—— 諸戸さんはCROOZ社の執行役員として新卒採用を担当されていました(現在はPR・IRを担当)。ベンチャーにとって、会社を加速度的に成長させる人材を採用することは肝要。人事を担当されていた際に、学生に求めていた能力はどのようなものなのでしょうか?
諸戸友さん(以下、諸戸):一言で言うとするならば「なんでも食べる」です。資料のコピーから会議室の予約、電話の一次対応…。雑務であろうが好き嫌いを見せず、仕事を拾いにいく学生を採用したいと採用活動をしていました。
—— なんでも食べる“素直さ”が肝要と分かっていても、業績に直接つながるように見えない雑務を避けてしまう若手は多いように思います。“雑務”とどう向き合えば良いのかお聞きしたいです。
諸戸:雑務の先にある目的を意識することですね。雑務を言われた通りにこなすのではなく、タスクの目標や目的を意識し「森を見る」ことのできる若手は、将来的に機会を掴んでいきます。
—— 森を見る…?
諸戸:資料のコピー1つとっても、ただコピーをとるのではなく、“上司やクライアントが目を通す資料”であることを意識するだけで行動は変化してきます。資料に目を通し、議論のゴールを意識することで「こんな情報が必要かもしれない」と情報を追記してくれる若手は、“木”ではなく“森”を見ることのできる人材です。
若い頃はビジネスの肝を理解できないので、不必要な情報を載せるだけになってしまうかもしれません。しかし、上司はアクションを起こした新入社員を無下にせず「こうすべきだった」とフィードバックをおこないます。
そこでフィードバックを真摯に受け止めた若手のアクションの質が上がっていくのは必然ですよね。いいアクションが続けば、重要な会議に同席できるチャンスをつかめるかもしれません。
—— 上司からフィードバックをもらう機会を作り続けることで、アピールするチャンスが巡ってくるということですね。
諸戸:はい。清濁併せ呑むことのできる“素直さ”と、タスクを目的から考えることができる“逆算思考”を持っている若手と一緒に働きたいですね。
—— なるほど。諸戸さんはそういった“伸びる若手”をどのように見抜くのでしょうか。
諸戸:いくつかありますが、1つは面接時に必ず学生時代に「やり抜いた経験」を聞くようにしています。
自分なりの“WHY”を突き詰め試行錯誤を繰り返した学生は、他人や環境に左右されず、やるべきことを見出す能力を持っています。伸びる人材の要諦である、経営者的な“自責思考”を持っているのです。
学生時代に何をしたらいいか分からない人がいたら、「ハマるものを見つける」をテーマに行動することをお勧めしたいですね。
—— ここ数年、学生のキャリア選択には大幅な多様性が生まれました。ベンチャーへの就職やフリーランス、起業……。学生にとって「大企業にいけばOK」という考え方は過去のものとなっています。多様なキャリア選択があるなかで、学生はなにを“軸”にキャリアを選択すれば良いのでしょうか。
諸戸:ひとそれぞれ適正や能力によってキャリア選択に多様性があるので、断定することはできません。しかし、ビジネスを通じて大きなことを成し遂げたいならば、成長している企業を目指すべきだと思います。
—— なぜでしょう?
諸戸:事業が“10から100になる過程”を現場で見て体感できるからです。成長している企業であればあるほど、“価値”を大きく広める手段を持っています。将来的に成し遂げたいことがあるならば、“1から10”や“10から100”のやり方を学ぶ時間は、決して無駄ではないはずです。
諸戸:学生起業を否定するつもりはありません。しかし、自転車で早く走り出すより、じっくり原付を買う準備をする手段もあることを知ってもらいたいです。
—— なるほど…。もし諸戸さんが22歳なら、ファーストキャリアはどのような選択をされるのでしょうか?
