4月下旬、マイクロソフトが主催する、IT人材を生み出す国際学生ITコンテスト「Imagine Cup」の日本予選決勝ラウンドが、スタートアップ企業向けのInnovation Awardと共に、日本マイクロソフト株式会社で開催されました。
Imagine Cupでは、世界の学生が、Game、Innovation、World Citizenshipの3部門でアイデアと技術力を競う大会で、この日本予選を勝ち抜いたチームにはアメリカで開催される世界大会予選への道が開け、さらにその予選を勝ち抜いた1チームが本戦に出場できます。
では早速、9組の学生がしのぎを削った大会の模様をお伝えしましょう!
まず開会式で挨拶をしたのは、日本マイクロソフト株式会社の取締役平野拓也さん。
創業者ビル・ゲイツの「大企業は怖くない。怖いのはパッションでどんどん突き進む学生だ」という言葉を引用しながら、ITだけでなく社会にインパクトを与えてほしいと参加者を激励しました。
いよいよ日本予選の決勝ラウンドが始まります。
決勝ラウンドに残ったのはこの9組。
「Innovation」 「Citizenship」
・Project Stinger ECC / コンピューター専門学校
・SenRaku / トライデントコンピューター専門学校
・Cubo / バンダンゲームアカデミー
・CASPER / 東京大学
・Bionic Scope / 筑波大学
・Jackln Space / 東京大学
・素敵な劇しまSHOW / 鳥羽商船高等専門学校
・乳幼児睡眠呼吸器チェッカー / 東京電気大学
・SaNaVi / 鳥羽商船高等専門学校
そして審査員にはスカイランドベンチャーズや株式会社ギブリーなどが集まりました。
それぞれのチームが順にプレゼンをしていきますが、 学生の大会ということで、大勢の人を前に話す緊張がとても伝わってきました。
それでは各部門の優勝チームをご紹介します。
この部門で重視されるのは、まさしく「Fun」。 いかに楽しいゲームかということが伝わればいいわけですね。
この部門で優勝したのは…トライデントコンピューター専門学校が開発した「SenRaku」!
ルールは簡単で、碁盤目状にブロックに区切られたフィールドで相手のアバターを囲む線を書くと、囲まれた部分のフィールドが落ちて、そこにいるアバターも一緒に落ちます。相手のアバターを多く落とした方が勝ちというゲームです。
4人のプレゼンは、色違いのトレーナーが目にも楽しく、冒頭の自己紹介を英語でするなど、次のステップを意識したものでした。また、動画を使って、ゲームを分かりやく、楽しく説明した点も印象的でした。
とてもシンプルなゲームですが、その裏にはプランナーの田口さんのある想いがあります。
田口さんはe-sportsの大会に出た際、会場の盛り上がりにとても感動したそうです。こんなに楽しいe-sportsをもっと広めたい、その想いから子どもにも分かりやすく、誰もが楽しめるゲームを開発したかったそうです。 このゲームがe-sportsの入り口になってくれればということでした。
将来的にはe-sportsのオリンピックを実現したいという夢もあり、この夢をしっかり伝えられたことも勝因のひとつだったのではとコメントしてくれました。
SenRakuは、当日来場した観客の投票で決まるImagine Cup オーディエンス賞も獲得し、観客の心もしっかり掴んでいました!
この部門は、その名の通り、技術のイノベーションを競う部門です。どのように新しい技術なのか、ですね。
この部門の優勝は、筑波大学の「Bionic Scope」。
こちらは一言で表すと、超高性能双眼鏡。
これまでの双眼鏡と何が違うかといえば、以下の3点です。
・ウェアラブルの機器であること
・最大ズームは光学30倍
・瞬きなどの直感的操作
カメラを組み込んだディスプレイを頭に装着し、顔の表面にある筋肉の動きを感知させることで操作できるので、手を使う必要が無いのです。手作業をしながら簡単に視界をズームでき、手術などに使ってもらえるのでは、とのことでした。
そして驚きはそのズーム力。 ビルの上から通りの人をはっきりと見ることができます。 この映像には、会場の観客が一斉に「おぉー」と声を挙げました。
受賞後のコメントでは、「大切なのは何回もチャレンジする精神。僕たちも3回、4回、色んな大会や学会に挑戦して、やっとここで賞を頂けました。諦めずに挑戦し続けたことが要因かもしれません。」とお話してくださいました。
この部門では社会問題にたいするソリューションをIT技術で提示します。
受賞者は、鳥羽商船高等専門学校の「SaNaVi」。 これは小型船事故防止システムです。
学校が港の近くにあり、船の事故は彼らにとってとても身近な問題だったんですね。
Windows Phoneで、船の位置情報や、進路、速度をクラウド上に記録して、接近する船の存在を知らせるなど、船舶事故の原因の70%を占めるという「見張り不十分」に対するソリューション。
同じ目的の他の商品と比べてSaNaViは、専門知識が必要なく、さらにスマートフォン一つで導入できるので、誰でも簡単に、より多くの人に使ってもらえるとのことでした。 実際に国土交通省などからも声がかかっているそうです。
勝因には、「このシステムが実際に使えるという有用性」を挙げていました。世界大会予選での英語のプレゼンについては、「準備はしていますが、自信は無いのでこれから頑張ります(笑)」とのことです。
鳥羽商船高等専門学校では、学校の授業を通して、また同好会の活動の中で、自分たちでプログラミングをして大会にエントリーするという取り組みがされているそうです。
以上がImagine Cup 2016 日本大会決勝ラウンドの模様でした。
世界大会予選は夏に行われます。
是非活躍してほしいですね!