「私たちにとってそれは音楽でした」女子大生3人組バンド・Chelsyが語る“やりたいこと”の見つけ方。

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Chelsy:現役女子大生3人組のガールズバンド。2014年9月にメジャーデビュー。ボーカルのMIO(写真左)、ドラムのAMI(写真中央)、ベースのSHIZUKA(写真右)のメンバーで構成されている。

メンバー脱退、レコード会社との契約打ち切りを乗り越えて今がある


ーーChelsyさんについて、まず教えていただいてもよろしいでしょうか?

AMI:私たちは「等身大の自分たちの思い」で日常に寄り添えるような歌手です。日常の中には、例えば笑いたい時だったり、泣きたい時だったり、色んな感情があると思います。私たちは、そういう日々の感情に寄り添える音楽を作ろうと活動しています。

また、私たちは現役の女子大生ということもあって、今の気持ちが同じ世代の人にも共感してもらえるかなと思っています。

MIO:あと、ライブに重きをおいて活動しています。日々に寄り添う部分も勿論ですが、苦しい瞬間を楽しい瞬間に変える応援ができるように、ライブでは非日常感を味わってほしいと考えていまして、ライブでその抱えていた気持ちを全部ぶつけられるように、やっていけたらと思っています。

ーーChelsyさんを結成したきっかけは「みつばち軽音学部」(編集部注:ソニー・ミュージックによる次世代ミュージシャン育成プログラム)での出会いだったと思うのですが、もともとは知り合いじゃなかったということで、そういう状況で結束力を強めあうってなかなか難しいと思うのですが、どういうふうにして仲を深められたのですか?

MIO:バンドを結成したのが2011年で、みつばち軽音楽部っていうのは3ヶ月間、近藤さんというプロのプロデューサーに教えてもらうプログラムだったんですね。そのプログラムをみんな別々で受けていたために、もともとは全然お互いのことを知りませんでした。

SHIZUKA:最初は本当に「集められた」という気がしていて、どこか上辺だけの関係だったんですけれども、メジャーデビューする話があった時にレコード会社と契約を切られてしまったことが一回あって、その時に、これからどうしようという話をすごくして、そこから結束力が高まって今に至ります。

ーー具体的に、どのような話をされていたのですか?

AMI:今まで支えてきてくれたレコード会社を失ったので、サポートしてくれる方がいなくなってしまったわけですよね。もちろん、近藤さんはそれでも近くにいるって言ってくださって、今もこうして関わって一緒に楽曲制作をしてくださっているんですが、やはりそういう立場に陥った時に、私たちはこのまま続けるのか、それとも続けないのかっていう話し合いをすごく深い部分までしました。

そこで、自分たちがどうしたいのかという明確なビジョンを今まで持っていなかったため、もっとそうしたビジョンをしっかり持っていこうと。そうしないと、自分たちでちゃんとやっていけないって思いまして、話し合いを何度も重ねました。

もともと、MIOはシンガーソングライターのYUIさんにすごく憧れていて、YUIさんをプロデュースしている近藤さんのオーディションということもあって、みつばち軽音学部を受けたのですが、バンドを組むことになった段階でシンガーソングライターの道も一度考え直し、Chelsyを離れたこともありました。

ChelsyにMIOがいない間、色んな人と一緒に組んでみたんですけど、やはりChelsyにはMIOがいなければダメだという結論が出て、MIOにもう一回やらないかっていう話し合いをして、その過程で今までできていなかったような深い話をしました。

はじめは誰もガールズバンドに憧れてなかった

ーーMIOさんがいなければダメと思った理由はどこにあったのでしょうか?

AMI:Chelsyって見た目は女の子3人で、キラキラしていると思われるかもしれないですが、MIOの歌声って女の子3人のバンドでキラキラしているだけではなくて、どこか影があるんですよね。それはMIOの人生経験から生まれたものだし、MIOのちょっと切ない歌声がChelsyの大切な部分を担っていると思っています。

ーーMIOさんはシンガーソングライターのYUIさんに憧れていたり、バンドメンバーの3人はそれぞれ違うことをやりたいと考えていたと思うのですが、そこからどういう流れでガールズバンドをやろうとなったんですか?

