「SFCは新しいモノ好きが集まる場だった」SFC出身の起業家3人が学生時代を振り返る

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今年で25周年を迎える、慶應義塾義塾SFC。AO入試を先駆的に導入したり、来年度からは「情報」のみの入試をはじめるなど、新しい取り組みに常に前向きな校風が、ユニークな人材を惹きつけている。SFC25周年イベントで記念シンポジウム「SFCの起業家たち」が開講された。柳澤大輔氏(面白法人カヤック代表取締役)、山口絵理子氏(株式会社マザーハウス代表取締役兼チーフデザイナー)、関山和秀氏(Spiber株式会社取締役兼代表執行役)、ユニークなSFC出身の起業家3名が登壇。各々が起業したきっかけや、SFCで学んだこと。そして学生からの様々な質問に答えている。

「クモの糸」研究をはじめて10年でついに実用化へ

國領:皆さん、こんにちは。司会をさせていただきます、國領です。どうぞよろしくお願いします。まずは簡単な自己紹介のあとに、今までやってこられた取り組みの内容や、いま何を企んでるか、そんな話をお願いします

柳澤:こんにちは。3期生、カヤックの柳澤と言います。会社の説明をする時、普通は事業の話をするんですが、創業当初の我々の場合はやることが何も決まっておらず、面白い会社を作ろうということだけが決まってました。それで面白法人とつけまして、サイコロを振って給料を決めたりもしました。今は社員が200人近くいますけど、9割がクリエーターという組織構造を見ても、職種を偏らせていると非常に面白い評価性ができますし、組織の観点から面白いということで取り上げていただくケースが多いですし、そこにイノベーションがあったんだと思うんです。

面白法人カヤックっていう会社は名前は知ってるんだけど、事業的にどんなことをやってるかあまり知らないっていう方が多いと思います。実はコミュニティを作ることが得意で、たとえば今はもう譲渡してしまったんですけど、声優を集めた「koebu」という、おそらく世界初の音声投稿サービスを作りました。ユニークな、他にあまり存在しないコミュニティとして利用されました。

山口:マザーハウス代表の山口絵理子と申します。私は2004年にSFCを卒業して、バングラデシュの大学院に行きました。元々は世界銀行にすごく憧れていたんですけど、その2年間 、援助を求める人たちの手に届いていないんじゃないかなという問題意識のもと、自分に何ができるかを日記に書きながら過ごしていました。そのときに現地の特産品であるジュート(黄麻)と出会って、コーヒー豆やジャガイモの袋ではなく、もっと単純にかわいい・かっこいいと思ってもらえるものができたらと思ったのが、マザーハウスを立ち上げた一番最初のきっかけです。

やりたいことが明確になっても、それからアクションを起こすのは非常に難しくて、自分なりには結構苦労しました。アジア最貧国から、日本に向けて素晴らしい品質のものを作り上げるために2007年、起業して1年後に自社工場をバングラデシュで作りました。”マトリゴール”といって、現地の言語でマザーハウスという意味です。

私自身もそちらの工場で朝から晩までひたすら鞄を作っているという、アナログな毎日です。人力車で工場に行って、お昼になると隣の川で魚が捕れますので、そこで手で魚を捕って食べる。皆さんの近未来的な活動を見ると恥ずかしくなってしまうのですけど、ものづくりで毎日毎日、糸がどうだとか、革がどうだとか。バングラデシュの牛からレザーをとっていて、第一次産業で毎日夜まで仕事してます。

関山:Spiberの関山です。こんにちは。私は2001年に環境情報学部に入りました。いろんな研究やってたんですけど、高校生のときは文系で、まさか自分が研究者になれるような脳みそはないと思っていました。SFCではバイオの研究室に入って、自分はどちらかというと「誰かすごい研究してる人と組んで事業をやりたいな」と思っていたんですが、なかなかいいテーマが見つからなくて……。それだったら自分でやらないといけないのかなと思い、テーマを探し始めて、クモの糸の研究開発に至りました。

飲み会の席で「クモの糸すごいんだよね」という話になり「じゃあ、作っちゃう?」という流れです。それが夜中の2時か3時だったのですが「じゃあ、メディアセンター(編集部注:大学図書館のこと)に行こうぜ」と戻ってきて、まずクモと書いてある本を全部探して借りて、「クモの糸すごい! やるしかないっしょ!」といったふうに始めたんです。

2005年に研究を始めて、2007年に会社を作って8年経ったんですけど、来年「ノースフェイス」とコラボレーションして、実際にその糸を使ったパーカーをはじめて販売するところです。意外と、やればできるんです。でも、結構時間がかかりました(笑)。

「大量生産の先に何があるのか」疑問を持った

國領:ここからいくつか質問させていただきます。キャリアや進路選択の中から、起業したのか必然なのか、偶然なのか。

柳澤:僕自体は、何か世の中に変化を起こしたい、こんな事業をおこしたいという考えはなかったので、自分はそんなに起業家志向ではないと思っています。でも同時に、よくよく考えると、最初に「面白法人」を作り、会社ってもっと面白くていいんじゃないかという強い思いがありました。やりたい事業があったというよりかは、組織作りのほうから入っていきましたね。

國領:山口さんは、どうしてバングラデシュの大学院に辿り着いたんだろう?

