三歩進んで二歩下がる。イギリス2年目は”もがきながら成長していきたい”。

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こんにちは!英国イーストアングリア大学国際開発学部1年の的場優季です。

今回は、1年目のファウンデーションコースを終え、2年目の学部ファーストイヤーに入って4か月ということで、その環境の違いについて触れたいと思います。的場さん2-2- 去年までのバイト仲間たちとは今でも仲良しです。今はバイトはしていません・2014年11月

イギリス生活2年目の壁

1年目と2年目の違いは、ファウンデーションコースと学部の差。インターナショナルかネイティブに囲まれるかの差というのが本質的なところかもしれません。寮生活からオフキャンパスのシェアハウスになり、建物一つの中に授業も衣食住もあったファウンデーションコースの時よりは、キャンパスの中とその外まで行動圏も広がりました。何より留学1年目の浮かれ気分も終わり、生活そのものが頭を占めるようになりました。

もちろん1年前は1年前で新しい生活にある程度必死だったのですが、新鮮な「異文化交流や異文化体験」に忙しかったのでホームシックになることもなく、結局9か月家族の声は聴かずに過ごしました。今年は、家事・勉強とその他交流の中での自己管理に重点をおき、その難しさに辛くなることもありました。でもその分人と過ごす楽しさや勉強のやりがいをより感じられるようになり、充実している気がします。

ファウンデーションは、国の教育システムの違いや英語力でイギリスの大学に直接入る資格がない人たちのための学部準備コースです。日本の高校を卒業したらほとんどの場合はこのコースに行くことになります。多いのは中国人、香港人、ロシア人、カザフスタン人、ナイジェリア人、と中東、アジア諸国でした。EU圏の国籍の人にはほぼ会いません。クラスもずっと固定で、人数の多いレクチャーでも4クラス合同60人くらい。そのためクラスメイトや先生との距離も近く、発言などもしやすかったです。

授業の受け方に関しても最初はもちろんカルチャーショックで、

-先生が喋ってるのにさえぎってでも発言するんだ! -誰か意見ある?って言われてほんとに出るんだ! -答えに自信なくてもとりあえず言うんだ!

と…おしゃべりで自己主張の強いロシア人や英語ぺらぺらのマレーシア人に圧倒されっぱなしでした。

発言することに対して恥ずかしいという感情がないのだと気づき、だったらわたしが発言しても誰もなんとも思わないんじゃないか?と発見した最初の週以降、もともと言いたいことは言いたい性質なので積極的になることができました。日本での高校までの授業の受け方や空気と全く違うのでとても新鮮でした。

少人数クラスでのセミナーは、レクチャー(大教室での講義)と同じ週に同じトピックをもう少し掘り下げ、レクチャーの内容の理解を深めるために行われます。プレゼンテーションをするよう課題を与えられたり、ロールプレイングをしたり、ビデオを観てディスカッションしたりとインテラクティブなものです。「発言」を鍛えられたのはこういった授業でした。

学部でもファウンデーションでもそうですが、50分1コマの授業はとても効率的です。2時間続きの授業でも必ず休憩を挟んでくれるので、この内容の濃さでも集中力を保つことができます。的場さん2-3- International Studies セミナー ・2013年秋

さて昨年の秋にようやく大学に入り、大教室で100人近い人数でのレクチャーや、ブリティッシュだらけのセミナーに放り込まれた私は、一年イギリスでやってこれたからなんとかなるだろうという薄っぺらい自信をどんどん失っていきました。ブリティッシュ英語が聴こえていないという現実が、今まで「なんとか」やり過ごしてきた甘い部分が、無視できなくなってきてメンタルがずたぼろでした。レクチャーについていけないというほどではなかったけれど、ときどき複雑な概念が理解できず、レクチャラーを捕まえたり終わった直後に隣の学生に聞いたり必死だったし、とにかくネイティブの若者たちの聴き取りはだめでした。なんで笑いが起きているのかわからない、ディスカッションでの意見が速すぎる、グループミーティングで発言できない。そして、相手が「ネイティブ」と思った時点で緊張して身構えて英語はますますしどろもどろだし、言いたいことが思い浮かんでも前のように発言するなんてできなくなってしまいました。

おまけに、フラット(寮)で仲良くなるフレッシャーズたちは既にレクチャーにグループで現れたりしていたけれど、わたしは二年めの安心から外に住んでいたので、寮生活の中でネイティブに慣れるということもできず、最初は友達もなかなか増えませんでした。

そんなこんなのせいで、最初の三週間で三キロ痩せ、白髪まで1本発見する始末。メンタル的に一番辛い時期でした。話がわかっていないところで一緒に笑っておいたって自分はごまかせませんからね。

