【学歴×アイドル】やりたいことを諦めないキャリアの選択法とは(アイドルグループ「学歴の暴力」)

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「学歴の暴力」メンバー紹介

【学歴×アイドル】やりたいことを諦めないキャリアの選択法とは(アイドルグループ「学歴の暴力」)


なつぴ なつ さん(左から1番目)

東京大学 工学部卒

大学では放射線が細胞に与える影響についての研究をしていた。

現在はIT系の企画職についている。


あろえ あろ さん(左から2番目)

京都大学 文学部卒

大学では三島由紀夫の研究をしていた。

新卒で銀行に就職。現在は転職し、財務系の仕事を行っている。


あずき あず さん(左から3番目)

名古屋大学 情報文化学部卒業

大学では情報系の中でも、サービスや技術の運用方法を学んでいた。

パン好きが高じ、新卒でパン屋に就職。


りりり かり さん(左から4番目)

九州大学 工学部卒

大学では建築(特に建物内の居住環境に関すること)を学ぶ。

現在は住宅の設備メーカー勤務。


本日はよろしくお願いいたします。
まず「学歴の暴力」とはどのようなアイドルグループなのでしょうか?


あずき ーー 私たちは、旧帝大卒(東大・京大・名大・九大)のメンバーだけを集めたアイドルグループです。

学歴の高いメンバーが集まってアイドルをしていることに斬新さを感じてもらえるかなと思い、活動しています。また、メンバー全員が平日は会社員、休日はアイドルとして活動しています。

会社員としての一面も持ち合わせているので、同じような企業で働いているファンの方々に寄り添ったお話ができることは、私たちにしかできないことなんじゃないかと思います。生活・仕事の面でアイドル1本ではないからこそ可能な受け答えや対応ができるのは、活動しているうえでとても嬉しく思っています。


アイドルが群雄割拠する時代、「学歴」を掲げてアイドルをされているのはとても斬新だと思いました。「学歴の暴力」さんが扱っているテーマについてもう少し教えていただけますか?


あずき ーー 私たちはグループ名でもある「学歴の暴力」をテーマに活動していますが、それには学歴 ”が” 発する暴力だけではなく、学歴 ”から” 受ける暴力も含まれています。

たとえば、学歴から受ける暴力として、「就職の際に、良い企業に就職しなければならないというプレッシャー」や「高学歴であることで、恋愛面などでいい印象を持たれない」ということなどもテーマとして伝えていけたらなと思っています。


「女性としていい印象を持たれない」というのは?


なつぴ ーー 一般論として、「男性が女性よりも高学歴であることが好ましい」というステレオタイプが介在してしまっているんじゃないかなと思います。

たとえば、美容院に行って、「どこの大学出てるの?」と聞かれた時に「東大です」と答えたら、美容師さんから少しひかれちゃったことがあって…。それからは同じようなことを聞かれた際に、わざと別の大学や「東京の大学です」みたいにぼかしていうことで、初対面の人との壁を作らないようにしています。


【学歴×アイドル】やりたいことを諦めないキャリアの選択法とは(アイドルグループ「学歴の暴力」)

皆さんがアイドルになるまでの経緯を教えてください。


なつぴ ーー 私は、ずっとアイドルという職業に憧れていて、色々とアイドルになるために挑戦していたんですけど、なかなかうまくいかなくて、1度はもうアイドルはあきらめようと思って就職しました。

それでも、やりたいことができなかった後悔がずっと胸の中に残っていて、鬱屈とした日々を送っていました。

そんな時に、京大卒の元メンバー・えもりえもから「学歴の暴力というアイドルをやりませんか?」とSNS上でDMをもらい、これがアイドルになる最後のチャンスだ、と思って活動を始めました。


あろえ ーー 私は、誰かを幸せにすることが自分の幸せにつながると思っているので、「人を幸せにすることをしたい」という考えを軸に行動するようにしています。

新卒では、お金があれば人は幸せになれると思っていたので銀行に就職したんですけど、実際に入ってみたら銀行で働くのは少し違うかなと思ってしまって…。そこで、カメラが趣味で、カメラマンやフリーモデルとかができればいいなとも思っていたので、副業可能な企業であることを前提に転職活動をしました。今の勤務先では財務にかかわる仕事をしています。

