前回の記事を読んでくれた皆さま、ありがとうございます。2017年は、本格的に模擬国連について記事を書いていきますので今後ともよろしくお願いします!
前回の記事でお話したように、私は11月に神戸で開催された模擬国連世界大会にセルビア大使として会議に参加しました。大会を終えて、その仕事もようやく落ち着きました。
初めての国際会議は、難しくて辛くてしんどくて、本当に大変でした。しかし、会議前の莫大なリサーチ準備に追われる毎日と様々な意見を持った学生との4日間の会議の経験から得たものは本当に多くあったので、今回の記事で「学んだこと」として書かせていただきます。
私が参加した今回のECOSOC(国際連合経済社会理事会の略で、経済および社会問題全般を扱う国際機関)の会議は、「防災」がテーマでした。
世界有数の災害頻発国の日本に住む私達は、小学生の時から防災教育を受け、災害が起きたときにどう行動するべきか常日頃考えてきたことと思います。
しかし国際的には、自然災害に対する意識が国際的に向けられ、防災協力の枠組みが構築されたのは2005年で、かなり最近のことです。
今回の模擬国連世界大会では、2015年に宮城県仙台市で開かれた国連防災世界会議(World Conference on Disaster Risk Reduction)の枠組みの改善について議論したり、今後の災害に備えた新たな防災対策について意見を出し合ったりしました。
模擬国連世界大会の準備は7月から始まり、私はセルビア大使として参加することが決まりました。ロシア学科に所属しているので、関係の深いセルビアについてリサーチすることはすごく楽しかったのですが、すぐにある問題に行き当たりました。
日本語で書かれたセルビアの情報はとても少なく、日本語でのリサーチに限界があったのです。大学の図書館に行ってセルビアの本を探しても6、7冊しかありませんでした。
仕方なく英語でリサーチを始めると、今度は見たことのない英単語や専門用語がたくさんあり、1つ1つ辞書で調べていきました。最初はリサーチするだけなのに1日に2〜3時間くらいかかって、思うようにリサーチが進まず、苦労しました。リサーチして得た情報をまとめる作業を夜中までやっていたときは、英語でまとめることの難しさにぶつかって、しばらくは憂鬱でした。
長い準備期間でアカデミック且つプロフェッショナルな情報ソースを見つけ、文献と格闘したことで、自分の努力次第で国際問題を学び続けることができることを実感しました。
資料やデータの探し方やコツは、今後も使えるのですごく嬉しいです。最初は、情報がたくさんあって混乱したり、逆に調べたい情報がなかなか出てこなかったりするので、そういう場合にいくつかのリサーチソースを知っておくと便利だと分かりました。例えば、国連公式HPやNHKやBBCNewsにアクセスしてサイト内検索やページ内検索で作業がとても効率的になりました。これについては、今後の記事でもう少し詳しく皆さんに共有したいと考えています。
日本ほど災害に備えたインフラ整備や教育活動が充実している国は少なく、セルビアもまだまだ整備が足りない国の一つでした。そのため、セルビアの視点から防災について把握する必要があります。政策を調べなおしたりすることは、新たな学びや考え方に繋がり応用のきっかけになります。
セルビアは、毎年多くの洪水が起こる地域。特に2014年に起きた大洪水のせいで、インフラ整備などの復興に莫大な費用がかかり、経済的に大きな被害を受けました。国際問題をいくつかの国の視点(私の場合は日本、セルビア、その他セルビアと政治的な繋がりが強いロシア、ドイツなど)から見据えて学ぶことができるようになり、セルビアもロシアも洪水の被害が多いという点で共通しているのに主張する点が異なるのは、各国の経済や歴史、政治や宗教などによって大きく異なるのだと分かりました。
会議中は、自分たちの考える政策案や文言を発表したり、交渉したり、とにかく自主的に動く必要があります。そのために私は、毎日小さな目標を紙にリストアップして、それを達成するために動いていました。例えば、会議1日目は「全ての大使と一言でいいから会話して、自分の名刺を渡そう!」や「セルビアが考える政策をスピーチで言おう!」などです。どんな小さな目標でも、自分が何をすればいいか分からなくなった時にそれらが指針となり、とても助けられました。
会議中、私は、声が小さい上に話すのも遅いらしく、発言しても無視されて、他の学生が話し始めてしまうことが多々ありました。でも、手を挙げてみたり、聞こえてなかったら分かってもらうまで何度も同じことを言えば、誰かが聞いてくれて助けてくれました。
語学力があり、国際問題に強い関心と希望を持っている各国の参加者の高いディスカッションスキルに圧倒されて、彼らの振る舞いを見本にしようとした思うこともありました。しかし、セルビア大使として振る舞うということは物事の考え方についてであって、行動そのものを外国人のようにすることではないと気づきました。無理して外国人のように振舞うのではなく、普段の自分通りに表現すれば、真剣にディスカッションに参加していることは相手に伝わります。
ありのままの自分を受けて入れもらうことで、自分の意見も理解してもらいやすくなりました。セルビアは自然災害の防災を行うための経済的な余裕がなかったりや防災の知識、技術が十分でないことから企業や国際機関とパートナーシップを強化することを主張していきました。この意見は、多くの大使に理解してもらい、会議の決議案にその意見が反映されていました。
模擬国連世界大会に参加することは、不安だらけでしたが、たくさんの友達や先生が支え、励まし、助けてくれたおかげで最後までやり遂げることが出来ました。
恐れることなく、新しい機会にチャレンジしていくことは、自分次第でこれからの人生をどんどん広げていくことができるのです!
こんにちは。神戸市外国語大学ロシア学科一回の尾迫志央理です。 高校生の時からロシア情勢に関心を持ち始め、より深く学ぶために大学でロシア語やロシアの文化を勉強中です。