今月9日、アジアのサッカー最強国を決める大会、AFCアジアカップが開幕した。日本代表は12日に初戦を迎え、パレスチナを相手に前回王者の貫録漂うサッカーを披露。試合開始早々の前半8分に遠藤がゴールを決めると、日本は立て続けに3点を奪い、4対0という圧倒的なスコアで初戦を終えた。続いて日本は16日と20日に、イラク、ヨルダンと試合を行いいずれも完封勝利を収めてグループステージ全勝。決勝トーナメント進出を決めた。
さて、ここまで遠藤、岡崎、本田、吉田、香川と、前回大会より日本を支えてきた主軸の選手たちがゴールを決めているが、今大会では日本代表デビューを飾って間もない期待の選手達もチームに帯同している。その中で最も期待される選手の一人が、武藤嘉紀である。FC東京に所属する、新進気鋭の22歳。ポジションはサイド、中央のMFからFWまで、攻撃の鍵となるポジションを幅広くこなし、日本代表では香川などが同じポジションで主にプレーしている。日本代表の新たな攻撃の軸として期待されている武藤だが、何と彼は学生兼Jリーガー。慶應義塾大学在学中であり、文武両道という理想的な概念をまさに一流レベルで体現している選手なのである。
慶應義塾大学で勉学に励みながらFC東京とプロ契約を結んだ2014年。そのシーズン開幕戦からスタメン出場し、切れ味鋭いドリブルや豊富な運動量、そして様々なポジションをこなす「使い勝手の良さ」でチームに貢献し注目を集めていった。そして、監督がザッケローニからアギーレに代わり新体制となった日本代表に、新たな風として吹き込まれたのが武藤だった。昨年9月5日、ウルグアイ戦で日本代表として国際Aマッチデビューを果たすと、その4日後のベネズエラ戦で早くも代表初ゴールとなる鮮烈なドリブルシュートを決めた。この時武藤がドリブルしている際、代表の大黒柱である本田がラストパスを受けようと走っていたにも関わらず、あえて無視して本田をおとりに使い、自分でシュートを決めてみせたことで大きな話題となった。これには本田自身も代表の新戦力にポジションを奪われる危機感をのぞかせるようなコメントを残している。出典(c) J.LEAGUE PHOTOS
Jリーグの2014年シーズンでは新人最多記録タイとなるシーズン13得点を記録し、新人としては史上3人目となるJリーグベストイレブンを受賞。間違いなく今ノリにノッているJリーガーの一人である。
今回のアジアカップではここ3戦全て途中出場。まだゴールは決められずにいるが、第3戦で香川のゴールをアシストするなど要所で活躍の兆しを見せている。日本代表がアジアカップを連覇するために、重要なキーマンとなり得るのは確かだ。そのためにも彼自身もまずは結果を残し監督にアピールしたいと思っている事だろう。世界で戦い日本代表を支えてきた本田をおとりに出来る強い精神力を持った彼なら、自分自身を信じて試合に臨み、日本代表に強みをもたらしてくれるのではないかと期待してしまう。日本代表の未来の主軸としてチームに加えられた彼だが、今回のアジアカップ-----自分自身の力を証明する絶好の舞台-----ですでに試合に出場していると考えると、その未来とはすぐ近くに来ているのかもしれない。
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