その一角を占めるFacebookを創り上げた男が、マーク・ザッカーバーグです。今ではその名を知らない人がいない実名制ソーシャルネットワークサービスが誕生したのは2004年に、つまり、たった十数年前のことです。
昨今は中国企業の台頭も見られますが、世界時価総額ランキングでは「トップ10」を外さない巨大勢力。学生時代にこの“黒船”を立ち上げた天才の人生を紐解いていきます。
マーク・ザッカーバーグは1985年5月14日、アメリカ・ニューヨーク州ホワイト・プレインズに生まれました。父・エドワードは歯科医であり、母・カレンは精神科医です。
裕福な家庭に生まれ育ったザッカーバーグですが、「おねだりすれば、なんでも買ってもらえる」といったように、甘やかされて育ったわけではありません。
エドワードは、まだ幼いザッカーバーグに「バスケットボールが欲しい」とお願いされましたが、断固として断りました。なぜなら、その理由が「みんながやっているから」だったそうです。
父のエドワードの教育方針は、「周囲に流されることなく、本人が興味を持っていることに全力を注がせること」。
本気でやりたいことであれば全力で支援するが、そうでない限りの支援をしないのです。
ザッカーバーグが本気で興味を持ったことの一つが、コンピュータープログラミングでした。エドワードはまだ子供だったザッカーバーグに機会を与えます。コンピューターの専門家を、家庭教師としてつけたのです。
するとザッカーバーグは、あれよあれよとプログラミングを習得します。1年ほどで、「もう家庭教師が教えることがないほどに」マスターしたといいます。
ザッカーバーグがどれほどプログラミングに長けていたかを証明するエピソードとして、12歳のときに開発したソフトウェア『Zuck net(ザックネット)』について触れます。
『Zuck net』は、歯科医であった父のために開発したソフトウェア。歯科医院に来院した患者が、受付にあるパソコンに名前を入力すると、その情報が診察室のエドワードの元に届く仕組みです。弱冠12歳にして、診察をスムーズにするソフトウェアを創り上げてしまいました。
高校生時代のマーク・ザッカーバーグは、フェンシングチームのキャプテンであり、数学・天文学・地理・古文・フランス語・ヘブライ語・古代ギリシャ語を得意としていて、“天才”との呼び声が高かったそうです。
しかし、傲慢で内気な性格ゆえに、「本当の友達」といえる人は2人もいない有様でした。幼少期には「かるい体罰でしつけをしても一向に問題を理解しなかった」というエピソードもあり、少し変わった性格は過去から今まで変わらないようです。
もともと地元のアーズリー高校へ進学していましたが、2年ほど在学したタイミングで、中退を考え始めます。父・エドワードに「学校での勉強に意味を見出せなくなった」と告げたそうです。
しかしエドワードは、マークを諭します。
学校は人生で一番大切なことを学ぶ場所なんだ。
それは勉強なんかじゃない。人と人とのつながりなんだ。
どんなに優秀でも、それを無くした人間は幸せにはなれない
ザッカーバーグは中退することを辞め、転校することを決意します。転校先は、自宅から300Km離れた「フィリップス・エクセター・アカデミー」。
卒業生の大半がハーバード大学、コロンビア大学、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学といった名だたる名門校へ進学する超名門校です。
高校を卒業後、ザッカーバーグはハーバード大学に進学。ハーバード大学への入学は、彼がFacebookを創り上げる大きな転換点となりました。
大学に入学後、ザッカーバーグは、同じ授業を履修している他の学生のリストを参照できるサービス「Coursematch(コースマッチ)」を開発します。
その後、Facebookの前進となる、女子学生の容姿を格付けするサービス「Facemash.com」を立ち上げました。同性同士の写真を2枚並べ、どちらがより「Hot」かを投票するサイトです。
しかし、その下劣なアイデアから大学内で問題となり、立ち上げ後すぐにアクセス権が無効となってしまいます。
ハーバードの女子学生たちから総スカンをくらったほか、ハーバードのコンピューターシステムを混乱させたとして、大学から呼び出されて査問されるなど、ザッカーバーグはハーバード大学の「問題児」として扱われていました。
ザッカーバーグは大学から保護観察処分を受けることになったのですが、その処分が、かえって彼の起業家精神に火をつけることに。
「The Facebook」を立ち上げるきっかけとなり、「The Facebook」の人気はすぐさま爆発。サービス開始からたった1か月で、ユーザー数1万人を突破しました。
Facebookは、今では私たちの生活と切り離せないサービスになっています。
名刺交換をするようにFacebookで友達申請を行い、業務の連絡はFacebookの連絡ツール「Messender」を当たり前に利用します。
私生活への浸透度の高さから、「出会い」を仲介するツールになり、「浮気増加」に一役買ってしまうほどです。
リリース以来利用者は増え続け、さらに、買収により企業規模も拡大中。ハーバード大学の「問題児」は、世界を代表する天才であり、アントレプレナーだったのです。
彼の先見性の高さは、Instagram社の買収からも伺えます。
社員わずか13人、売上高もほぼゼロの状態だったInstagramを、ザッカーバーグは10億ドル(約810億円)で買収しました。
買収の一報が一巡した後にわき上がったのは、「なぜ?」という疑問です。
当初は「何が面白いのか分からない」という否定的な反応が出たほどのサービスだったInstagramに、ザッカーバーグだけが高値をつけました。彼を「バカだ」と思った人も少なくなかったでしょう。
しかし蓋を開けてみれば、大成功の買収劇だったことが分かります。
2018年のInstagram社の推定売り上げは、80〜90億ドルです。ユーザー数と売り上げは今もなお拡大しており、今後ますます成長していく見込みです。
ザッカーバーグが残した名言に、彼の人生を象徴する一言があります。「The riskiest thing is to take no risks——リスクを取らないことが一番のリスクだ」。
また彼は「誰だってスマートに仕事をこなしたり、直接的に利益を生み出せる様なスキルを獲得するチャンスがある。しかしそのことを信じなければ、力を発揮する事はできないんだ」とも語っています。
Facebookの立ち上げも、Instagramの買収も、GAFAと称される世界最強の企業をつくれたことも、全ては「自分を信じること」から始まったと言えるのではないでしょうか。
OGP Via Amazon