ーーまず小中高と音楽をされてきたということで、楽器をはじめたきっかけを教えていただいてもいいですか?
原田:小学1年生の時に、ピアノを習ってる子が多かったんです。学校に置いてあるピアノで皆が「ねこふんじゃった」を弾いているのに、私は「チューリップ」しか弾けなくて(笑)。その時から負けず嫌いだったんですけど、どうしてもピアノを習いたいってお母さんにお願いして、ピアノをはじめました。
小学校の時に「この曲、OK」って先生に言われて花マルをもらって、「次はどの曲を弾きたい?」って先生が棚から楽譜を出してくれて、その時にすごくワクワクしていた記憶が今でも強く残っています。新しい曲が楽しみだなとか、そういう新鮮味とかワクワクを持ちながら、高校は音楽高校に入って、そこから国立音大に進学しました。
ーー音楽高校、国立音大に進学しようと思ったきっかけは?
原田:音楽が好きなのが一番大きかったんですけど、その当時習っていた先生が音楽高校でも先生をしていて。ちょうど音楽高校が実家から徒歩5分のところにあったこともきっかけのひとつですね。そのおかげで小学校のときから音楽高校の演奏会によく遊びに行ったりしていました。
ーーちなみに、音楽高校ならではの雰囲気や印象的だったエピソードはありますか?
原田:基本的に音楽の授業が多いので、授業でやった曲をみんな昼休みに歌ってたり、椅子をひく音が何の音か当てたり。そういう独特な文化はあります。
ーー大学入ってからも音楽一筋の中で、なぜそこからWebの道を志すようになったのでしょうか?
原田:高校3年生くらいの時から「将来どうしようかな」ってことを考えていて、その時に夢がなかなか見つからなかったんです。音楽をやっているし子どもも好きだから、保育士さんがいいかなとか、音楽の先生をやろうかなとか考えていたんですが、あまりこれといったものがなくて。
そこで何をしたいか考えた時に、男の人にも負けずにバリバリ働いているような女性になりたいという、ぼんやりとした未来像があって。「プラダを来た悪魔」って映画があるじゃないですか。こういった強い女性が戦っている映画が好きだったので、憧れがありましたね。
そのためにはどういう勉強をしたらいいんだろうと思って知人に相談した時に、今はプログラミング学習が流行っているし、それを職業にしなくても、あって損するものじゃないからやってみればと言われて、思い切ってパソコンを買いました。
ーーそれまでパソコンを持っていなかったんですか?
原田:そうです。元々は機械音痴でした。学校のパソコンの電源もどこかわからない、本当に機械をさわらない人だったので(笑)。
ーーそこからパソコンを買って、勉強を始めたと。スクールに入るまでにプログラミングの勉強ってしていたんですか?
原田:していたんですが、挫折しました。まずは本を買って勉強してみるんですけど、当時はパソコンをほぼ触ったことがない状態だったので、パソコンの使い方はそもそも本には載っていないし、その辺でまず挫折。
その後、なんとか本1冊を終わらせて、自分で何か作りたいなって思ってコードを書き始めても、結局は何も作れてなくて。そこで、また挫折をしました。わからないことは調べれば出てくるけれども、そもそも何て検索すればいいかわからない。やっぱり聞く人がいないと難しいですよね。もちろん独学でもできると思うんですけど、私の場合はすごく時間がかかっちゃったかな。
ーー数あるプログラミングスクールの中でWebCampを選ばれた理由というのは?
原田:まず知人に紹介していただいたのが偶然WebCampだったのと、私の性格的に長くやるよりも短期間で詰め込んだほうが追い込まれて勉強するので、1ヶ月のコースであることも魅力的でした。
ーーWebCampのカリキュラムはどんな感じだったんですか?
原田:デザインコースは、基本的に1つのウェブサイトを1ヶ月間で作ってみるものです。はじめはロゴを自分で作ってみたり、イラレやフォトショを使ってみたり。1から教えてもらって、最終的にウェブサイト作れるようなカリキュラムでした。
ーー苦労したことはありますか?
原田:作っていく上でわからないことは多かったですけど、わからないところがあってもリモートですぐに対応してくださるので、基本的には10分以内に返事が来て解決できたり。あとは紙に書いてメモしていただいたり、すごく丁寧に対応してくれたので、そこまで苦労はしませんでしたね。なので平日は学校に通いながら学習システムで自学習を進め、土日は講義を受けるためにスクールに通っていました。
ーー具体的にどういうサイトを作られたんですか?
原田:私はその時、ピアノ教室のサイトを作ってみたいなと思って、1ページなんですけど、デザインを何度も練り直しながらサイトを作りました。
ーー独学で勉強することと、スクールで習う時の違いって、どこにありますか?
