”アベノミクス3本の矢”、この言葉を聴き始めて随分と時間が経過した。就職活動の面接や筆記試験でもアベノミクスについて出題されている。ただ実際に3本の矢が何を意味しているのかを理解している人は少ない印象だ。今回は"2分"で読めるようにアベノミクスの骨子である3本の矢について解説していく。
去年12月に新しい内閣を発足させた安倍晋三首相。 安倍首相が行うのは、"公共事業"、"大胆な金融緩和"、"成長戦略"の三つを「三本の矢」として次々に実行することで、日本経済の足を引っ張る「デフレ」から脱出し成長に繋げていく経済政策だ。アベノミクスが目指すのはインフレである。
※デフレとは? モノの値段が下がり続けることをデフレと呼ぶ。 (一見モノの値段が下がるため聞こえはいいかもしれない。ただ、モノの値段が下がると、会社の利益が減ってしまう。つまり給料が減ったり、解雇になったり、といったことに繋がりかねない。
もともとは、アメリカのレーガン大統領(1981年-1989年)が掲げた経済政策が、「レーガン(Reagan)」の名と、経済を意味する「エコノミクス(economics)」を組み合わせた造語「レーガノミクス(Reaganomics)」と呼ばれて流行した。
アベノミクスは、「安倍」と「エコノミクス」を合わせて作られた造語である。
①「大胆な金融政策 (金融緩和)」=お金の量を増やすこと
まずインフレにするためには市場にお金を入れなかければならない。そこでまずは第一の矢として「大胆な金融政策」を実行した。安倍政権は日銀法の改正も視野に入れた上で、2%の物価上昇目標を掲げるよう働きかけ、その目標が達成されるまでは無制限の量的緩和策を取ることを決定したのだ。 つまり、企業や家計へのお金の貸し手となる銀行のお金を増やすことで、世の中に出回るお金を増やし、景気を良くしようとする策である。市場の原理としてたくさんあるものの価値は低くなる。これにより、円安が進み、株価が額面で上昇することが景気の回復に繋がり、デフレからの脱却も可能になる。 これがアベノミクスの考え方であり、第一の矢だ。
②「機動的な財政政策 (財政出動)」=公共事業にお金を投入
そして市場にお金を入れた後にはそれを企業に使ってもらわなければならない。政府は国のインフラ事業、つまり公共事業(主に土木工事)などに財政資金を投入し、雇用者を増やすことで、景気を回復させることを目指す方針を決めた。これが第二の矢である。
③「民間投資を喚起する成長戦略」=経済を発展させる
最後に、新しい企業が出てくる事を推進する政策だ。昨今の安倍首相のアメリカのシリコンバレー訪問もそういった意図がある。アメリカを支えているのはGoogleやFacebookといった新しい企業だ。ただ、日本では既得権益による規制が厳しかったりし、新しい企業がなかなか生まれにくかったりしていた。そこを変えていこうというのが第三の矢が意図する所だ。規制緩和等によって民間企業や個人が真の実力を発揮できる社会を目指すのだ。具体的には以下の4つを政府は主要ポイントとして上げている。
1)企業の投資を促し、民間活力を最大限に引き出す。
2)女性、若者、高齢者等の人材の活用の強化。
3)世界共通の課題に取り組む中での新たな市場の創出。
4)日本企業の対外進出や対内直接投資の拡大を通じた世界経済との統合の推進。
これが第三の矢だ。
ただこうしたアベノミクスにももちろん反対の意見は存在する。具体的には以下の二つが代表的に懸念事項だと言える。
1) 消費税増税等によりインフレが進む中、労働者の賃金上昇が実現しなければ、国民の購買力は低下する可能性がある事。
物価が上昇してモノの値段が高くなり、企業の収入が増えても、その増えた利益を企業が従業員の給料UPに使わなければ、従業員の所得は上がらない。物価だけが高くなっていく一方で所得が増えなければ、何かを「買おう」という意欲がなくなってしまう。
2) 政府が公共事業を増やすことにより、人手不足、資材不足が起こっている。資材や人材の不足は、価格を上昇させ、結果として民間投資を圧迫することになる可能性がある事。
停滞しているところに急に仕事がくれば、働き手や材料を新たに調達しなければならない。その際、たくさんのところで人と材料に対する需要が高まって数が足りなくなってしまう。少ないものの価値は高くなるので、企業は高い経費を払って人を雇い、材料を使って仕事をしなければならないので、企業の業績が落ちてしまう可能性がある。
などが挙げられる。
アベノミクスはまだまだ道半ばだ。これからの消費税の増加も延期されたばかりだ。これからどのようにアベノミクスが機能していくのか。これからの安倍政権の政策に注目だ。
大学一年次よりスタートアップに興味を持ちアプリ開発/ベンチャーでのインターンシップを経験。 現在、学生の視野を広げるco-mediaとインターンシップから築く新しい就職の形InfrAを運営する株式会社Traimmuの代表。 サッカー観戦とジム通いが趣味。