本日は、最も仲良くなった友人の一人、東アフリカ・ザンビアからやってきた、Clementを紹介したいと思います。
それは初めて食堂で一緒に座った日のこと。
お互い国連志望であるということで、すっかり話も弾んだ。
「国連でなにしたいの?」
という私の質問に、
「Africa is still manipulated, but I will make a difference!!! (アフリカは未だに世界から良いように操られてるんだ、でもな、俺が変えてやる!)」
と、周りの視線をいっさいがっさい集めるような大きな声でスピーチを始めたのが彼でした。 気づいたら涙で視界がじんわりかすむくらい、感動したのを昨日のことのように覚えています。 とても衝撃的な出会いでした。
本日はそんな彼のインタビューを対談形式でお送りしていきます!
板倉:まずはザンビアの素晴らしいポイントから聞いていきたいと思います。
Clement:ビクトリアの滝の圧倒的なスケールやっぱりすごいよ、でもそれ以上に素晴らしいポイントっていったら、民族の多様性かな。そしてその固有の文化。
板倉:民族何個あるんやっけ?
Clement:72。カカカカカカ!(※彼特有のお茶目な笑い方。)
板倉:72!!!!そのひとつひとつの民族が固有の言語を持ってるってこと?
Clement:全部絶滅せず生き残ってるかどうかは正確に分からないけど、基本的にはそうだね。
板倉:ひゃあー多様どころの騒ぎちゃうねんなー。公用語は英語やんね?
Clement:公用語は英語だね。旧英国植民地だから。 そしてBemba語も公用語のうちの一つで、学校で教えられているよ。 なぜって、最初の大統領の出身民族だったからね。
板倉:えらい恣意的やな。(笑)
板倉:Clementは全部で7つ言語を操れるということやったけど、どうやって習得したの?
Clement:Namwanga語が一応母語で、Bemba語と英語は公用語だから学校で習ったんだよ。 で、そこから首都に引越したらローカル言語がNyanja語に変わったからそれを覚えて、 で、そこで知り合った最初のガールフレンドがLozi出身だったから彼女の言語でしゃべりたいなと思ってLozi語も覚えて、 Lozi語と似てたからTonga語、Lengen語も分かるようになったんだよ。
板倉:なるほど、引っ越すたびに言語変わるんやね。(笑) それらって全く違う言語なのか、それとも方言みたいな程度に違うだけなの?
Clement:Lozi,Tonga,Lengenはバントゥー諸語って言われてて同じ分類だけど、その他は全部まったく違う言語だよ。
板倉:(関西弁と標準語しゃべれるから「うちバイリンガルやで」、とかゆうてくる関西人のアレとは違うねんなー…。)
板倉:さて、次の質問に参りたいと思います。私ご当地のお祭り行くの大好きなんやけど、なんかおすすめのお祭りあったら教えて!
Clement:それはもうKumonbokaの儀式はやばいよ!
ザンビアで一番リッチなLozi族のお祭りなんだ。
Litunga(Loziの王様の意味)の住んでいる宮殿が雨季には川の氾濫で水浸しになってしまうため、雨季と乾季の入れ替わりに、高地にある宮殿に移動するんだ。
9時間かけて川をわたっていく儀式で、観光客がザンビア中から集まってどんちゃん騒ぎするんだよ。(出典:http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nalikwanda.jpg)
板倉:おおおお!行きたい!!!! でもなんで彼らが一番リッチなの?
Clement:彼らは植民地時代から英国とのつながりがあって、この儀式にも英国が未だにお金を出している。 Loziは英国のお気に入りの民族で、植民地時代は英国の保護下で間接統治を受けていた。 さらに政府からも支援を受けているから、すんごく豪勢なお祭りになるんだ。
板倉:ん、待って、ザンビアって政府があるけど72の民族にそれぞれ王様がいてそれなりに権力保ってるってこと?
Clement:うーん、それは難しくって、政府は“One Zambia, one nation.(ひとつのザンビアでひとつの国家)”を掲げて国家建設を行っているけど、実際に王様の権力ってやっぱりまだ強いんだよね。 政府がこの儀式にお金を払っているのはそのせいで、儀式にお金を出す代わりにLoziが王国として独立するのはやめてくださいっていう契約なんだ。
板倉:なるほどー、固有の文化が維持されるのは素晴らしいことだしなんか複雑…。
Clement:そういえば、Ngoni族のやってるお祭りも面白いよ。(出典:http://kwekudee-tripdownmemorylane.blogspot.jp/)
板倉:おおー!お面?なにこれ!めっちゃいい!行きたい!
