寒い、暗い、ウォッカ…。日本において、筆者が最も多く耳にした、ロシアへの三大イメージである。実際こちらに来てみると、確かに寒いし、太陽は滅多に拝めないし、なんとお酒はコカコーラより安い値段で買うことができる。そのようなロシアに、なぜ一年間も行くのか、とよく不思議に思われたが、たった“一つ”だけ、常に羨ましがられることがあった。そう、ロシア美人である。
(出典: http://breakingnew-site.seesaa.net/article/223166531.html)
美しい女性の多い国として有名なロシア。現に、道を歩けば、振り返って二度見せずにはいられないような、美しい人が至るところにいる。しかし、もちろん彼女達も、無条件にその美しさを手に入れたわけではない。こちらで、彼女たちの生活を見聞きする中で、幾つかその秘訣に気が付いた。
年末年始と学年末を迎え、冬太りしてしまった、また、試験勉強、就活やバイトで夜が遅い、自由な時間がない、食生活がお菓子とコンビニ弁当ばかり、という方も多いだろう。今回は、そんな私たち学生にも参考にできる、彼女たちの工夫や努力を紹介したい。
食事の合間、小腹が空いてくる15時と22時。ついついスナック菓子や甘いスイーツに手を伸ばしてしまってはいないだろうか。頭を使えば甘いものが欲しくなるし、勉強やバイトの合間に手軽につまめ、油と塩のうま味が効いた軽い触感のスナック菓子は、手が止まらなくなる。しかし、これらの食べ過ぎが美容と健康に良くないことは、皆さんご存じのところだろう。(出典:http://freedom21.biz/?p=2290)
4限目終了後の15:30、ロシア人学生も小腹が空く頃だ。5限目までの業間休み、彼女たちの鞄から出てきたのは、チョコレートやポテトチップスではなく、バナナ等の果物である。おしゃれなハンドバックから、柿やオレンジが何に包まれることもなく丸ごと出てきたり、リンゴや洋ナシを教室で丸かじりしていたり。ちょっと大胆だが、果物には健康で若く美しくいるための水分やビタミン、酵素や食物繊維などが豊富に含まれており、さらに消化もいいため身体に負担をかけることがない。果物の果糖は太ると思っている人も多いが、空腹時に摂取した果糖はすぐにエネルギーに変わるため太ることはないし、菓子やスイーツとは異なり、脂質を含んでいない。果物に豊富に含まれる食物繊維は満腹感にもつながり、食べ過ぎを抑えるサポート役にもなる。そう、果物は間食にもってこいなのだ。(出典:http://www.v3wall.com/ja/)
また、お昼休みが30分しかなく、食堂が非常に小さいため、学生の多くは、お昼には自宅から持ってきたサンドイッチや果物のみを食べ、業間にまた果物、ナッツ類やケフィール(ロシアで人気の飲むヨーグルト)、と一日の食事を4、5回に分けている。人は、食事をすると代謝が上がるため、こまめな食事は代謝を高く保ち、体脂肪が燃焼しやすい状態を維持することができる。また、一回の食事量を少なくすることができ、消化も良くなり体脂肪として蓄積されにくくなるのだ。
日本ほど、電車やバスが時間通りに来る所が他にないことは皆さんご存知かと思うが、時間にルーズなロシア人、インフラ整備も運転マナーも高くないロシアとなると、一体いつバスに乗れるのか、常に見当がつかない。そもそも時刻表はなく、また交通渋滞も頻繁に生じている。氷点下の中、数十分も立って待っていたら全身冷え切ってしまう。こういった現実があるため、学生や若いビジネスマンは、2,3駅ほどであれば、歩いてしまうことが多い。決して近くはない距離だが、彼らは、凍えたり、満員バスの中で不快な思いをしたりするよりは、歩いたほうが早いし快適だと言う。渋滞中、道路のど真ん中で、「ここで降ろして!」と無理やりバスから出て行く放胆な女性も少なくない。
またロシアでは、年配者、幼い子供や妊婦さん等に席を譲るのが当たり前であり、目に入ればすぐに立つし、そもそも座らない若者も多い。運転の荒いバスや地下鉄車内で、よろけずに立っておくのはなかなかの至難の業で、足腰が鍛えられる。座らずに、立つだけで消費カロリー2倍とのデータもある。時間のない皆さん、電車通学をワークアウトの時間に変えてみてはいかがだろうか。(出典:http://plaza.rakuten.co.jp/bcat2001/diary/20121013/)
この項の最後にもう一つ。ソ連時代からの古い建物が多いロシアだが、もちろん、これらの建物にはエスカレーターやエレベーターがない。私が所属している学部の建物にも、今まで訪れたアパートやマンションにも、ほとんどが7,8階建てであるにもかかわらず、階段しかなかった。また、食堂、自販機やお手洗いのある階も限られており、頻繁に階段を上り下りしているため、日常生活に自然とこまめなワークアウトが組み込まれているのだ。
ロシアのスーパーでは、出来合いの肉・魚料理のバラエティーが豊富であり、また、ピザ、菓子パンやお惣菜パンは、至るところにある路上のワゴン車販売で容易に手に入る。疲れていたり、お腹が空いていたりすると、その美味しい匂いに誘われてついつい買ってしまいそうになるが、彼女たちは滅多に買わない。味付けが濃く、脂っこいため太りやすいからだ。
ー ボルシチの中に入れられたスメタナ
そんな彼女たちの自宅での食事に欠かせないのが、「スメタナ」と呼ばれるヨーグルトである。ロシア人は、何にでも好んでこのスメタナをかけ、あまり凝った料理はしないが、その分塩分や糖分を抑えることができる。この「スメタナ」は低カロリーなだけでなく、善玉菌を増やし、他のヨーグルトと違って免疫機能を高める働きがあるため、健康にも良い。日本ではサワーククリームとして売られているが、ロシアでは自家製も多く、各人で秘伝の作り方や味がある。また、この「スメタナ」に限らず、お漬物、ジャム、フルーツジュースやパン等、何でも自宅で作ってしまう家庭も多い。市販のものより新鮮で、健康面に気を使って調理できるため、私のルームメイトも、休日には料理を楽しんでいる。
もちろんお酒を飲まない、夕食は軽めにする、朝のランニングを欠かさない、休日にはジムに通う等の様々な努力もしているが、これまで述べてきたように、ロシア人女性は、自分たちの置かれている環境を上手く利用し、日常生活の中でその美しさに磨きをかけているのだ。これらのほとんどは、私たち日本人学生にも見習えることであり、普段の生活に容易に取り入れることができるものばかりだ。進級、就職、入学式や卒業式に向けて、健康的な美しさを得る、ちょっとした努力を始めてみてはいかかだろうか。
サンクトペテルブルク大学(ロシア)のジャーナリズム学部、及び言語学部へ留学中です。様々な視点からの寄稿をしたいと思っておりますので、どうぞ、ご高覧くださいますと幸いです!