はやぶさ2の記事を読んでいただいた方、ありがとうございました。まだの方は是非ご一読を。
(出典:http://plaza.rakuten.co.jp/ainococoro/)
宇宙開発は夢とロマンに溢れるわくわくがたくさん! でもその裏に影を落とす問題の数々。 今回はそんなちょっとネガティブなお話。
宇宙開発は軍事利用や有人飛行の是非、資金問題など様々な負の一面を持っています。 その中でも宇宙のごみ「スペースデブリ」の問題を取り上げます。
「スペースデブリ」とは、宇宙開発に伴って発生したごみのことです。
役目を終えた人工衛星の残骸や多段ロケットの破片、中には宇宙飛行士が落とした工具や手袋なんてのもあって形も大きさも様々です。- デブリと地球の概観図 (出典:http://i.space.com/)
1957年に人工衛星スプートニク1号が旧ソ連で打ち上げられてから約50年、 世界各国で約4000回を超える宇宙船の打ち上げが行われてきました。 その結果、スペースデブリは位置や軌道がわかっているもので約1万点、数ミリ単位の小さいものを合わせれば数百万点以上あると言われています。 その多くは地球に落下して大気圏で燃え尽きるのですが、高い軌道を回っているものは僅かな空気抵抗もなく永久に落ちてくることはありません。 地球周回軌道にはいくつか種類があるんですが、例えば国際宇宙ステーション(ISS)のある高度400kmの低軌道では人工衛星もISSもデブリも8000m/sという超高速で移動しています。(ライフル弾の10倍!90分で地球一周!) これらが衝突する破壊力はすさまじく、たとえ数ミリのデブリでさえ宇宙船を破壊してしまいます。 現に衝突事例も少なくない数で起こっています。 また、軍事目的での人工衛星の意図的な衝突や宇宙空間での大規模な実験も過去に問題になりました。
微小デブリ衝突の画像(出典:http://www.nasa.gov/index.html)
現在ではデブリの衝突を防ぐ活動「スペースガード」が広く普及し、日本を含む世界中の機関が24時間体制で特定できているデブリを監視して人工衛星の軌道を微調整しています。 また国際的にデブリ軽減のためのガイドラインが作成され、これ以上増やさない努力が行われている一方で、今既にあるデブリの削減技術はまだ未発達で能動的な解決策はまだ見つかっていません。
最先端でクリエイティブな事業を推し進める一方で、こういった地道な「雪かき仕事」も求められるようになってきています。 「誰もやりたがらないけど、やらないとみんなが困る」 なんだか僕たちの身の回りを取り巻く様々な問題とリンクしていると思いませんか? 今回は普段とは違った角度から宇宙を身近に感じれらたのではないでしょうか。
宇宙開発のフロントで働くことを目指す大学生。小難しいことが好きです。でもわくわくすることはもっと好きです。