的場さん2-4- レクチャールーム・2014年10月

初めての大教室では、皆この後ろの列からもぽんぽん発言するということでさえ驚きでした。

辛そうには見えないかもしれないですが。写真はこの最初の時期です。イギリスで大学生活をエンジョイしているという気合と見栄。

そして日本人といる安心感と、その安心感から来る不安感。心地よさと、心地よさへの罪悪感。もちろんたまにほっと一息ついたり、挨拶は毎日かわしたい大好きな友達。ですが、英語を伸ばしたい日本人留学生なら誰しも似たような気持ちを持ったことがあるのではないでしょうか。

2週目の終わりにあった、セミナーでのディベートがこの一番辛い時期のリカバリーのきっかけでした。こんなに自信喪失しているときにディベートなんて到底無理と思っていた私は、その前の日曜日から資料を集めたり喋る文章を考えたりしてナーバスになっていましたが、ノートにびっしり準備だけはして行きました。チームごとに分かれてディスカッションをしていた時も初めは躊躇していましたが、これで何も言わなかったらこのセミナーが終わった後の自分の気分はもっと最悪だろうと思い、言いたいことや準備してきたデータを場に出そうと決めました。そしてみんな聞いてくれました。(私にとってとても大事なことでした。)

途中で話は脱線し、クールそうに見えたコースメイトも出身を聞いてくれたり日本に興味を持ってもらえたりして、私がネイティブの女の子たちに対して少し身構えていたのも軽減しました。そしてその必死なノートと、それを読みながら論点をいくつか提示したのも良かったのか、「ライティングとスピーキングがgoodだね」と言ってもらえました。本当に英語ができる人に「英語が上手い」とは言わないでしょう。でもそれで私の1週間前からの不安は楽になり、そしてこれからの英語での生活に自信を少しつけてもらったような気分になったのです。ディベートに勝ったことはどうでもよかったのですが、その金曜日から私の憂鬱はかなり収まりました。

的場さん2-5ー キャンパスの中心にあるスクエア・2014年9月

もちろんこれからも英語には苦労していくのは分かっているし、事あるごとに落ち込んだりまだまだだと自分を嫌いになったりするのかもしれませんが、三歩進んで二歩下がる、これを繰り返していくのだろうなと考えるようになっていました。

その夜私はようやくその負の感情をSNS上で文字にすることができ、本当に気分が塞がっているときには自分の落ち込みを言葉にできない、したくないほどだったんだということが自分で分かりました。自信がないということが惨めな気分を作り出すのだということも改めて感じました。そして日本で応援してくれている友達や同じ状況で戦っている方、留学準備に関わってくださった人生の先輩にたくさん心のこもったメッセージを頂きました。こういうことを経験してきた方が一様に、人生は壁にぶつかってへこむことと、それを乗り越えて成長することの繰り返しだよということを、それぞれ自分の言葉で教えてくれたのです。「三歩進んで二歩下がる」ですね。「壁」にぶつかる経験だって、なかなかできないものだと今では思えます。

どうしても日々の復習や課題に追われていると英語そのものの勉強は後回しになってしまいがちですが、この英語に対しての痛みに慣れ、悔しさが薄れてしまったり、今のレベルで出来ることを使いまわしているだけだと成長はストップしてしまうんだと思います。

ちなみに英語で「三歩進んで二歩下がる」は “Two steps forward, one step back.” といいます。ゆっくりゆっくり、すべて順調ではなくてもたぶん気が付いたころには遠くまで進んでいる。歩数は違えど意味していることは同じです。でも欧米人は足が長いから、日本人が三歩でいくところを二歩で済むのかもしれません。的場さん2-6ー Venezia・2014年12月

最後に

さて、このところNorwichも寒くなり、冬らしい景色も見られるようになりました。

イギリスは実は北海道よりも高緯度で、樺太島や千島列島よりも更に北に位置しますが、こちらに来て初めて雪を見たのは今年の1月に入ってからです。もちろん「今日は雪の日」ということはなく、1日の中で晴れたり雪と雨とみぞれが降ったり虹が出たりしています。

ロンドン留学中の夏目漱石の文章を読んでいたら、ある晴れた朝に「こんな天気は倫敦(ロンドン)じゃ拝めなかろうと思っていたが、やはり人間の住んでる所だけあって日の当る事もあるんだな」と思わず笑ってしまうような描写を見つけましたが、わたしのところはもう少しましなようです。的場さん2-8- ヒースと雪・2015年1月

次回はこの冷え冷えしたイギリスを離れ、騒々しくてもわっとしたバングラデシュの想い出話になると思います。お読みいただきありがとうございました。:)

この記事を書いた学生ライター

Yuki Matoba
Yuki Matoba
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2017年7月にイギリスの大学を卒業。 国際開発学を勉強し、バイオベンチャーに就職しました。

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