転職をした後に「学歴の暴力」と出会いました。もともと乃木坂さんや夢見るアドレセンスさんが大好きでしたし、第一印象として、「単純に面白そう」だと思えたことと、やらずに後悔したくないという思いがあってメンバーになることを決めました。


あずき ーー 私も元々アイドルに憧れていて、幼稚園の頃からアイドルになることが夢でした。AKBさんとかの世代だったのも大きいと思います。勉強面に関しては、子供の頃から塾には通っていて、勉強自体も好きだったので、いわゆる”勉強ができる子”でした。なので「アイドルになりたい!」という想いをなかなか周りに話すことができませんでしたね。

でも、小学生の頃にロザン(メンバーが京都大学卒・大阪府立大卒のお笑いコンビ)のお二人が活躍されているのを見て、私も「できるところまで勉強ができるようになったら、それでもってアイドルとして注目されるんじゃないかな...」と思い立ったので、京都大学を志望することにしました。しかし、センター試験(現共通テスト)の結果が思うように出なかったために、名古屋大学への出願を決め、そのまま進学しました。

私の理想の生き方として「自分の好きなことで生きていきたい」というものがあります。私の好きなものにパンがあるので、大学院を卒業してからの就職先はパン屋を選択しました。

しかし、名大の大学院からは、ほとんどの人が名前を言えば誰しもが知ってるような会社に就職していました。パン屋に就職したのは私1人だったので、周りからは就職に失敗したと思われたかもしれません(笑)

でも、あくまで”好きなことで生きていく”ということができたので、満足しています。

ただ、パン屋に就職した後もアイドルの夢を諦めきれず細々とソロ活動を続けていたんです。ちょうどそんな時、学歴の暴力がTwitterでバズっていたのを見かけました。こんなアイドルグループに入れたらと思っていた矢先に新メンバー募集があったので、これは運命だと思って応募し、加入させていただきました。


りりり ーー 実は、私は元々アイドルに特段興味があった訳ではないんです。この「学歴の暴力」に入る以前は、自分でプログラミングのスクールに通ったり、NPOに入ったり色々やってたんですけど、正直、楽しいなって思えるものに出会えなかったんですよね。スキルは身につくし、やれることの幅は広がるんですけど、これって本当に私がやりたいことだっけ?って思うことが多くあって…みたいな。

せっかくサブでやることだったら、楽しくやれるものがいいと思って、自分の趣味から探してみようと思いました。元々バンドをやっていたこともあって、音楽系の活動にすごく興味があって。そんな時に「学歴の暴力」に出会ったんです。「学歴の暴力」を知った時は、はっきりと言語化はできないんですけど「なんだか面白そう」っていう好奇心が芽生えて、それでアイドルをやってみようと思い始めました。

実際に活動を始めてみると、今まで見たことのなかった「アイドルの現場」というのが見えてきてきましたね。まるで、大人の社会科見学をしているみたいな気持ちにさせてくれて、楽しいです。


「学歴」をテーマにアイドルとして活動をする上で苦労したこと・挫折したことなどありましたら、教えてください。


なつぴ ーー 心無い声には、とても悩まされました。高学歴を押し出すことに反発を持つ人が思った以上に多く、ネット上でひどい言葉を浴びせられることも少なくなかったです。


あずき ーー 私は名古屋大学卒業ということについて、いろいろ言われることがありました。名古屋大学の知名度は地元愛知では高いんですけど、全国規模の「学歴」ブランドとしては東大や京大に比べると見劣りしますし、「就職率を考えると早慶やMARCHの方がいい」みたいなことを言われたことはありました。その度に、わたしってなんでここにいるんだろう?って考えちゃってつらい思いをしました。


あろえ ーー 私は、メンバーの中で自分だけが学部卒なのが少しコンプレックスですね。自分だけ修士卒じゃないのに学歴の暴力を名乗っていいのかな、みたいなことを思ったことはあります。

あとは、アイドルをやる前に、職場でも学歴で少し嫌な思いをしましたね。同期の人たちが自分だけ名前じゃなくて苗字にさんづけで呼んできたり、「あろえさんって飲み会とか好きじゃないでしょ?」って言って誘ってもらえなかったり...。上司よりも学歴が高かった時に「僕より優秀な人が入ってきたよ。」と嫌味を言われることもありました。女性の学歴が高いことに対する嫉妬みたいなものを受けてたのかなーって思います。


