ーーアーティストを目指すことになったきっかけをお聞かせください。
音楽にのめりこむきっかけはミュージカルでした。家族がミュージカルや舞台が好きで、よく連れて行ってもらっていましたね。自分の気持ちを歌で表現したり、人の気持ちを汲みとったりする素晴らしさをミュージカルを通して感じました。そこから次第に、音楽に携わりたいと思うようになり、アーティストへ興味が湧いてきました。高校ではバンドをしていて、東京事変さんなどのカバーリングをしていましたが、カバーのような人の言葉を用いるものではなく、自分の言葉で表現したいと思うようになり、大学では弾き語りを始めて自分で曲を作るようになりました。ですので、すべての入り口はミュージカルとの出会いです。
私は、自分自身をうまく表現できないと言いますか、本音を言うのが苦手で他人の目を意識しすぎるところがあります。「人から見られている自分はどうなんだろう?」と、どうにもならないことを考えてしまう自分がすごく嫌でした。でも、音楽だと自然と本音が出せるんです。自分のことを伝えるだけでなく、相手のことを思いやることもいつも以上にできますし、言葉だけだと言いづらいことも音楽だと表現できます。ですから、活動が大変で辛い時もありますが、話したり息をしたりするのと同じように、音楽も自分の一部になっているので、問題なく乗り越えることができます。自分のことを応援してくださる方々もたくさんいらっしゃるので、そういった方々のためにも前に進みたいという思いが強いです。
ーーたくさんのオーディションやコンテストにも参加されていると思うのですが、それはどういった目的でしょうか?
まずは自分の曲を多くの方に知ってもらう必要があるので、よりたくさんの人に自分の思いを伝えたいという思いが強いです。コンテストでは色んな方が応援してくださって勇気をもらえますし、才能を持っている他のアーティストさんと出会うのも刺激になります。成功したいと思う気持ちが強くなる場ですね。
ーーオーディションやコンテストで結果が出ない時もあると思うのですが、そういったときはどのように気持ちをコントロールされているのですか?
結果が悪かったときは単純に「もっと頑張らないと!」と思います。ただ、チャレンジ自体にも意味があると感じています。悪い結果を受け入れることで、葛藤したり学んだりすることができるので、自分がステップアップするためには失敗することも大切だと思っています。でも、ちょっとしたことで心が折れそうになってしまうというのが本音ですね。うまくいかなかったときに一日中落ち込み続けることもあります。そういう時は、友達や家族に相談したり、応援してくれている人たちの言葉を思い出して、「落ち込んでいる時間があるなら曲を作ろう!」、と前向きな気持ちを持つようにしています。やっぱり、落ち込んでいる暇はないですよね。
ーー音楽活動をされてきたなかで、一番の挫折をお聞かせください。
一番の挫折は昨年ですね。今まで一人で活動してきた部分が大きかったのですが、昨年はバンドで演奏することも多くて、自分よりも音楽の知識やセンスがあるアーティストの方々とご一緒する機会が多くなりました。実績のある皆さんとご一緒することで、自分の力不足を痛感するようになったんです。自分が知らない知識がたくさん浮き彫りになって、自分の歌に対する自信を失ってしまいました。自分よりも才能がある人がたくさんいる中で、「果たして自分は音楽を続けていいのかな」と。「たくさんの人に自分のメッセージを届けたいという気持ちはあるけど、それは自分の役割じゃないんじゃないか」と。私の仕事じゃないんじゃないかと感じると共に、「なれるわけがない」とすら思った時がありました。
でもそんな時にも、ファンの方からかけてもらった言葉に支えてもらい、「やってやろう!」と思えるようになりました。ファンの方からメッセージをもらったときに、私の言葉に共感してくれる人がいる限り、私の歌には意味があると思えるようになりました。ですので、今は自分にしか伝えられない事を発信していきたいという気持ちです。本当にファンの皆さんには支えられています。
ーーでは反対に音楽活動を通して一番最高の瞬間はいつででしたか?
