成績で評価しない!インターンシップで単位が出るテスト無しの学校がアメリカにあった!

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皆さん、学校に行って何をしますか?

もちろん、勉強ですよね。 小学校から大学まで、授業を受けて、勉強をして、テストを受けて単位・成績をもらう。それが学校ですることであり、「学校に行く」ということの定義でもあります。

しかしアメリカのニューヨークに、これらを一切しない学校があります。 その学校の名前はCity-As-School(街自体が学校だ、という意味のもと付けられた名前)。その名前の通り、ニューヨークの街全体を学校のキャンパスのように使っている、一味違う学校なのです。

というのも、この学校の区分は「オルタナティブ校」というものに分類され、普通の高校とは少し違う特徴があります。 アメリカの高校は普通の高校、専門学校、プレップ校(進学校)と、このオルタナティブ校という4つの区分からできています。CAS6そしてこのオルタナティブ校というのは、社会面や学力面で中退の危機にある生徒たちを対象にした高校なのです。

今回はそんな中でもとても興味深い活動をしているオルタナティブ校、City-As-Schoolに注目していきたいと思います。

まず、一番興味深い事は彼らの単位の取得方法です。普通の高校なら、授業に出てテストを受ける、という手順ですが、このCity-As-Schoolではインターンシップがメインです。CAS2彼らが教室で授業を受けるのは週にたったの数回で、それ以外は課外活動やインターンに費やすといいます。 学校と提携している組織・団体でインターンをすると、それが単位に加算されるシステムだといいます。

ですから、もちろんテストもなし。 その代わりに自分たちが加わったプロジェクトや経験をもとに自己作品集を作ることが求められます。 そういったインターンや、それをもとにした自己作品集で評価されるため、卒業年も決まっていません。作品集が完成したら卒業できるそうです。

そんな特色を持ったCity-As-Schoolの歴史の始まりは1972年にまでさかのぼります。 今はニューヨークにある5階建ての学校になったCity-As-Schoolも、当初はたった15人ほどの生徒で、場所も教会の地下にある部屋だったそう。

創始者であるフレデリック・コーリーは、教師時代によく生徒を課外授業に連れて行っていたと言います。なぜなら「教育はただの四方が壁で囲まれた部屋で行われるべきではない」と考えていたからだとか。

この考えが、彼が作ったCity-As-Schoolのコンセプトとして今も生き続けているのですね。

そして彼はこのような学校を作った理由として「生徒が考えなければいけない環境をつくるため」と語っていました。「状況や周りの人が変わっていったときに、こういう風にしろ、といちいち指示を出してくれる人はいない。それを自分でできるようにならなければならない」とも。

そんなCity-As-Schoolも今は300のインターンシップ提携先をもつほどの学校になりました。

City-As-Schoolに来るほとんどの生徒は17歳~18歳だそうで、やって来る理由も様々だそう。

タトゥーや(ボディー)ピアスでからかわれたり、性的志向のことでいじめられたり、また家庭環境や早い時期での出産によっての心身への影響を受けたり、など本当に様々です。

今でも約10%の生徒が仮設住宅や孤児院に住んでいるか、ホームレスとして生活しています。

しかし、この学校で受ける教育のお陰で生徒の約60%が学位と共に卒業していくそうです。

オルタナティブ校として、一時は中退した生徒や心に傷を負っている生徒をここまで育て上げるCity-As-Schoolの秘策は何なのでしょうか。6つまとめてみました。

 

1.新鮮なフルーツやベーグルを先生が生徒に持ってくる

CAS3食べ物で釣るのか・・・と思われるかも知れませんが、先生によると朝の授業に来てもらおうと思ったらこれが必要だそう。

 

2.「成績表」で評価しない

普通の学校では当たり前の成績をつける、という作業をせず、単位を取ったか取っていないかで判断するということのようです。その中での出来不出来は得意不得意によって人それぞれ。だから成績評価をせず、単位を取れたか取れていないか、という点だけで評価するのだそう。

 

3.アドバイザリーの時間を設ける

CAS5アドバイザリーというのは、アドバイス、という言葉に近いのですがその名の通り先生と同級生たちとカジュアルなコミュニケーションの場を設け、話したりアドバイスをし合ったりする時間のことだそうです。そこでインターンやプロジェクトの事を話し合うすることで、自分自身に対しても、周りに対しても理解が生まれるのです。

 

4.卒業後のサポートが充実している

その時その時の生徒だけでなく、卒業した生徒へのサポートも充実しているそう。

 

5.精神面へのサポートも充実

学校にカウンセラーや心理学者などを常駐させることで、生徒の精神的な不安などに常に対応できるようになっているとか。これはアメリカの中でも珍しいそうです。

 

6.インターンが単位として評価される

これが一番の特徴といっても過言ではないでしょう。先生は「先生」としての役割と「インターンシップアドバイザー」としての二役を担っています。そうすることによって、生徒一人ひとりにあったインターンを紹介出来るのですね。また、その社会経験が単位となって返ってくることは、狭い教室で勉強して取る単位よりも価値がありそうです。

 

CAS4このように特定のカリキュラムが決まっておらず、同じ「科学」の単位の取得にも生徒たちは違うインターン先に行って、違う事を学んでくることが多々あるそう。

そういったことから、生徒ひとりひとりにあった教育と知識、スキルが身につくのですね。

筆者もこういったシステムをとてもうらやましく思います。

私の学校でもインターンシップを単位に変換するシステムがあります。私もインターンの経験を単位に換算したのですが、たしかにインターンをして得た単位は、ただ教室で勉強し続けて得た単位より内容としても経験としてもより充実していたと思います。

このようなシステムがもっと広まっていくと、学生だけでなく企業の「単位」や「成績」に関する見方も変わってくると思います。

「単位を取るため」だけに学校に行く人も少なくない時代に、改めて「学ぶこと」について考えさせられます。

(参考:Students at this alternative NYC high school get jobs, not grades)

この記事を書いた学生ライター

Moe Miura
Moe Miura
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海外ドラマ・映画に影響されて15歳でアメリカ留学へ。現在大学では海外から来た生徒と一緒に授業を全て英語で受けています。最近はイベントで通訳をしたり、韓国語を勉強したりと忙しい日々を送っています!主に海外の記事を参考にオリジナル記事を作成していきたいと思います!

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