SHIZUKA:誰もガールズバンドに憧れてなかったもんね。でも、バンドで、音楽で成功したいという気持ちがあったから、向かう目標があったから、この3人で頑張れているというのはあるかもしれませんね。

AMI:自分たちはガールズバンドを極めるという気持ちではなく、自分たちはすごいガールズバンドなんだという自覚もあまり持っていないと思います。

MIO:音楽が好きっていう共通点はあるよね。

AMI:元々知り合いではなく、オーディションを通して知り合ったため、音楽的なルーツもばらばらだったんですよね。それでも大きなバンドになって、色んな人に音楽を届けたいっていう明確な目標を持っていました。それが一緒だから、4年目になった今でも続いています。みんなバンド自体の経験もなかったですし、Chelsyをどのように成長させていくのかというところから始まりました。みんなで一緒に成長してきたことが、とても大きいですかね。

ーーその成長の過程で、挫折やつらい時期があったと思うのですが、最大の挫折ってどういう時、どういうところだったのでしょうか?

SHIZUKA:やはり先ほどのMIOが一回抜けたこともそうだし、レコード会社から契約を切られたこともそうだし、スタートした時はメンバー4人だったので、1人いなくなったりとか。一番とかはなく、その都度その都度で迷ったし、悩んだりしていて、それを切り開いていったのは自分たちでした。

AMI:自分たちでその都度、苦しかったとかいうのはあんまりなくて、これからどうしようって考えて進んできた感じですね。解決策は自分たちで見つけていった感じではありますね。

日常に寄り添う楽曲と、非日常的な空間としてのライブ

ーーちなみに今、どれくらい練習されているんですか?

AMI:ライブを定期的にやっているので、ライブ前に週1〜2回練習しています。空いている時間は個人練習とか、学校に通っています。

ーー今の音楽活動の情熱の源はどこにあるんですか?

SHIZUKA:みんなひとつの目標に向かってやっていることです。

AMI:今は小さい箱でライブをやっているんですが、アリーナツアーをやるという目標があって、そこに向かってみんなでイメージを共有しながらやっていますね。共有しているからこそ、そこがモチベーションかなと。

SHIZUKA:自分たちの好きな音楽でお客さんを楽しませたいという思いがあって、どうしてアリーナでやりたいのかというと、アリーナだったら花火が使えたり、音楽だけではなくてショーとして表現できると思っていて。私たちのやりたいショーができるところがアリーナだなと思うため、アリーナツアーを目標にしてやっています。

AMI:私たちの音楽を使って、五感を使いながら楽しませたいという思いがすごく強くて、そのためにも自分たちが会場を飾り付けたり、あるテーマに沿って会場を作ったり、ライブのMCも工夫しています。例えばジャングルの世界にして、ライブ中にミックスジュースを作って飲んだりとか。そういったエンターテイメント的なことも好きで、ライブに来てくれるお客さんに日々の悩みとかを忘れさせてあげたい。非日常的な空間を作りたいと思ってやっているので、アリーナだったら、それがもっと大きな規模でできるのではないかと。

ーーChelsyのみなさんはライブで、どういう時に一番テンションが上がりますか?

SHIZUKA:お客さんが楽しんでくれているのをみて、こっちもテンションが上がりますね。このお客さん、ここでこんなふうに手を挙げてくれるんだ、みたいな。ずっとやり慣れている曲でも、場所だったり、お客さん次第で盛り上がり方が違ったりするので、そこはすごく楽しいですね。

AMI:それでまた演奏の仕方も変わりますね。

ーー先ほどAMIさんがおっしゃった「お客様に非日常の空間を提供する」というのは、お客さんをどういう気持ちにさせたいという意味なんですか?

AMI:普段は日常に寄り添った曲を書いていることが多いのですが、それはつらかったことに対して自分たちの曲で寄り添ってあげたい、という気持ちがあるからんです。でも、日常で感情をさらけ出したりすることって難しいじゃないですか。ライブの会場では、そういう日常を忘れさせてあげてステージに夢中にさせたいと思っています。ディズニーランドにいるみたいな感じですかね。そういうわくわくを味わってほしいですね。

ーーそれは実現できていますか?

