皆さん、こんにちは! 「Israel Startup Channel」の稜真です。今回は、イスラエルが「中東のシリコンバレー」と呼ばれる理由や、イスラエルで出会った70歳の”起業家”を紹介します。
イスラエルは18歳から男性で4年間、女性で2年間兵役に従事します。全員が兵士として働くのではなく、共通のカリキュラムのようなものを受けると、それぞれ成績などから部署に配属されます。全てを把握はできていませんが、会ったことのある中でいくと、諜報機関、国境警備のようなものを始め、デザインなどの業務についている方もいました。
この兵役こそが、多くの起業を生む理由のひとつだといえます。王道のキャリアは軍事レベルのプログラミングを習得した後、GoogleやAmazonなどの世界を牽引するハイテク企業に入り、その経験を持って起業するというもの。
また起業の仲間集めも兵役時代の同僚を誘うので、すぐに集まります。またマインドの面でも軍で厳しいトレーニングを受けた彼らにとって、起業など難しいものでもないという自信があり、そこがイスラエルの起業文化を強くしている部分ではないかと感じています。
もう一つ理由を挙げるとするならば、内需の小ささゆえにグローバルスタンダードでビジネスを始めなければならないという点です。統計的にも、イスラエルのIT産業は80%以上が輸出によってなりたっています。
生産したテクノロジーのうち、20%しか国内で消費されていないのです。前回お話した通り、イスラエルの人口は900万人程度で、GDPは3180億ドル、ランキングで言えば香港に次ぐ34位と先進国の中でも低いです。
それはそもそもイスラエル自体がまだ建国して70年と歴史が浅く、市場自体もまだ他国と比べると熟成しきっていません。逆に日本は少子化で人口が減少していると言われながらも人口は1億3000万人近くおり、約5兆ドル、世界GDPランキングで3位にあります。またトヨタやパナソニックなど先代が築き上げてきた産業があり、そもそも国外に広めなくても飯を食っていくだけの十分な市場があります。
イスラエルはこのような歴史的背景から、最初からアメリカやEUの市場に合わせてプロダクトを設計します。勿論その国のマーケットのことを本当に理解している現地人よりも、マーケティングなどで苦労する側面はありますが、それを埋めるための技術力があるので対等に戦うことができます。
最後に、起業に関連した面白いエピソードを紹介しようと思います。4ヶ月前まで70歳のおじいちゃんとルームメイトをしていたのですが、そのおじいちゃんにディナーに誘われ、一緒に出かけました。
そこにはおじいちゃんの友達の70歳のおばあちゃんがいて、自分が日本出身でスタートアップをしていると言うと、「私も実はスタートアップをしてて、介護施設向けのビッグデータを活用したアルゴリズムを開発してるの!ぜひ日本で一緒に売らない?」と会ってその場で、鬼のピッチが始まりました(笑)。
これは稀にあることではないんです。GDPの12.9%をハイテク産業が占めるイスラエルの中でも、特にハイテク企業の集中するテルアビブで、話しかけた人がエンジニアの確率は高いということなんです、それが70歳のおばあちゃんであっても。
〜追記〜
Webサイトをオープンしました!
http://pangetern.com
Pangeternという会社をイスラエルでやってます。「Israel Startup Channel」というイスラエルスタートアップを動画で紹介するメディア、Retubeというインタラクティブ動画スタジオの日本での代理販売が主な事業内容です。