男女平等はまだ?でも、やっぱり強かったドイツ人女性。

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みなさん、こんにちは。絹川です。

私の住んでいるミュンヘンでは、1月はじめに雪がいったん解けた後、小春日和もあったのですが、またこの頃いっそう冷え込むようになってきました。ドイツの中では南の方にあるとはいえ、アルプスに近いこの地域では、より北の地域より気温が低いことも珍しくありません。寮の道などはだいぶ前の雪が凍りついたままカチカチになっていて、2度ほど、ツルっとすべって痛い目に遭いました。。

しかし寒いのも困ったことばかりではありません。ミュンヘンの街の西には、バイエルン王国を治めたヴィッテルスバッハ家の夏の居城、Schloss Nymphenburg(ニュンフェンブルク城)があり、その広大な運河が今の時期完璧に凍っていて、その上で人々が自由にスケートやアイスホッケーなど、ウインタースポーツを楽しんでいます。10964995_446121905541877_98767847_o11009791_446121895541878_127293767_o寒さのあまり家に引きこもってばかりの私もついに先日初めて足を運び、Eisstockschießen(アイスシュトックシーセン)というドイツ版カーリングをしてきたのですが、冬の日を家族や友人と晴天のもと城をバックにスポーツをしてのんびり過ごすってなんて素晴らしいんだ!と実感いたしました。

 

ドイツは平等化の進んだ社会!

さて今回の話題ですが、ドイツの男女平等について少し考えてみたいと思います。

私に限らず、ドイツは「男女平等の進んだ国」というイメージをお持ちの方は多いと思います。アンゲラ・メルケル首相を始め、男性ばかりではなく女性も社会で活躍している印象が強く、世界経済フォーラムによる2014年世界男女平等ランキング(経済・政治・教育・健康の4つの分野において、男女格差をどの程度埋めているかを調査している)では、日本が104位と低迷している一方、ドイツは12位にランクインしています。

日本国憲法と同じようにドイツの憲法(Grundgesetz)にも男女平等の規定がありますが、それを詳細に定めた男女同権法があり、さらに2014年12月には、私企業の取締役会や国会の委員会での女性の比率を具体的に定めた法案が内閣を通過したそうで、かなり法的にバックアップされています。(ちなみにこの法律について日本の大学の講義で習った際、男子学生からドイツ人教授に「この法律は逆差別ではありませんか?」という質問が出ましたが、教授は「そんなことはありません。権利を守るために重要ですから。」と答えていました。ドイツ人にとっては逆差別にはあたらないようです。)

そんなイメージを日本でたくさん脳内に刷り込まれてからドイツでの留学をスタートさせた私ですが、こちらで実感したドイツとは…

 

まだ男女平等が進んでいない部分も

885564_446130775540990_5311022431848950194_oまずは授業中の体験から一つ。

留学開始から間もないころ、初めての少人数ゼミの授業にて、「このグラフの数値の推移について仮説を立て、それを立証する方法を考えて発表せよ」というグループワークの課題を与えられました。配られたのは、ミュンヘン大学に在籍する男性・女性の数の折れ線グラフで、学士に始まり博士までは男女がだいたい同数なのに対し、ポスト・ドクターより先では明らかに男性の方が多くなっているものでした。

早速私の班でもこの「なぜポスト・ドクター以降女性が著しく少なくなるか」問題を活発に議論し始めたところ(ドイツの学生は皆かなり積極的に意見を言います)、私の意見は(おそらく日本人としては珍しくはない)「女性は出産・育児等の女性に特有の事情があり、仕事を続けないことが男性より多い」というものでしたが、ドイツ人学生たちからは、「偶然、前の年度にポスト・ドクターに応募した女性の数が少なかったのでこうなった」「女性にとっては、大学の他に社会により良い給与・待遇の仕事があるからこうなった」など、男女の固定的な差というよりもデータ収集の問題や社会的背景に注目した意見ばかりが飛び出し、驚きました。そこで少々萎縮しつつ、私のような見方を持つことはドイツではやはりタブーなのだと解釈、男女平等が進んでいる国ってすごいわ~と感心し、自分の意見が言えないまま、グループワークの時間が終わってしまいました。

ところがその後の発表の時間になると、私たち以外の全てのグループから、私と似たような「女性の方が仕事を辞める要因が多いから」という意見が出てきたのです。これには、自分が「ドイツの人は男女平等を掲げているからそれに反した発言をしてはいけない」と固定観念を抱いていたことに気づかされました。それに、彼らの言うように、男女同権が声高に叫ばれているものの、たとえば男女間の収入格差は依然として大きいようです。また企業などで指導的立場の人物も男性の方がかなり割合が多く、その割合は1992年からほぼ変わっていないというデータもあります。前述の法律は、そうした問題の解決に取り組むドイツの方針を示していると思います。

 

「強い女性」に大激怒?

しかし経済社会の中では差があるとは言っても、日常の生活においてはやはりこちらの女性は権利をしっかり主張しているなと感じることもあります。

先日オーケストラのメンバーと市内の高校で練習をした際に、廊下で「男女同権・強い女性」をテーマにしたポスターコンクールの入賞作品の掲示を見つけました。その中の1枚に、「どんな男性の後ろにも強い女性がついています」というメッセージの下に、オバマ大統領が仮面を外すとその下からミシェル夫人が顔を見せているものがあって、私は数あるポスター中の一つくらいに思ってスルーしていたのですが、女性メンバーの一人がそれを見て、「男性の背後ですって?とんでもないわ、どうして後ろに立たなくてはいけないの?!あり得ない」と猛然と異論を唱えだしたのです。10974448_446122845541783_3455332616698397119_o居合わせた女性たちも口々に「おかしいわね」「この学校はまだまだ保守的だから」と同感の様子で、皆のあまりの勢いに苦笑していた私は「あなたの国ではどうなの!?」と集中攻撃される目に遭いました。

普段暮らしている中で、周りのかなり多くの人たちが、こういった不平等な扱いには敏感であるような気がします。そして日本にいた時より、皆が他人任せにするのではなく自分自身の問題として、自らの権利を主張するという風土を感じます。時々主張が強すぎて怖いと思うこともありますが、それでもそういった姿に少し憧れを抱いたりもするのでした。

10835024_446122165541851_6283141619604510987_o 10911350_446122155541852_4178925482555283499_oでは、先日まで開かれていた2月の一大イベント、Fasching(カーニバル)の模様とともにお別れいたします。またお目にかかりましょう!

この記事を書いた学生ライター

絹川 香月
絹川 香月
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憧れのドイツ・ミュンヘンにて留学中の大学3年生。学問だけでなく、文化も素晴らしいこの街で、たくさんの貴重な経験をしています。

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