SHIZUKA:実現できていると感じてしまったら、そこからの成長が止まってしまうと思います。たとえ今日よくても、もっとよくできるよねって、反省会をします。

ーー反省会で、どういうところが課題だと気づくんですか?

AMI:日常を常に忘れさせることって難しかったりするので、お笑いにしろ、アナウンサーにしろ、「間」ってすごい大事だと思うんですよね。そして「間」ひとつにしても反省点がたくさんありますね。

SHIZUKA:しっかりお客さんに熱中してもらうために、私たちが恥じらいをなくすことも大事だと思っています。

AMI:お客さんと私たちで場を作りあげていると思っていて、自分達が高まってきていると、びっくりするぐらいお客さんにもそれが反映されるんですよね。

作詞・作曲をする際に込める思いとは

ーー 一昨年にメジャーデビューされて、アオハライド(編集部注:2014年7月から9月までTOKYO MX、MBS、BS11で放送されていたアニメ)の挿入歌にもなったと思うのですが、デビューにあたって覚悟だったり、心境に変化ってありましたか?

MIO:メジャーデビューしたから何かが変わったわけではなくて、メジャーデビューする前から、お客さんからお金をもらってライブをすることに対して、意識はあんまり変わっていないですね。

ただメジャーデビューによって、大阪に呼んでもらったりするようになりました。活動の場が広がったというのはすごい大きかったですね。

ーー音楽活動のなかで、どんな悩みを皆さんそれぞれお持ちなんですか?

AMI:みんな普段から思っていることを共有しているので、悩みっていうどちらかというと後ろ向きで、ネガティブな感じのものより、次はこうしようとか、あそこにいくためにこうしなきゃみたいな前向きなことが多いかと思います。

MIO:目標が決まっているので、悩んでいてもそこで立ち止まっている時間は無駄だと思います。前へ、前へという感じです。

ーー周りからの評価に対して、しんどいなと思うことはありますか?

MIO:きっと皆それはあると思うんですよね。全然だめかもと思う時はあるかもしれないけれど、どうしたら前に進めるかを考えた時に、自分が置かれている立場に対して、状況を変えてみたり、変わろうとしても変われないなら、色んな方法があると思います。評価が良くなくてダメだなと思った時は、一回時間をおいてみたり。いろんなことを試すのは大事かなって思いますね。

AMI:私は単純な性格なので、悩みや行き詰まった時は「どうしよう」みたいな感じになってしまうこともあります。でもやっぱりバンドメンバーに対して相談をする。こうしたらどうか、という新しい案をもらって、そういう考え方もあるのかと理解します。そうすると新しく見えてくるものがあるんですよね。

SHIZUKA:バンドなので、仲間がいるのがすごい心強いですね。

AMI:なのでバンドメンバーには相談しますね、友達という域を超えて。それぐらい信頼関係はあります。

ーー作詞、作曲でメッセージを込めるために、普段意識していることってありますか?

MIO:共感が一番大きいかなと思っています。YUIさんの曲を聴いていてもそうなんですが、色んなアーティストさんの曲を聴いた時に、自分と同じ状況の曲だと思うことってあるじゃないですか。そういうのって、つらい時とか、苦しい時によけい響くと思うんですよね。失恋にしろ、夢に対しての葛藤にしろ、共感してもらえる歌詞には、すごい重点を置かないといけないと思っていて。なので、曲は日常に寄り添うことを意識していますね。

ーー共感される歌詞を書くために、普段から意識していることはありますか?

MIO:人と話すのはすごい大事だと思っています。家族にしろ、メンバーにしろ、たくさん話をすることによって、その時の感情が見えてくると思っています。

たくさん悩んだ時こそ、人と話しをする。苦しくなった時は、ひとりで殻にこもりたくなるけど、人と話してみるのがすごい刺激をもらえるし、その度にこういう考え方もあるんだなって思ったりしますね。

AMI:私は、自分がつらくなった時に出てくる言葉をすべて書いておいて後から見返します。私はこういう感情の時、こういうふうに感じていたんだなって思い返すと、こういう人にはこういうふうに伝えればいいんだなってことがわかるので。歌詞を試行錯誤する中で、キーワードとして取っておく必要があるのかなと。

SHIZUKA:私は曲作りにおいては作家タイプなので、感情を重視するのではなくて、こういう曲を作ろうって考えて作っています。

バンドと大学の両立、そして就職活動について

ーーみなさん大学に通っていると思うのですが、学業との両立はできていますか?

