あけましておめでとうございます。 冬休みは日本で過ごすことにしました。 色々な人に会っては大量の豚肉を食べさせてもらい(!)、充実したバカンスを過ごしています。
そんな日々でも留学先の友人たちとは時々連絡を取り合っています。 先日、クラスのチャットグループ(whatsappという、日本で言うところのLINEに近いアプリを使っています)で、先生からアラビア語のメッセージが来ました。もっとも、いつもアラビア語でしかチャットをしないのですが…… バカンスにかまけてアラビア語の勉強を怠っている私は一瞬何のことやら分からなかったのですが、どうやら「全員試験で60%あったから、単位取れてるよ!おめでとう!来学期もがんばってね。」という内容であるようです。 ということで、ある意味一番危なかった「単位取得」という一つの壁を、無事乗り越えることが出来たのでした。
とりあえず一安心しつつ、クウェートで受けていたアラビア語の授業についてご紹介します。
開講クラスは年度・学期によって違いますが、2014-15年度秋学期は4クラスでした。 これは事情が複雑で、当初はlevel 1とlevel2の2クラス開講でしたが、中級クラスの学生の受け皿がなかったため、学期の前半にlevel 1~3の3クラス開講に変更。私はここでlevel 2のクラスに入りました。 学期後半に入り、level 1の学生があまりにも増えすぎてしまったため、level 1の中でもアラビア語既習者向けにlevel 1.5を新設。 よって、最終的にはlevel 1, level 1.5, level 2, level 3の4クラスが開講されることとなりました。
所属できるクラスは1クラスだけですが、他クラスの授業や一般学生向けの授業を時間の許す限り自由に聴講することが出来ます。 私はlevel 2の授業のみ受講していましたが、友達はlevel 1で文法を復習したり、学部生向けの英語の授業を履修したりしているようでした。
来学期、英語の授業か学部生向けのアラビア語文法の授業を取ってみようかな?とそんなことを考えたりもしています。
担当するのはシリア人のA先生と、エジプト人のB先生(便宜的にA 、Bと名前をつけますね)。 A先生の授業は週5コマ、B先生の授業は週2コマでした。どちらの授業も、全てアラビア語で行われます。 あれ、クウェートに来たのにクウェート人の先生がいらっしゃらない……とそんなことも思ってしまいますが、これはたまたまで、ランゲージセンターには他に3人のクウェート人の先生がいらっしゃいます。
なぜシリア人やエジプト人の先生がクウェート人の先生と同じ立場でアラビア語を教えておられるのかというと、シリアもエジプトもクウェートも同じアラビア語圏であり、方言は大きく違っているものの、共通した書き言葉を使用するからです。
受講生は韓国人、ポーランド人、ベトナム人、チェコ人、アフガニスタン人など世界各国から集まった学生で、日本人は私一人。 既に留学を経験した学生や大学院生も多く、おそらく私がクラスの最底辺レベルだったように思います。
B先生の授業は学期の後半から新しく始まりました。 教科書は使わず、アラブ世界に関する文章やアラブ人作家の評論を読んだり、作文したり、文法の細かい間違いを直したりということをやりました。
中でも印象的だったのは、「○○に関する単語」の授業です。 例えば、「人生、生活」という意味の単語に関連するアラビア語単語を挙げ、思いついた単語をホワイトボードに記入します。 そして、自分が記入した単語についてアラビア語で説明するというものでした。 私は「食べ物」という単語をホワイトボードに書きましたが、これをどうアラビア語で説明すれば良いの!?と、なかなかにヒヤヒヤできる楽しい授業でした(笑)
A先生はこのクラスが開設されたばかりの頃からの担当教師でした。 中級者向けの教科書に沿いつつ、時々それ以外の課題(主にライティング)が出され、時々文法も……という、盛りだくさんの授業でした。 文法はまさにアラブ人が勉強するアラビア語文法。日本では英語圏の教科書に沿って勉強していたので、アラビア語の文法用語がわからず、本当に苦労しました。 ライティング課題はテーマに沿ったもの。「冬の夜」「アラブ人の文学者を紹介する」「歴史上の人物について」「自分の国の詩」など様々なテーマで、ある程度長さがないとダメと言われてしまうので、こちらも大変でした。
教科書にはDVDがついており、映像(5分以上で長い)を見せられ、それについての質問を即座に答えることを要求されるので、「何のこっちゃ……」という状況でした(涙)
ですが、だんだん慣れてくると、きちんと話せたら楽しいですし、当初全くできなかった学生が話している!と先生もお喜びになっているようでしたし(笑)、宿題くらいはきちんと聞き取れるようになりました。 それも、言語の4技能とも言われる読む・聞く・書く・話すをバランス良く取り入れた授業のおかげだと思います。
日本の英語教育は「読む」に偏重していると言われますが、日本でアラビア語を勉強していた頃も若干そのような傾向がありました。 思えば、英語もそうでした。中学、高校、大学に及んで「読む」作業はよくしてきていましたが、特に「話す」は弱かったように思います。 もっとも、私は母語の日本語でさえも「読む」「書く」より「聞く」「話す」が苦手なのは小学生の頃から自明なのですが、だからこそ外国語学習において「聞く」「話す」が重要なのはよくわかります。 日本で外国語教育についての授業をいくつか履修しましたが、そこで学んだ理論が上手に生かされた授業でした。
問題はA先生の口述試験。 内容は比較的簡単ですが、何よりも「話す」が苦手な私に取っては一つの関門です。 与えられた5つのテーマ「私の履歴」「私の街」「最もすばらしかった旅」「クウェートについて」「私の夢」から、くじ引きでテーマを決定します。 対策として、話すことをある程度文章に起こしておき、クウェート人の友人に向かってしゃべってみたり、ということをやりました。
さて、試験当日。 待ち時間が長かったので、台湾人の友人とスピーキングの練習をしつつ、「試験で何を話すか」の作戦会議をして順番を待ちました。 ちなみに作戦会議の結果として、「なぜクウェートに来たか」は「私の履歴」「クウェートについて」「私の夢」の3つのテーマで使い回せるのでは?という結論が出ました。
私の順番が回ってきて、話すことになったテーマは「私の履歴」。
よっしゃ、練習の時に褒めてもらったし、一番しゃべりやすいやつ!と若干喜びましたが、緊張しすぎて発音や動詞の活用を直されてしまいました……
それでも、想定していなかった内容までなんとか話し、試験終了。
あっけない終わり方でした。これでよく単位が取れたなぁという実感ですが、終わり良ければすべて良し。
来学期もがんばろうと思います。
クウェート政府奨学金を得てクウェートに留学中&アラビア語の修行中。「伝える人」を目指して、アラビア語と英語で「日本」を伝えたり、日本語で文章を書いてクウェートのことを伝えたりする日々。