ニューヨーク州立大学Fredonia校で経営学/経済学を勉強している神崎憲人(かんざき けんと)です。現在20歳です。今回は初めての記事なのですが僕自身のことは最小限にとどめて、アメリカの大学にわざわざ籍を置いて勉強させてもらっている身として、アメリカ正規留学がどういうものなのかについて、僕が今思うことを書きたいと思います。
ニューヨークと聞いたらみなさん何を思い浮かべますか? タイムズスクエア、エンパイアステートビル、自由の女神。イエローキャブ。 きっとそれぞれ思い浮かぶ特定のイメージは違うかもしれませんが、みなさんNYC,ニューヨークシティのことを思い浮かべられると思います。 ただ、実際にはNYCというのはNY州の南部のほんの一部の発展した地域のことを指し、その他の取り残されたNYの大部分は、何もありません。広野につづく広野、大自然です。すみませんちょっと盛りました。でも田舎というのは本当です。
僕が住んでいるFredoniaという地域も例に漏れず、元気に田舎です。
Fredoniaとはアメリカとカナダの国境の近くに位置するNY州でも北の方にある小さな、それは小さな村です。 NY州第二の都市であるBuffalo までバスで1時間半弱、カナダのToronto までバスで4時間程、ナイアガラの滝まで車で2時間半弱、NYCまでバスで9時間弱(えっ)というような場所です。ちなみに五大湖の一つであるエリー湖も程遠くはないぐらいの距離にあります。(NYCからは遠く離れた僕の大学Fredoniaの冬、通常運転 Freodnia,NY)
夏は暑すぎず、湿度も低いため、とても過ごしやすいですが、冬はほぼ毎日大雪に見舞われます。気温マイナス20度程まで下がることもあり、大雪で学校が休校になることもしばしば。NYという言葉から想像される景色とは遠く離れた景色の中で学生生活を送っている僕ですが、この環境で暮らし始めて早1年半が経ちました。アメリカの大学に進学 というあまりポピュラーではない道に進んだ僕ですが、高校を卒業するまで、まさか自分が今いる環境に足を踏み入れるなんてことは考えもしませんでした。(夏は信じられないほどの快晴が続くのですが… Fredonia,NY)
アメリカの大学進学に向けて動き始めたのは高校を卒業した2013年3月のことです。4月に出願する大学を決め、5月に合格をもらい、8月下旬には渡米していたので 実質準備期間は6ヶ月ほどでした。 それだけ聞くと、「あれ? そんなに簡単にいくの?」 と思われる方もいると思います。 僕の場合、このようにスムーズに進学までの準備が進んだ理由として以下の3点があげられます。
1. 出願した大学の合否判定がRolling Admission 制を採用していた。 2. 出願した大学が州立大学であり、かつ名門大学ではなかった。 3. 学校が設けたTOEFL得点基準をスムーズに取得できた。
僕の場合このような条件が揃っていたのでスムーズに進学まで運ぶことができました。 Rolling Admissionとは 明確な出願締切日を設けずに、席が埋まり次第出願を締め切るという制度です。この制度のおかげで、学期開始の4ヶ月前というギリギリの出願でも合格をもらえました。 が、ここでアメリカ大学進学を考えている人に少し気をつけてほしいことがあります。皆さん、「アメリカの大学は入学するのは簡単、卒業するのが難しい。」という言葉を耳にしたことがあると思います。 実際この言葉は僕自身進学準備中に何度も耳にしましたし、僕の上の準備期間を見ても、「なんだ、やっぱり簡単じゃん」と思われるかもしれません。ただこの言葉は少々トリッキーです。 アメリカには何千もの大学があり、大学にも州立大学、二年制のコミュニティーカレッジ、リベラルアーツカレッジ、私立の名門大学アイビーリーグ等、種類も豊富なのです。もちろん種類が違えば入学難易度も様々。極端な例を出すと、ハーバード大学、またアイビーリーグの一校でNY州にキャンパスを置くコロンビア大学などは、合格率1桁、倍率何十倍という難易度です。アメリカ人にはもちろん、英語を母国語としない日本人にとっても決して入学は簡単などということはありません。日本の一般大学入試とは違い、高校の成績や課外活動も評価されるほか、出願者の人物像も、提出するエッセイによって評価されます。「でも入試はないんでしょ?」と思われた方、そう思ってきた方、間違いです。あります。SAT、またはACTといった日本でいうセンター試験のような全国統一試験のスコアの提出を、出願書類の一部として掲げる大学が殆どです。確かに多くの大学で留学生やアメリカ国籍を持たない学生はこういった試験のスコア提出を免除されるケースがほとんどではありますが、先ほど例に挙げたハーバード大学、コロンビア大学など、アメリカの名門大学は留学生にも例に漏れずSATまたはACTの受験、スコアの提出を求めます。