Clement:これはね、Shaka Zuluが起こした戦争から逃げてきたことを記念する儀式なんだ。
板倉:Shaka Zul?
Clement:Shaka Zul知らないの?
板倉:うん、初耳。
Clement:君国際関係論専攻だろ、Shaka zulくらい知っとけよー
板倉:あ、すいませんでした。
Clement:彼は南アフリカにいた独裁者で、とても無慈悲な男だった。 Zulu族の族長の側室の子どもとして生まれたんだけど、母親は他民族出身だったため王室で虐めにあっていてShakaZulともども追放されたんだ。 王様が死んでからは幼少期にいじめた奴らを片っ端から粛清して、Zulu王国の初代王様として南部アフリカの大半を支配するZulu王国を築き上げた。 革新的な武器を生み出していったのも彼の時代で、イギリス軍を破るほどの勢いだったんだ。
板倉:へーえー。でこの人の起こした戦争でたくさんの民族が逃げてきたってわけ。
Clement:そう、そしてそれがこのお祭りの起源だよ、 お祭りいっぱいありすぎて名前わすれちゃったけど!カカカカカカ!
板倉:さて、この辺で訊いときたいんやけど、Clementの将来のプランは?
Clement:将来のプラン?美聡をザンビアに連れて帰ってお嫁さんにするよ!カカカカカ!
板倉:あ、キャリアプランの方でお願いします。
Clement:そっちか!カカカ! そうだね、まずはアメリカで大学院に進んで、そこから国際機関の人道援助のフィールドで働きたいと思っている。
板倉:なるほどー。ひとつ難しい質問なんやけどね。 国連って結局世界大戦の戦勝国によって作られた組織で、その構造自体に深刻な問題を抱えていると思う。 いつまでたっても5つの国が安保理で拒否権を持っていて、どんなに他の国が平和を願ったって大国の利害によって政治的に決定がくだされてしまう。 本当に世界を変えたければ、ただ国連で働くだけではなくてなにかしらのシステムを変えなければならないと思うんだけど、それについてはどう思う?
Clement:よくわかるよ、それは非常に難しい問題。 なぜってアメリカが20%の分担金を出しているわけだから、まずは経済的依存から脱却しないといけないわけで。 残念ながら、僕の中にこの問題を解決する答えはまだ出ていないんだ。 でも、現状を変えるためのシステムを構築するっていう意味ではアイディアがあるよ。 俺は弱者の声を伝えるためのプラットフォームをつくって、声なき人のマウスピースになりたい。
板倉:いいね~、かっこいい。
Clement:ザンビアは、帝国主義時代、教育の普及や発展の遅れから劣っているとみなされて、植民地にされてしまった。 植民地時代の禍根は現在にも残っていて、現在に至るまでいつの時代だって、弱者の声というのはいつも世界に届きにくい。 でも、彼らこそが体験している痛みだから、彼らがそれを世界に伝えるのが一番効果的だと思うんだ。 俺がプラットホームをつくって、彼らのマウスピースになって世界に彼らの声を届けたい。
板倉:確かに、例えば難民キャンプの様子がジャーナリストを通して伝えられることはあっても、難民の方々が直接世界の表舞台で現状を訴えるっていうのはあんまり聞かないね。
Clement:そうだろ。そういうシステムが作られたとしたら、もうちょっと相互理解が進むんじゃないかなって俺は考えている。
板倉:なるほど…これでインタビューは終わりだけど、とりあえず今度お祭り参戦しにザンビア行くわ!
Clement:いつでもウェルカムだよ!
(インタビュー終)
ということで今回は志を共にする仲間であるClementについてお届けしてきました。 こんな友達ができるのも留学生活の醍醐味だと思います。
次回もお楽しみに!ヽ(*´∀`)ノ
イギリスのダラム大学で平和構築の修士課程修了後、パレスチナで活動するNGOでインターンをしています。”フツーな私が国連職員になるために。ギャップイヤー編”連載中。 Twitter@Misato04943248<⁄a>