イギリスから、的場優季です!今回は、偏見と独断で選んだ、3年分のカルチャーショック体験を5つのトピックでご紹介します!私の好きな、ゆるりとしたヨーロッパ感が伝わると思います。
おそらく、移住して最初に「欧米っぽさ」を目の当りにするのは、公共の場所での人々の振る舞い方やマナーではないでしょうか。日本で同じことをしたら白い目で見られること間違いなし。
例えば、電車でも電話やビデオ通話オーケー。バスの椅子であぐらをかいているのは序の口で、脚を載せる場所があればその長い脚、どこでも載せます。一時帰国後、空港から大学へ戻る長距離バスで前の席の背もたれに足を伸ばしている女の子を見て、戻ってきたなぁ…と思いました。ちょっと姿勢の想像がつかないかもしれませんが、すごーく低い姿勢で座って脚が顔の前にある状態です。女の子ですよ、女の子。
どこでも床に座る。人待ち、電車待ちをしているとき、物を食べるとき、おしゃべりするときなどなど。
どこでも果物をかじる。あんなにカワイイ人がバナナ食べながら歩いてる…!とまじまじと見てしまったことがあります。リンゴなどの果物がカバンからおもむろに出てきてムシャムシャやりだす図、なんとなく想像つきませんか?「この人たちどこでも果物食べてる」と改めて気づいたのは、私が図書館でブドウを食べだしたら日本人の交換留学生に驚かれたのがきっかけ。確かに私も日本ではやりません。
そして買い物に繰り出すと、店員と客の関係のフランクさに驚くのではないでしょうか。
というか、店員の適当さに。
店員同士のおしゃべりなんて日常茶飯事。商品をストックしているスーパーの店員が床に座っていたり、商品が別の店員に投げ渡されていたり。髪を切りに行ったら美容師さんは鼻歌まじり。
でも服やアクセサリーなどをお店で選んでいるときに放っておいてくれるのはとてもありがたく、一時帰国して日本で服の買い物に出たときはかなり辟易してしまい逆カルチャーショックでした。
お客さんもまた寛容なので、カフェでアルバイトをする私にとってほっとすることもあります。お釣りを少なく渡してしまった時に「あ、いいよそのままで~」と去られてしまったり、レジをしながら「そのネックレス可愛いね!」と話しかけられたり。
ところで、初めてこちらに来た時の買い物で洗礼を受けた瞬間というのがこの会話。
私「コレありますか?」
店員「んー、知らない。」
私「…あ、オッケー…」
ヨーロッパ人っておしゃれなイメージあったんですが…と言いたくなります。なぜか皆履いている両ひざに穴の開いたジーンズ。真冬でも室内ならタンクトップ。同じ空間にタンクトップ短パンの人とコートで重装備の人がいる風景を見ていれば、衣服量販店に季節感のキの字がないのも分かります。
寒空の下クラブに向かう若者たちのノースリーブ・ミニスカートの格好を見れば、あなたたちの体温調節機能はどうなっているの?と目をむくことでしょう。
東京で数時間も人を見ていればその時期流行しているものが分かってくるものですが、イギリスではそれぞれ好きな服を着ているなぁという印象。いくらお腹が出ていようが足が太かろうがお構いなし。
頭まで届く立派なチシャ猫のしっぽをつけて歩き回っている男性がいた時は、さすがに学内でもちょっと知られた存在になっていました。
奇抜な髪色、タトゥーは当たり前。インターンの面接官の髪が紫色だったこともあります(落とされた)し、週一で髪色が変わる人もいます。
それから、靴下の左右ばらばら率が高い。気がします。人によりますが、男女の別はなし。
言い訳としては、「乾いているのをとってきた」「柄が似ているから許容範囲」。もはやそんな靴下を見ると「あ!」と嬉しくなってしまいます。
大学生活における行動範囲が極端に狭いのはこれらのおかげかもしれません。バーではピザなどの簡単な食べ物も出していたり、サークルの集まりが開かれたり、スポーツのライブを観たり、試験後に立ち寄ったり…。大学生活と大学内のバーは切っても切り離せません。
私の大学ではクラブは火曜日と土曜日の夜に開いており、何かイベントごとのあとに皆で行ったり、「ディズニー」「アンダー・ザ・シー」「キラキラ」などテーマに合わせた格好をして楽しんだりします。
というか、他に遊ぶ場所がないんですね…。
「洗剤を洗い落さないでお皿をそのまま乾かしたり拭いたりする」というのは典型的な、というかほとんどジョークのようなイギリス人の習慣。洗った身体も、そのまま拭くとか拭かないとか。言い訳は、「洗剤が蒸発するときに汚れを一緒に持っていくから」。
食についてイギリス人の珍話は尽きませんが、友達の家では、あまりにも料理をしないハウスメイトがどこでも茹でる前の固いパスタを食べるので、お風呂場にペンネが落ちているという話が最高傑作。同じ家でピーナッツを見たこともあります。
それからこれは考えさせられることもありますが、親との距離が近い。
家族にハグ、したことありますか?父と息子の間でさえ、電話を切るときに"Love you"と言い忘れると、「おいおまえどうしたんだ??」となるらしいです。
この大変さは、風邪をひいてみれば分かります。
39度前後の熱が出たことがあるのですが、まず熱が出たと感じても体温を測るということをしないらしく、体温計すら見たことがなかったイギリス人は39度出たと騒いでも辛さを分かってくれませんでした。 ‘Be strong!’などと言われますので、分かってもらうには見た目で苦しむしかありません。
「水を飲んで」「たくさん寝て」「水で冷やしたタオルを頭にのせて」などなんだか原始的(?)なアドバイスばかり。自分でつけた部屋の明かりすら誰かに消してほしいくらいの一人暮らしの病気。ネットに頼った末、熱は出して治すというこれまた極めて原始的なやり方で二日半ほど苦しんで熱は下がりました。
腰痛やのどの痛みが残っていたので、「塩でうがいをするとイイよ」とか「はちみつレモンがイイよ」と言うイギリス人に、「病院行けって言わないの?」と聞いてみました。インフルエンザではないのかどうか聞きに行こうと思っていたからです。
そうすると、「風邪やflu(インフルエンザ)くらいで医者に行く人はいないし、それこそ何もしてくれないで『水を飲んで、たくさん寝て』しか言われないと思うよ」と言うのです。「まぁ、fluなら医者もあなたに来てもらいたくはないと思うよ、まわりにうつるし」「病院で何かしてもらうには死にそうくらいじゃないと」と言われる始末。実はとんでもない病気で本当に突然死にそうになったらどうしてくれるんでしょう。
イギリスでは医療は無料なのですが(最近留学生に関しては変わったようです)、医者が多忙になりすぎる、コストがかかる等の理由で、そうした「軽い」ものへの対応は雑だそうです。鼻の調子が一週間ほど悪かったので予約をしに行きましたが、とれたのも三週間後。そのころには治ってるわ!と思いましたが治っていなかったので三週間後に行きました。
少し細かい話ですが、会話をしているうちに‘Hospital’と‘Doctors’も違うようだと気が付き聞いたところ、前者は総合病院、後者は診療所のような違いがあるようで、大学内にあるのはDoctorsにあたります。イギリスではくれぐれも「風邪でHospital」に行かないように。とても恥をかくことでしょう。ちょっとした風邪薬などは日本から持参することをお勧めします。