ただ先ほど挙げた州民の為に設立された州立大学や、日本でいうなら短大や専門学校にあたる2年制のコミュニティーカレッジは、比較的入学が簡単なのは事実です。 コミュニティーカレッジに関しては出願書類を出せばほぼ100%の確率で合格がもらえます。留学生はSAT/ACTのスコア提出を求められないのはもちろん、TOEFLやIELTS等の最低得点基準はTOEFLで30~50 (120点満点) 点ほどで比較的手が届きやすい点数です。ですので、確かに、入学が簡単な大学があるのも事実です。
でもそれは、大学を選ばないのならの話であり、どこの大学でもいいというのなら日本でも同じことが言えると思います。(全米大学ランキングTOP10常連の Columbia University NYC,NY)
さて、“卒業が難しい”の部分ですが、確かに簡単ではありません。 しかし学業面だけに関していうのなら、日本の大学と同じように学生として然るべき行いをしていれば単位はもらえますし、卒業も決して困難ではありません。 学業面以外で卒業を困難にするものがあるとすればそれは授業料、寮費等のお金の話になってきます。アメリカは、良質な教育を受けようと思うととてつもない額のお金を必要とします。私立名門大だと一年で$50,000以上、 日本円で 600万円以上($1=120円換算)のお金が必要になります。そういう意味でいうなら確かに卒業は決して簡単ではありません。ですから、アメリカ留学を考えている人は本当に“留学が必要なのか” “4年間学費を払える経済力があるのか”について、しっかりと考えて欲しいです。なんだこいつ上からだな。と思われる方もいるかと思いますが 考えても考えたりないくらい考えてください。でないと確実に後悔します。断言できるのは僕もその苦い思いを経験したことがあるからです。 詳しくは後々の記事でお話しします。
アメリカの名門大学に入学しようと思ったら、道のりは決して簡単ではないことはお話ししましたが、アメリカの大学どこでもいいというのなら、そこまでの道のりというか、出願手続きは驚くほど簡単です。簡単なのでぴょんっと入れますし、ぴょんっと海を渡れます。しかし驚くほど簡単なわりにはとてもコストが高くつきます。そしてすごく高くつくわりには、正規留学自体は凄くありません。アメリカの大学に進んだからと言って何がどうなるわけでもありません。自分の勉強したい内容がアメリカで学ぶのが最適なのかについて考えて欲しいです。明確な夢があって、その夢を達成する過程として留学が最善の道なら自分自身の手で留学をとても有意義なものに出来ると思います。しかし正規留学自体を目標にしてしまうと、卒業した後どのような道に進むのか、学生時代をどう過ごすのかについて考える時間を在学中に取る必要があります。もちろんその考えている時間にも馬鹿高い学費は請求されますし日々の課題に追われて目標なんて考えることを脇に置いてしまいがち。日本の大学に進まずに別の国で教育を受けるというのはとてもとても大きな決断です。勇気も要りますしお金もかかりますし精神的にもきついことが多いです。
もちろん素晴らしい面もたくさんありますし、留学して良かったと思えることも沢山ありますが、”留学”というコンセプトを手放しに素晴らしいことだという考えには強烈な違和感を感じるようになりました。 僕自身日本から飛び立った時にはなーんにも考えていませんでした。 なんなら、「アメリカの大学に入学するんだぜ、すごいだろ?」級の馬鹿野郎でした。 「そんな人いるの?」と思われても仕方ないですが、僕と大差ない覚悟で留学してる人は決して少なくないように感じます。それを間違ってるとは言いません、が、今あなたが留学を考えているのなら、アメリカの大学に留学!!!!! という魅力的な文句に呑まれないようにしてください。留学をすると決めても少なくとも自分で全ての準備をすることをお勧めします。TOEFL対策 出願、ビザ、パスポート、航空券…その他諸々。そうすることで自分がどういう道に足を踏み入れようとしてるのかなんとなく掴めるはずです。
ここまで読んでくれた方ありがとうございます。
これからの記事では、自分が留学について思うこと、留学の自分にとっての意義やメリット、今の学生としての目標、アメリカという国について思うことについてこれまたつらつらとみなさんに興味を持っていただけるように書いていきたいと思うので目に留まったら見ていただけたら嬉しいです。
アメリカまではるばる来て早3年目突入。 ニューヨーク州立大学フレドニア校にて経営/経済学を専攻し2013〜2015年まで在学。2015年秋学期からは イリノイ大学アーバナシャンペーン校でマーケティングを専攻しています。このブログを通じて自分の留学生活にも新しい目標や意義を見出していけたらと思います :)