今回紹介するTEDトークもまた、5分という短い時間の中で強烈なメッセージを与えてくれるものです。
スピーカーは、バーク・ベアという少年です。ここで驚くべきことが一つ。
彼は、たった11歳の少年なのです。そんなバーク・ベア少年がTEDの舞台で伝えたかったことは、「私たちが食べているもの」についてでした。
「食糧システム」ーー。そう聞くと少し難しい話を聞いているように感じますが、このトークでは11歳なりの視点で現代の食糧システムの実情を紐解いてくれます。
(出典:http://www.elchupete.com/en/home)
彼が11歳にして食糧システムに興味を持ったきっかけは、彼が想像していた食糧システムと、ドキュメンタリー番組や旅行先で見た現実とが全く違うものであったからです。
彼の想像では、牛や豚などの家畜はきれいな牧場で芝生を食べながら幸せに暮らしているというものでした。しかし、ドキュメンタリー番組や旅行先で、産業化された食糧生産の仕組みを目の当たりにしたといいます。
たとえば、遺伝子組み換え。
この言葉を聞いたことがない人はほとんどいないと思いますが、実際にどのようなものかを分かっている人は実際どれほどいるでしょうか。彼は小学生ながらに、分かり易い例で説明してくれます。
たとえば、魚からDNAを取り出してトマトに埋め込むこともそのうちの一つです。
その種子は植えられたあと、どんどん成長していき、人間の体にがんやそのほかの問題を引き起こすことが発見されています。
もう一つの例として、遺伝子組換のとうもろこしを食べたねずみの肝臓と腎臓から毒素が検出されたこと、それが腎臓の炎症、病変や肥大を引き起こすことを挙げました。
彼は、こういった自然の理論に反していることが実験室の中で行われていることに恐怖を感じ、違和感を持ったのです。
そのほか、化学肥料、殺虫剤、除草剤といった化学物質を食べ物に使うことや、食べ物に放射線を当てて日持ちをよくするといったことも、食物に起こるべきではないことだといいます。
なぜならこれもまた、自然に反する行動だからです。
そしてさらに、彼はこういった遺伝子組み換え薬品が使われている食品ほど、カラフルなパッケージやかわいいおもちゃが付いていて、子どもや親が好むように作られていることに気付いたと言います。子どもや親が好むため、テレビでの広告や学校でもそういった食品を見ることが多かったそうです。
彼はどうすればこういった状況を変えられるのか、どうすれば彼が想像していた自然のままの食糧システムを作ることができるのか、ということを考えました。
そうして思い浮かんだのが、彼が知っている農家の中で「変わり者の農家」と言われている人でした。その農家は薬品や、遺伝子組み換え種子を一切使っていないために「変わり者」と呼ばれていたそうです。
そこで彼も、以前まで抱いていたフットボール選手の夢ではなく、「変わり者の農家」のおじさんのように有機農家になるという将来を選択しました。
消費者が地元の生産者が作った農作物を買うなどすれば、こういった食糧システムの流れを止めることができます。
しかし、よくこう言う人がいます。
「地元でできる食品は高いのではないか?」と。
それに対し、彼は
「高くても地元の野菜を買って農業従事者にお金を払うか、病院にお金を払うかだ」と、答えます。
筆者も、11歳ながらのストレートな考えに思わず「なるほどな」と感心してしまいました。
そして、こういった考えを広めることもまた、大事だといいます。
彼は6才のいとこをはじめ、周りの人にこのような考えを広め、周りの人の変化をしっかり見ることができたと言います。
食べ物はわたしたちの体をつくるものであり、その体は生きていく上で必要不可欠なものですよね。
そんな体をつくる食べ物や、食べ物ができる過程をしっかり見つめ直していくことはとても大事だと思います。
そして筆者も一個人としてこういった見解を広めることが大事だと思うので、たくさんの人にこの記事を読んで、彼のTEDトークを聞いていただけると嬉しいです。
【What's wrong with our food system By Birke Baehr 】
「僕たちの食料システムが何かおかしいよ」 By バーク・ベア (5分14秒)
海外ドラマ・映画に影響されて15歳でアメリカ留学へ。現在大学では海外から来た生徒と一緒に授業を全て英語で受けています。最近はイベントで通訳をしたり、韓国語を勉強したりと忙しい日々を送っています!主に海外の記事を参考にオリジナル記事を作成していきたいと思います!