【帰りたい】インド・デリーでオシャレができない理由

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帰りたい

巷では紅白歌合戦でMayJがレリゴーしているとき、副音声で教祖西川貴教様が大音量でレリゴーしてしまったことが話題になっているようですね。ありがたや。くぼっちです。

9月中旬から始まった留学生活は、現時点で半分が経過しました。人間と情報とお金と人間で溢れかえる街デリーに住む面白みを感じていたところではありますが、くぼっちは今、とても日本に帰りたいです。もし風呂に入っている途中に謎の男が私に航空券を渡したら、そのまま全裸で空港に向かうぐらい帰りたいです。カレーがいやなのか、暑さがいやなのか、人が多いのがいやなのか。違うのです。オシャレができないことがいやなのです。

くぼっちは、日本ではこのような髪の色にしたり、このような服を着たり、久保さん2-2日常的にオシャレを楽しんでいました。

しかしデリーではそれができないのです。フラストレーションが成層圏を突破しそうです。

そんなことはミドリムシより小さな悩みではないか。インドに来たならばサバイバル意識を持たねば。けしからん。という耳の痛いご指摘を受けることは承知しております。しかしオシャレをすることは私の生きる喜び、日常への色彩の投入、人生の彫刻なのです。毎日汚れてもよい服ばかり着ていると、生活に張り合いがなくなるのです。

なぜデリーではオシャレができないのか。頭をうーんとひねらせてみたら、3種類の理由が見つかりました。今回はそれを紹介したいと思います。これは、デリーという街をオシャレという観点から分析する機会にもなりました。

1、環境要因

もっとも大きな理由は、物理的な環境です。オシャレをするのに適していないのです。まずデリーの道は、一応舗装されてはいますがかなりアドベンチャーです。大人の背丈くらいの深さの穴があいていたり、岩がぼこっと出ていたりします。ごみや糞もたくさん落ちています。犬や人間も落ちています。高いヒールでスタスタ歩けるところではありません。また一日はいた靴は、砂やオジさんたちがはいた唾が混じった水によりとても汚くなります。靴さんたちはかなりかわいそうな目にあいます。インドで靴として生まれてきた者は前世で極悪非道な所業を行った者に違いありません。久保さん2-3またご存知の通り、デリーの空気は世界一汚いです。まず日本の、新宿区のPM2.5数値は30マイクログラムで、70マイクログラムを越えると環境省から外出に関する注意喚起が出ます。一方デリーでは一立方メートルあたり156マイクログラムです。最も汚い10月末は250マイクログラムを越えます。一時的に600マイクログラムを越えるときもあります。SEKAI NO OWARI到来を思わせるKUUKI NO OSENですね。久保さん2-4話は少しそれますが、日本企業からインドに派遣されて働いてらっしゃる駐在の方々は基本のお給料に加えて、高額なハードシップ手当てというものをもらっています。これは価値観の全く違うインドでの業務遂行の難しさや娯楽の少なさへの配慮から支給されるそうなのですが、もう1つの理由として、自分と家族の、将来の健康被害のリスクを負って駐在することへの配慮もあるそうです。恐るべしインドの空気。

話を元に戻します。空気にはPM2.5 以外にも目に見える砂ぼこりなどが舞っているので、お出かけするだけで服が汚れます。一日着た服を洗ったときの水は、学校の教室を大掃除したときのバケツの水と同じような色になります。その空気の中に服を干すとさらに汚れます。これが無限ループというものですね。

水が汚いということは、服だけでなく髪の毛にも良くありません。洗えば洗うほど、ぎしぎしになります。一度の洗髪で我が頭髪に別れを告げるおびただしい量の切れ毛は、薄毛で悩む殿方に泡を吹かせることでしょう。これにより、ただでさえ髪の傷むカラーリングはできません。