りりり ーー 私も、何かとつっかかってくる人は多かったですね。「いい大学出てるんだからちゃんと働けよ。」とか「大学卒業してる年齢なんだよね。」とか、どうしても何かしらの難癖をつけたい人たちは一定数いるんじゃないかと思います。


あろえ ーー そうそう、「学歴だけで有名になっているから、顔はイマイチ」っていう人もいますね。


りりり ーー でも、そういう人たちって大体SNSとかネット上で発言する人が多いんですけど、実際にライブとかイベントに足を運んで、応援してくれる人たちもたくさんいるんです。「健気に頑張る姿を見て、応援したくなりました!」とか、「自分も九大卒で、周りのもっといい大学出ている人たちに少しコンプレックスがあったんですけど、皆さんを見て勇気づけられました!」とか、そういう人たちがいてくれるおかげで、また頑張ろうって思えるんです。


なつぴ ーー アイドル活動を始めたばかりで、予想外の注目の大きさと反響に戸惑い、必要以上に傷ついていた頃もありました。それでも活動を続けるとともに、りりりの話にもあったようなファンの皆さんからそれ以上の応援の声をいただくようになり、最近はそちらに目を向けるようになったことで、いわれのない誹謗中傷はあまり気にならなくなりました。ファンの皆さんの大切さというものを改めて感じています。


【学歴×アイドル】やりたいことを諦めないキャリアの選択法とは(アイドルグループ「学歴の暴力」)

皆さんは、敷かれたレールの上にない、新しい分野のキャリアを開拓されていますが、これから新たに社会の殻を破ろうとしている若い世代にメッセージをお願いします。


なつぴ ーー アイドルを始めて、もちろん辛いこともありましたが、後悔したということは一度もありません。

もし何かやりたいことがあるのならば、それは絶対に学歴やお金よりも尊いことだと思います。ぜひ恐れることなく、挑戦してみてください。

今やりたいことが見つかっていないという人も、それは極めて普通のことなので、劣等感を感じる必要はありません。自分が楽に生きていける環境で、幸せに生きていってほしいです。


あずき ーー 私の場合、アイドルっていうキャリアもそうですけど、大企業じゃなくて、大好きだったパン屋に就職したことでも、学歴っていう1つの社会の殻を破ったのかなと思います。私は就職先で、嫌がらせを受けることはなく、パンが好きっていうありのままの自分を受け入れてくれたように感じました。

もちろん環境によるとは思うんですけど、そうやって学歴のフィルターを通さずに自分のことを見てくれる人はいます。なので、例えば自分の好きなことでもなんでもいいんですけど、1つの足がかりを使って、勇気をもって自分から社会の殻を脱いでいくことが大切なんだと思います。ありのままの自分を受け入れてくれる人は必ずいるってことを覚えておいてほしいです。


りりり ーー 私は、自分の人生の道が、1本しかないっていう風に思わないでほしいです。例えば、私たちは平日は会社員、休日はアイドルとして活動していますが、こうやってアイドルをやってみようと思えたのは、会社員という道があったからだと思っています。

生きていくうえで、もちろん安定性っていうのはとても大切なので、そのために1本の道を持つことは必要だと思います。そこで、他に少しでもやりたいことが見つかったら、その脇道にちょっと入ってみようとしてみてください。安定性を求めるために、寄り道をしないんじゃなくて、1本の道があるからこそ入れる新しい道に、うまく折り合いをつけながら進んでみてください。

やりたいことをすべて切り捨てる、なんていう人生はもったいないですからね。自分だけの、上手な人生の選択肢のとり方っていうのを探してみてください。


あろえ ーー 私も全部を諦めないっていう選択はできると思いますし、自分はそれが出来たと思っています。

本業のOLをしながら、憧れていたアイドルになれたということは、やはり挑戦してみようと思えたからだと思います。

どういう選択をすればいいかっていうのは、向き不向きがある以上個人によって違うとは思うんですけど、自分の見える範囲内で、ぜひ挑戦をしてみてください。


(インタビュアー:高橋利幸・岡田元)

公開日:2023-10-09

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