私が「ドイツでサッカービジネスに携わりたい」と思うようになったのは、中学生の時。中学の時に発症した病気が原因で、それまで続けてきたサッカーを断念したという理由から、それ以降はサッカーをする代わりに観る機会が多くなっていきました。そんな時に、久しぶりに訪れたJリーグのスタジアムで試合を見たことがきっかけです。
スタジアムに入るなり、サポーターの地響きのような応援が作り出す素晴らしい雰囲気に感動を覚えました。当時の強い衝撃は、今でも忘れることはありません。しかし、会場は熱気で包まれているのにもかかわらず、スタジアムには空席が目立っていたのです。素晴らしい雰囲気があるのにも関わらず、それに見合った観客数がいないような感じがしました。
しかし、世界中のスタジアムがそうというわけではありません。例えば、世界一の平均観客数を誇るドイツのブンデスリーガは、1部ともなればどの試合もほとんど満員で、熱いサポーターに埋め尽くされています。ドイツのサッカークラブ運営に直接携わり、そのノウハウを学べば、日本のサッカーに生かすことができる。を将来的には、日本サッカーにこの学びを反映させたい、と十代の時に強く思うようになりました。
ドイツリーグの層はプロ・アマチュアを問わず非常に厚く、FCバサラマインツが所属する9部リーグだけでも505ものリーグがあります。それに所属するチーム数は約6818チームにもおよびます。中には100年もの歴史があるチームもあり、地域に強く根付いています。
5部リーグともなれば元プロ選手も在籍しており、一般的に言われる4・5部リーグ以下のアマチュアリーグ間の距離は非常に近いと感じます。実際に2014年にバサラマインツが発足し、11部リーグで戦っていた時にプレーしていたある日本人選手は現在5部リーグ首位のチームで活躍しています。
※先日行った4部のチームのファン。6000人以上の入場者数でした。
このようにドイツのアマチュアサッカークラブの多くは地域社会から大きな声援・支援を受けています。それは長い時間をかけて、地域の人々の信頼を勝ち取った結果ではないかと思います。一方でバサラマインツはまだ創設3年目で、まだまだホーム試合に来てくれる観客が少ないことが実態です。そのために現在より地域に根付いたクラブ運営を目指すために様々な活動を行っています。具体的には「地域貢献活動」・「日本人コミュニティへの積極的な参加」・「日独Facebookページの運営」等を行っており、今回は4月初旬に行った清掃活動についてご紹介させて頂きたいと思います。
ドイツでは地域の清掃というものの多くが行政主体で行われているような印象を受けます。例えば街で小さな清掃車を見かけることが非常に多いです。しかし地域の人が主導で街を綺麗に保つというものはあまりないのかなと感じます。ここは日本の文化の良い面を少しでも多くこちらで出したいと思い、4月初旬に初めてチームで清掃活動を行いました。清掃をするにあたってマインツ市から清掃道具を提供してもらい、選手達は楽しそうに清掃活動を行っていました。多くの通行人からは興味深そうな視線を受けましたが…笑
これまでにもいくつかの外国人資本がサッカークラブ運営に携わった例はありますが、その中で私が一番心配している点が失敗した例の中の多くが地域に溶け込むことができずにスタッフ間の中でも国籍間で溝が生まれてしまうということです。そういうことは避けるために私が心がけていることが、日本人主導でなくドイツ人スタッフとなるべくコミュニケーションを取って常に情報共有をしておくということです。清掃活動もドイツ人スタッフの協力を得て実現できたことですし、これからも一緒に何かを成し遂げていきたいと思います。ドイツ人スタッフの存在は必要不可欠で、日本人スタッフの思うクラブ運営などの知識の常識と彼らの常識には多くの違いが存在すると思います。そのため常に行き過ぎたりベクトルが違った方向に行かないように彼らの意見も尊重して上手にバランスを取る必要があると感じます。
日本の大学に通う21歳。専攻は政治学。現在休学してドイツのサッカークラブにてインターンシップを行っている。大のサッカー好きで、ほぼ毎週末はドイツサッカー観戦をしている。