私の通う青山学院大学の学園祭テーマソングに「SCRAMBLE」という自分の曲が選ばれたことですね。大学内でもたくさん曲を流して頂きましたし、自分の友達だけでなくキャンパスで会った方にも「いい曲ですね!」と言って頂いたりして、「これはやばい!」と思いました。(笑) 本当にこれは嬉しい瞬間でしたね。
音楽の力は、他の何にも代えられないものだと感じています。言葉は人にダイレクトに伝わりますが、言葉で表現することは難しいんです。ただ、音楽は言葉という枠だけでない分、メロディなど、言葉に加えて色んなものを合わせることができます。だからこそ、言葉よりももっと大きな感動や勇気を与えたりもらえたりするのだと思っています。ですので、音楽が人の気持ちを一番伝えられる素晴らしいものだと考えています。
ーー音楽が人々に与える影響はどんなものがあると思われますか?
自分が今まで経験してきたことですと、例えば失恋したときに失恋ソングを聞いて大泣きして気持ちが軽くなったことなどです。他にも、同じ曲を聞いて共感し合うと言いますか、音楽で人を繋げられるのは素晴らしいと思います。目に見えないものですが、その力はものすごく大きなものがあると信じていますし、自分の曲を通じて人に共感を与えるようなメッセージも伝えていきたいです。
ーーメッセージを伝えるという点で、やはり作詞・作曲が重要だと思うのですが、人々に感動や共感を与えるために普段されていることはありますか?
毎日肌身離さずノートを持ち歩いています。街や電車の中などで気が付いたワードがあればすぐにノートに書くようにしています。それとは別に、大前提として大事だと感じるのは、色んな経験をして、色んな人の気持ちを知ることが重要だと考えています。色んな感情を知らないと、共感して歌詞を書くことはできないです。自分が本当に理解していないと気持ちがこもりません。人の気持ちを理解するためにも、色んな人とよくお話しするようにしています。もちろん定期的に本を読んだり、映画を観たりといったこともしていますね。どういった場面でどういう感情になるのかを知るのは作詞・作曲をする上で非常に重要です。それが人々を感動させることに繋がると考えています。
ーー鈴木さんのおっしゃる「感動」とはどんなイメージなのでしょうか?
私の思う感動は、全身に染みると言いますか、自然と涙が出てくるようなものです。自分の感じていることがそのまま汲み取られてそれが映像やメッセージに現れた時に訪れるものだと思います。ただ、正直「こういう感動を与えたい」という具体的な形は決めていないです。単純に自分が感動できるものでないと、曲を聴いてくださる方々を感動させることはできないと思うので、まずは自分が感動できるかどうかという視点を大事にしています。現実と離れた世界を表現することも素晴らしいのですが、私は等身大の歌詞で曲を聴いてくれた人に共感してもらえるよう心がけています。
ーー鈴木さんご自身のアーティストとしての強みは何ですか?
「熱さ」ですね。自分の思っていることを「誰かに伝えたい!」、「誰かを感動させたい!」という気持ちは誰にも負けないです。それを伝えるために、歌詞はシンプルで分かりやすい言葉にしています。自分はあまり飾らない歌詞にしていて、シンプルな言葉に自分の思いを乗せたいと思っています。
同期はもう就職するわけじゃないですか。それを考えると、私が目指すところはちゃんと稼げるかどうか分からない職業ですので、正直不安はあります。成功するまでは、周りから揶揄されたり、両親や友達に迷惑をかけたりするかもしれませんが、私がやろうとしていることは自分にしかできないことだと思うので、全力を尽くすつもりです。周りの皆もこれから就職して仕事を頑張ることになると思うので、自分も負けていられないですね。
ーーご両親の反対はありませんでしたか?
「就職しないの?」と何度も言われました。でも最近はライブにも来て応援してくれるようになりました。やはり親は子供の安定を求めますが、自分のやりたい事を突き進めて継続していれば、徐々に認めてくれるんですよね。「親が認めてくれないからできない」というのは言い訳に過ぎないので、これからも自分の道をどんどん進んでいきたいと思います。
ーー鈴木さんのこれからの目標を教えてください。
全国に遠征して全国にファンを増やすということと、今年もワンマンライブを考えていて、昨年は100人ほどの規模だったんですけど、今年はもっと大きなところでやりたいと思っています。大学を卒業した後もシンガーソングライターとして活動しますし、5年以内に紅白に出場したいと思っています。