AMI:どの大学もテストが行われる時期は近かったりするので、その時は活動を抑えてもらおうとか、その点はみんな大学生で良かったなと思います。

ーーまわりが就職活動しているのを見たりして、不安が出てきたりしますか?

MIO:みんな頑張っているのは一緒なので思わないですね。

ーーご両親の反対とかは……?

SHIZUKA:本当にありがたい話なんですが、私たちの親は応援してくれていて、ライブハウスにも来てくれたりします。みんな応援してくれて本当にありがたいですね。

MIO:私は大学に進学するつもりがあまりなかったんですが、母と大学には進学すると約束していて。でも私は勉強ではなく、音楽を本当にずっとやってきたんですね。それを母が見ていて「音楽を頑張りなさい」って言うのと同時に、たくさんの人と触れ合うことは絶対に後悔しないよって。それで、大学に行きなさいって。

ーーご両親は応援してくださっていると思うのですが、まわりからは大学との両立は難しいんじゃないかという声もあるかと思います。

AMI:現実的には厳しい世界が待っていると思う、そこに関しては。確かにまわりと比べられたりってことはあると思います。ただ、自分たちは自分たち自身の目標をみんなで共有して、同じ道を進んでいるので。それがあれば大丈夫だと思っています。

ーーあんまりリスクは感じていないですか?

SHIZUKA:私は他の仕事をやっている自分が想像できないですね。自分でイメージや映像を頭に流して、そこに向かっていくことはすごい大事だと思うんですよね。そこに辿りつけないんじゃないかという思いがなくなる、そう思う隙がなくなるので。

ーーアリーナでのライブのその後って考えられていますか?

AMI:アリーナツアーが終わりというわけではなくて、叶えれば叶えるほど、いっぱい夢が出てくると思う。ある一定の目標として本当にアリーナに辿り着きたいし、アリーナツアーをした後で、また新たな目標が出てくると思うんですよね。

ーー最後の質問になります。大学生って社会人になる一歩手前で、自分のキャリアを考えている・悩んでいる人が多いかと思います。みなさんは音楽で活躍していると思うのですが、今までの活動を踏まえて、人生に悩んでいる学生の読者に向けて一言お願いします。

SHIZUKA:就活をはじめた友達で「SHIZUKAはいいよね、やりたいことがあって」と言ってくる人が多い。でもその時に、みんなよりやりたいことがちょっと早く見つかっただけだなって思うのです。そんなにみんなと変わらないって思っています。悲観的にならなければ、やりたいことはいつか見つかるはずです。

MIO:私たちは音楽だけど、個人個人は違うし、やりたいことは幸せになりたいでも良いと思っている。ただ、自分が何のためにやっているのかを考えた時に、それが正しいのか正しくないのかは決まっていない。だから、まずはやってみるっていうのは大事なんじゃないかな、と思います。それで違ったら、またやってみてという感じで。そうすることでしか、成り立たないと思う。

AMI:私達はたまたま音楽っていうだけで、生きている人にはみんな、たくさん失敗があるじゃないですか。今、大成功している人って何倍も失敗しているわけじゃないですか。なぜ失敗しているかって言ったら、やったからじゃないですか。何かをやることってすごい勇気がいると思う。その勇気だけ出したら、あとは全部進んでいく。勇気っていうのは、音楽をやっている私たちも、今トップにいる人たちもみんな出しているもので、人間みんな出すものだから、みんな怖がらないで勇気を出していくことが大切なんじゃないでしょうか。

この記事を書いた学生ライター

Tomoya Maekawa
Tomoya Maekawa
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co-media編集長の前川です。ものすごくサッカーが好きです。

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