2、文化要因

インドでは伝統的に、女性は脚と肩を出すのがタブーとされています。そのためコーディネートに制限が出ます。着られるのは、上は袖のある服、下は長ズボンかマキシ丈スカートくらいです。もっとも近代化オンザウェイウェイなデリーでは、ショッピングモールなどにいくとひざ丈のワンピースやタンクトップを着ている女性を見ることもあります。じゃあくぼっちも着たらいいじゃないかい、という声が聞こえてきますが、実はあまり気が進みません。まず私は外国人なのです。ただでさえ、外国人はインドでものすごく注目されます。別にとんでもない服を着ているわけでもないのに、メトロに乗車したとたんにその車両すべての視線を集めてしまいます。最初はアイドル気分を味わっていたのですが、それが毎日ともなると、なに見てんだコラとガンつけたくもなってきます。そんな中でよりスポットライトを浴びようとするのは、非常に気疲れする行為なのです。久保さん2-5また注目を浴びることは身の安全を脅かす可能性もある行為です。インドの北東部出身の女の子は顔が日本人にそっくりなのですが、彼女たちのなかにはインドの風俗産業に従事している娘が多くいます。インドに風俗産業があるのかとドキをムネムネさせる男性諸君は、ここではそれについては詳しくかけないので、その内容については各人の想像力で補ってください。まあそんなわけで、日が落ちてきた頃に日本人が外でワンピースなどを着ていると、風俗産業従事者に間違われてしまう可能性があるのです。先に、注目を浴びることは気疲れすることだ、とアイドルならではの悩みを吐露しましたが、実は危険が伴うことでもあるのです。実際、ショッピングモールでブイブイ言わせている彼女たちはどこへでも自家用車を使ってドアトゥドアで移動できる層の人間なので、彼女たちといち留学生の私を比べること自体間違っているのかもしれません。

3、発展・概念要因

最後の要因を述べる上で言いたいことは、「モノがない」ということです。インドでは、「洋」服を着たり、普段着にお金をかけたりという概念が浸透するようになったのが、ここ10年のことです。ですのでまだ今は、「洋」服を着ているということそのものがナウいことのようです。まだファッション性の追求までは至らないのか、インドで売っている「洋」服は総じてオシャレではないです。まあこれなら着てやらないこともないか、と思った服があっても、日本人の感覚では明らかに品質に見合わない値段がついています。日本のブランドで例えると、GUの服にChaoPanicの値段がついているという感覚です。BenettonやFOEVER21など海外のブランドの服も買い付けているのはインド人デザイナーであり、彼らのインド的感性が強すぎるのか、日本人の私には全くかわいいとは思えません。また靴やバッグにも同様のことがいえます。

また髪のオシャレについても「モノがない」状態は存在します。髪を染めたいと思っても、そもそもカラー剤があまり売っていません。たまたま大きなスーパーで発見しても、白髪染めが3種類くらい、ひっそりと置いてあるだけです。若者がオシャレのために髪を染めるという概念そのものがまだ浸透していないのでしょう。そもそも、女の子の髪型が数パターンしかありません。前髪をワンレンにしてセンター分けにし、それを下ろしているか後ろで束ねるかハーフアップにするか、その長い前髪をポンパドールにするか。前髪を作っている女の子やショートへアにしている女の子、パーマをかけている女の子は、それぞれ月に3回ぐらい見かけることがあります。ワンレンかつセンター分けは、もっとも髪を切る必要のない髪型です。そのせいなのか、インドの美容師さんは技術があまり高くありません。ちなみに昨日散髪しましたが、片桐はいりさんそっくりになりました。

そして化粧品。インドの女の子のメイクは日本人のそれとは全く異なります。眉山はっきりのロング太眉に囲み目がインドメイクの鉄板です。日本人のメイクとは、重要視されているところが違うのです。ですので日本人がしたいメイクに必要な品物、例えばマスカラなどは、ドラッグストアにあまりたくさんの種類がおいてありません。ちなみにこのインド風メイクをしょうゆ顔の日本人がやると、住宅街にぽつんとあるスナックでやめるにやめられず人生を憂いながら働いている女の子のようになります。注意しましょう。久保さん2-6日本人の駐在の方々は「インドはまるで日本の1960年代のようだ」とみなさん口をそろえて仰います。私はそれがファッションについても言えることのような気がしています。顔にも似合わないのに欧米への憧れへ身をはめこみ、時代からおいてきぼりを食らわないよう、すました顔はまだ板につかぬまま、一生懸命それらしくしている。鴨は水上ではすました顔をしていますが、水面下では前に進むために一生懸命水を掻いています。たくさんの鴨が、すこし流れのあるところにうっかり来てしまって、流されまいとみんながいっぺんに水を掻くもんだから流れが強くなってしまった。でもみんな水上では、なんともないといわんばかりの表情を貫いている。なぜならそれが、かっこいいことだと信じているからです。そうした人たちが、つまり近代化にかじりついてふりおとされないようにしている人たち自身が、近代化の雰囲気を後押ししているのかも知れません。

デリーでオシャレができないくぼっちに救いはないのか。次回投稿で、オシャレ砂漠インドでの給水方法を紹介します。おたのしみに。(終)

この記事を書いた学生ライター

久保 まりな
久保 まりな
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北海道大学法学部からインド・デリーへヒンディー語留学しています。政治思想への興味からインドへ来たが現在はインドで古着屋をやることを夢見ています。 ブログ・「Saagar Select」をぜひご覧ください。

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