www.ted.com/)
そんな彼が二度目のTEDトークの舞台で話すのは、「一度目のトークで話せなかったこと」。
というのも、2007年のTEDトークに出るまで、マラウイから出たこともなければコンピューターも使ったことがなく、インターネットも見たことがなかったそうです。そんな状況でたくさんのアズング(白人)に囲まれ、英語もうまく話せず、緊張に緊張が重なって「風車を作ろうと思った」ところから「できた」ところの過程の話ができなかったといいます。
今回のトークで彼は「どうやって」という過程の部分にフォーカスするのですが、そのお話が本当に素晴らしいと思ったので紹介します。
彼は七人兄弟のなかで唯一の男の子で、彼は貧しい農民国にいるごく普通の農民でした。
彼のそんな状況が変わったのが、2001年の飢饉。 マラウイで2001年に飢饉が起こり、半年もしないうちに人々はどんどん餓死で亡くなっていったのだそうです。 彼の家族も一日に一度、夜だけ食事をしていましたが、一人3口分しかありませんでした。
そんな飢餓のため、もともと行っていた学校にも行けなくなり、中退しなければならなくなります。 飢饉は進んでいき、そこにあったのは枯れ切った畑だけだったそうです。
学校に行けなくなった彼は学校で勉強することが好きだった気持ちを思い出し、学校以外でもできる勉強法について考えはじめました。
そこで彼は図書館に行き、本を読み続けました。 英語がそこまで得意でなかった彼は、物理や科学の本をたくさん読んだそうです。図表で理解しやすかったのも一つの理由ですね。
そこで見つけたのが、風車だったのです。 本の中で風車から水を汲んで発電できる、というのを見つけた彼は、これこそが干ばつや飢餓の改善策になるのではないかと考えました。
自分のものを作る、となった時に彼の心配は材料でした。 そこで彼は廃材置き場に行き、ファンやビニールパイプ、自転車の古くなった車輪などを使って風車を組み立てたのです。
はじめはつかなかった電球も、気づけば数が増えていき、最終的にはブレーカーまで作ったそうです。
その噂がどんどん広まっていき、彼の家の前には人々が携帯を充電するために列を作りだしました。 そこからリポーターが来たり、ブロガーが来たり、どんどん彼のしたことは広まっていき、TEDからの電話につながったのだと言います。
TEDに来る前はホテルに泊まったことも、飛行機を見たこともなかったそうです。そんな彼が、諦めずに風車を作り続けて飛行機に乗り、ホテルに泊まり、TEDに来るまでになったのです。
彼は最後にこう言いました。
「私のように夢を追うにも困窮しているアフリカ人や貧しい人に向けて言いたいことがあります。・・・自分を信じてください、と私は言いたいです。何が起ころうとも諦めないで」と。
このメッセージにはとても大きなメッセージが含まれていると思います。大きいスケールで考えても、貧富の差もあれば、差別によってチャンスの差もあります。
そんな中で彼からの「諦めずに努力する事」というメッセージはとても大きな意味を成していると思いますし、考えさせられることがたくさんあると思います。
そして、記事を読むのとは別で、彼のTEDトークを聞いていただくのもまた新たな印象を持っていただけると思います。
是非、彼の2007年のトーク(How I Build a Windmill)もご覧ください。こちらもまた素晴らしいトークだと思います。
・How I harnessed the wind By William Kamkwamba (2009年) 「私がやって見せた風力発電」 By ウィリアム・カムクァンバ
海外ドラマ・映画に影響されて15歳でアメリカ留学へ。現在大学では海外から来た生徒と一緒に授業を全て英語で受けています。最近はイベントで通訳をしたり、韓国語を勉強したりと忙しい日々を送っています!主に海外の記事を参考にオリジナル記事を作成していきたいと思います!