山口:大学4年生のときに、3~4ヵ月くらい、ワシントンの米州開発銀行でインターンをさせていただいた時がありました。その時に国際機関の皆さんが、データの正しさを議論するときに、フィールドを見ることが軽視されていると肌で感じたんですね。そこで私としては一度現場に行ってみたいという気持ちで、ワシントンのオフィスで「アジア 最貧国」と検索してみたら、その当時はバングラデシュという国が出てきた。それがきっかけでバングラデシュに行き、2004年から2006年まで現地のBRAC大学院で、開発学を勉強しました。

2年間滞在している中で、外出禁止令とか、政治のせいでなかなか市民としての生活がままならなくて憤りを感じることが多かったんです。

じゃあ、ビジネスって何だろうと思いまして、たくさん工場を回ってみたんですね。そうしたら、「中国より安く作る」ことが最終ゴールと考えている工場長さんがたくさんいらっしゃるのを現場を見て知りました。私は「大量生産の先には何があるのだろう?」と、ずっと考えていたんですね。その時に、付加価値があるものを、例えば量が少なくてもお客様の笑顔のために作ることができないものかなというのを夢に描いて。

國領:そこでもまだ自分でやるところに踏み込むのは、やっぱりジャンプが必要だった?

山口:はい。大学院の夜間が6時からだったので、5時まで何しようかなと思って。ビジネスも勉強してみたいと思っていたので、現地の三井物産でアルバイトをしていたんですね。その時にマイバッグが流行になっていたので「ジュートのマイバッグはどう?」とプレゼンしたんですけど、大手町の三井物産の方々に、「カントリー路線」という言葉をつきつけられました。

貧しい国としての不安定さから何も事業が生み出せない。ましてや新しい素材なんて、新しい工場なんて話にならないということですね。その時「12年たったら一人前だよ」と、その先輩に言われて。12年後、数は少なくても自分の思うようなジュートバッグが1個でもできることのほうが私はいいな、自分らしいなと思ったんです。そこで起業しなきゃいけないんだ、と感じたんですね。

國領:関山さんは就職は考えずに、はじめから事業をはじめたいと思っていた?

関山:就職する選択肢はなぜかアイデアとして思い浮かばなかったので、選択肢として考えたことなかったんです。なぜか自分でやるもんだと、小さい頃に思っちゃってたんですね(笑)。

SFCには、新しいものに前向きな人が集まっている

國領:大学は皆さんにとってどんな意味がありましたか。

柳澤:カヤックには代表取締役が3人います。普通は何かがあったら誰の責任だということになるんですけど、実際は、本当に人間的に考えると、1人の責任なわけがない。必ず色々な要因が絡まっていて、連帯責任じゃないですか。そういう組織論を生物学的にとらえていくことで、代表3人でやること自体、非常に新しい感覚で取り組めました。それは、大学が新しいものに対する嗅覚がある人たちの集まる場だったからかなと思います。

國領:学生からの質問をいくつか受けさせていただきます。「学生時代と今と、面白いと思ってることのギャップはあるか」。

関山:学生時代と今のギャップ……。事業が進めば進むほど、新しいチャンスや新しいインスピレーションが湧きすぎて大変なことになるので、更に何かやらなきゃってことを思いついて、大変ですね。今までやってきたチャレンジよりも、今やろうとしていることはさらに大変ですし、これがずっと続いていく気がするので、一回終わったような感覚は全然なくて「だからこそ面白い」と思っています。

山口:一番最初はゼロをイチにする興奮や、何か壁を破った、向こう側に何があるかなという気持ちから、とにかく自分で前に突き進む毎日だった。でもあの時と今は、少し喜びが違うなと思っています。それをスタッフがやってくれるときの喜びは、非常に大きいですね。ネパールで中心となってやるスタッフが、日本につれてきてもいいくらいの役職に育つとか、自分以外の主人公を育てるときの興奮は、また全然違う角度であるなというのをすごく感じています。

日本に帰ってきて「日本にいてもあまり仕事がない」と思い、改めて自分の居場所はどこだろうと考えました。そこでやはり私は、ゼロをイチにする仕事をすべきだなと思ったんです。そこで、最近はインドネシアのジョグジャカルタで、職人さんと一緒にジュエリーを作っています。自分にしかできないことをやろうって改めて思えたので、2015年はもう一回プレーヤーに戻った気分で、すごく有意義な年だなと思ってます。

面白く働くと、怒られる?

國領: 「パートナーはどう決めたのか」「仕事に対する態度について。面白く働いてると怒られるのですが、楽しくちゃだめなんですか」これはいかがですか?

柳澤:例えばスポーツをやっていて、絶対に勝ちたいから多少気に入らないけどうまいメンバーと組むことと、多少へたくそでもこいつと組んで勝ったら面白いから、そのチームでやるかどっちが好きかは、突き詰めていくと半々ぐらいだと思っています。

「何をするかは大事だよね」と言っていますけど、本当に何をするかが大事な人は、このパートナーと一緒で絶対に勝つという覚悟を決めてますから、そういうこと自体がパートナーを選ぶ基準になってるんですよね。

カヤックは3人で共同代表をしてますけれど、もともとそういう感覚でスタートしています。途中でつまずきそうになったことは何回もありましたけど、今まで続けてこられたのは、こういった考えがベースにあるからだと思うんです。そもそも何をするか、誰とするかが重要だということに重きを置いているから、やり続けていられる。

面白く働いてると怒られるという質問でしたけど、業種にもよると思います。元々堅い会社では、面白く働くのはミスマッチが起きることもあるでしょうし。評価が文化を作るので。

我々は面白く働く人を増やすし、そういう人を評価する会社にしようとしている。面白く働いていること自体を評価制度に入れているから、常に爆笑が起きたり、社内で寝ていたりしてても大丈夫な構造になっている。そういうのが「けしからん」という話になる会社も当然あるでしょう。もしあなたが本当に面白く働くことに重きを置いているのであれば、そのお堅い会社は合っていないっていうことだと思います(笑)。

國領:まだまだ聞きたい話はたくさんあるんですが、貴重な話をありがとうございました。

この記事を書いた学生ライター

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