原田さん:私の時は、生徒さんが私含めて4人だったんですよ。始まったばかりのときだったので。相談できる人がいたり、質問できる人がいたり、それって独学だとできないのですごく助かりましたね。
ーーWebCampに通う前と通った後で、どういう成長がありました?
原田:Webサイトを作れるようになった時は達成感がありましたし、本当に嬉しかったですね。あと前までは生活習慣が崩れっぱなしだったんですけど、うまく勉強時間を作るようにスケジュール管理ができるようになりましたね。他にもWebに対する興味が増えました。サイトとか見ていて、この言語で作ってるのかなとか。アプリを見ていても、こういうふうなつくりで作ってるのかなとか、これ作るの大変だったんだろうなとか思います。
ーーWebCampを卒業してから、今は講師をやられているんですよね。どういうコースを教えてるんですか?
原田:半年間のコースなんですけど、たまにキャンプのWebデザインコースのほうも教えたりしていて。
ーー習う側から教える側に立って、そこでの意識の変化ってありました?
原田:コードの書き方が変わりましたね。今までは自分ひとりで書いていたので、自分さえわかればいいやって思ってたんです。けれども先生という立場だと、生徒がよりきれいなコードが書けるように、自分自身もきちんとしたコードが書けないといけない。あと知識にしても、なんとなくわかっていたからそのままにしてたものが多いんですけど、なんとなくだと教えられないので。自分でもしっかり理解できるように、知識を深めたり本を読んだりしています。
そして、教えることって大変なんだなって実感しました。自分がわかっていても伝わらなかったり、相手はほとんどが初心者なので、どう経験のない方にうまく伝えられるかって考えますね。とりわけ、できるだけ簡単な言葉を使うことを意識しています。横文字やカタカナの言葉を使う人って多いと思うんですけど、私もさっぱりわからないので。経験のない方の目線に立つことができるのは、本当に未経験で始めたからこそできることなのかなと思います。
ーー自分の中で「音楽」という軸と「技術」という軸があるわけじゃないですか。この軸をどう活かしていきたいですか?
原田:音楽って、クラシックだと特に若者はあまり聴かないと思うんです。なので、クラシック音楽やピアノをより身近にできるようなものを作れたらなと思います。
ーー音楽を演奏することと、コードを書くことで通じる部分はありますか?
原田:ピアノもプログラミングも継続して勉強しないと、だめになってしまいます。
ーーなるほど。表現として通じる部分ってありますか?
原田:ピアノもコーディングも、どれだけセンスがあっても基礎がしっかりしていないとできないじゃないですか。あと演奏やサイトのデザインに関しても、自分がインプットしたものが自然と出てくるんです、その人の性格があらわれるんですね。
ーー原田さんの場合だと、どういった性格があらわれるんですか?
原田:演奏を聴いていると、せっかちなんだろうなとか、ゆったりしてそうな人だなとか。私も性格的にがさつ、大ざっぱなところがあるので、演奏に出ててるよって先生に言われたり、怒られたりします。
ーーそれをプログラミングに置きかえると……?
原田:ひとつでもコードが間違っていたら全部崩れたりするので、そういうミスをまたやったね、ここ間違ってるよと、よく言われます。私は全体像をなんとなくイメージして、こんな感じかなと思ってやっちゃうので、そういう部分はこの機会に変わるかなと。(笑)
ーー最後になりますが、プログラミング学習について、これから学ぼうとしている方にメッセージをお願いします。
原田:独学で学んでいて、挫折しかけている方にはスクールで勉強することはすごくおすすめです。プログラミングに関しても、できる人が足りてないって言われるので、スキルとして持ってて損はしないです。それに私はプログラミングを勉強して人生の幅が広がったかなと。今まではピアノばかりだったんですけど、そこからすごい広がったなって思います。
勉強することに伴なって、エンジニアの方だけではなく、色んな方と知り合えたり。女性の方だとデザインを勉強すると、自分でかわいいもの作れたり、LINEのスタンプ作るとか。自分で楽しみつつ、それがお金にもなる。
それが胸を張ってスキルとして言えるようになるので。例えば英語を勉強すると世界が広がるって言うじゃないですか。それと同じくらい、プログラミングは勉強すると英語と同じくらいの影響を自分の人生にもたらすかな。
今は講師として教えていて、生徒の人数もだんだん増えてきて思うのが、人数が多いので同じ夢を持ったコミュニティができる。新しい仲間ができて、そこから仲良くなってという方が多いので、生徒さん同士でわからないところは休みの日に一緒にカフェで勉強するとか、相談し合える仲間がいる。私の場合は音大で、Webのことを知っている友だちが少なかったので、そういう仲間を作りたいっていう方にはすごくオススメです。