諸戸:極端に大企業か極端にベンチャーのどちらかだと思います。大企業では、巨大組織が巨大である理由・仕組みを学びにいきたい。また、数億・数兆円規模のプロジェクトに参加できるのも大企業ならではの経験です。“組織の一員”として、ベンチャーにはない独特の緊張感を感じることができるんじゃないかと思います。
一方、ベンチャー企業で働く醍醐味は、すべて自分たちで生み出す実感があること。若手から裁量権を持ち、プロジェクトを進めるのはチャレンジングですし、変化の著しい環境にいる楽しさがありますよね。答えになってないかもしれませんが、どちらに行っても楽しいんじゃないかなと思っています。
—— 諸戸さんは新卒でリクルート代理店に就職、営業を経験されています。多くの新卒が営業を経験すると思うのですが、営業を経験を通して、現在も活きているものがあればお聞きしたいです。
諸戸:営業で手に入れられるスキル…根性ですかね。
—— 根性…ですか。
諸戸:はい。会社や上司・取引先と渡り合っていくために必要な“筋トレ”と捉えるならば、ファーストキャリアで営業を経験するのは無駄ではありません。僕は大学時代に強烈に努力した経験がなかったため、必要な時間でした。しかし、そういった能力は体育会でも培うことができますよね。
—— 諸戸さんは経営層とコミュニケーションをとるノウハウ・スキルを、営業時代に培っているのではないかと思っていました。
諸戸:たしかに営業を通じて、多くの経営層と出会うことができました。しかし、営業時代に得たのはスキルではなく、「経営意識を持った人間と話すことが好き」だという自分の性質に気づけたこと。現在の仕事を進めるための“WHY”を発見できたのは大きかったですね。
—— 「好きなことで生きていける時代」と言われる一方で、表層的な成功・自己実現にとらわれ、失敗を恐れる若者が増えているような気がしています。これから来る就活シーズン、学生にメッセージがあればお伺いしたいです。
諸戸:あまり考えすぎないほうがいいんじゃないかな、と思います(笑)。就活が始まると、有名企業の内定を獲得した同期は立派に見えるし、先に進んでいるように見えるかもしれません。
しかし、本当に大事なのは与えられた環境で「やり抜く」ことができるかどうか。「やり抜く」ためには、自分が本当になにをやりたいのか、知る必要があります。
—— 自分がやりたいことを知るにはどうしたらいいのでしょうか。
諸戸:結局、人間は自分で触れたもののなかでしか判断できないもの。だから、行動するしかないんじゃないかな。インターンでもOB訪問でも、自分が頑張り抜くことのできる環境を選ぶ努力を惜しんではいけないと思います。
仮にその努力ができなかったとしても「与えられた環境でやるしかない」と割り切らなければいけないタイミングは必ず訪れる。一番恐れるべきは、どこへ行っても頑張れないことです。
他人事のようですが、結局は自分次第。雑務だろうが、自分で意義を見出せる学生が、これから生き残っていくのではないでしょうか。
—— まさに「なんでも食べる」人材が勝ち抜くことができるということですね。
ちなみに、私たちクルーズの社長特命執行部では、なんでもやる覚悟・やり抜く力を持ってる勢いのある新卒・第二新卒を募集しています。
社長特命執行部では、経営企画だけでなく、広報PR・採用・M&A・ファイナンス・投資・IRなど幅広く業務を行なっています。
まさに「なんでも食べる」そんな人をお待ちしております。ぜひTwitterからDMしてください。
諸戸友さん:プロフィール
クルーズ株式会社 執行役員 / 最高広報責任者CBO
1980年生まれ。2003年に新卒でリクルートの代理店に入社、2007年にベンチャー企業に特化した採用コンサルティングを行う株式会社アイ・パッションの創業メンバーとして参画、1,000人以上の起業家との出会いを経て、2012年クルーズ株式会社に入社後、執行役員に就任し、社長室、広報、ブランディング、新卒採用などを担当。現在は最高広報責任者CBOとしてグループのPR/IRを担当する。
Twitter:@morotoy_crooz