Frohes Neues aus München!
みなさん、あけましておめでとうございます。初めての海外での年越しは、ミュンヘン市民が各々打ち上げる花火の爆音とともに迎えました、絹川です。聞きしに勝る皆の熱の入れようで、除夜の鐘と共に静かに迎える京都の元旦との違いに面食らいつつも、エネルギッシュに新しい年を迎える喜びを感じることができました。日本ももうお正月モード一色かと思うのですが、めげることなく前回の予告通りミュンヘンのクリスマスについて、少しご紹介したいと思います。(出典:http://allabout.co.jp/gm/gc/65472/3/)
私が素敵だなと思うドイツ語の1つに”weihnachten”という動詞があります。”Weihnachten” と名詞で用いると単に「クリスマス」という意味なのですが、動詞のほうは “Es weihnachtet.” といった感じで用い、クリスマスが近づくだとかクリスマスめいてくるという意味を表すのだそうです。専用の動詞が存在するほど、ドイツの人々にとってこの行事が重要なのだということを感じさせてくれる、かわいらしい、そして雰囲気にあふれた言葉だと私は思っています。そして、この時期にドイツにいると、 ”Es weihnachtet.” を肌で感じることができます。
12月25日のクリスマスを迎える前4週間は「アドヴェント」(待降節)と呼ばれ、イエスの誕生を待つ期間とされます。この多くの家庭では「アドヴェント・クランツ」という、緑のリースに4本のろうそくを立てたものを用意し、日曜日を迎えるごとに1本ずつ点火していきます。子どもたちの毎朝の楽しみは、家族や親戚にもらった「アドヴェンツカレンダー」の扉を毎日1つずつ開けていくこと。これはアドヴェント期間4週間のカレンダーとなっていて、日付ごとに小さな扉や引き出しがあり、開けるとカレンダーの贈り主が入れておいた小さなお菓子やおもちゃ、ちょっとしたプレゼントをもらえるという仕組みです。もっとも、これは子どもだけに限ったことではなく、大人でも家族や友人間で贈りあうそうです。私の大学の友人も毎年もらうのだとか。インターナショナルオフィスの方からのメールにも、結びに”Ich wünsche Ihnen einen schönen 2. Advent!”(素敵な第2アドヴェントを!)と書いてあったりして、思わず頬が緩んでしまいました。
また、自宅でたくさんクッキーを焼いて準備しクリスマスを待つ、という人が少なからずいるようです。クリスマスの時期に作るクッキーは”Plätzchen(プレッツヒェン)”と呼ばれ、私もありがたいことに友から手作りのものをいただきました!聞けば、早い人では11月からもう焼き始めるのだとか。そのクッキーは焼いてすぐ食べてしまうのではなく、クリスマス期間まで取っておくのだそうです。ひたすら、気合いを感じます。(出典:https://www.travelbook.co.jp/topic/16)
そしてだいたい11月末からクリスマスまでの期間、多くのクリスマスマーケット、ドイツ語ではWeihnachtsmarkt(ヴァイナハツマルクト)が開かれます。日本で最も有名なドイツのクリスマスマーケットと言えばニュルンベルクのそれですが、ほとんどどの街でも行われているもので、ミュンヘンほどの大きな街になると、市内至るところ、数えてみるとなんと約20か所ほどで、様々な趣向を凝らしたマーケットが開かれていました。
さて、私は以前から12月はぜひたくさんのマーケットを訪れてみたいと願っていたのですが、初めて訪れた際の感想は、とにかく
「寒っ!!」
の一言に尽きまして、歯をガタガタ震わせながら、よくぞこんな吹きさらしの中のんびり見物ができるものだと、周りの人たちを尊敬の眼差しで見つめるより他にありませんでした。今でも寒いと感じるのは変わりないですが、不思議なことに寒さの扱いにも次第に慣れ(?)、最後のあたりはなかなかに楽しんでおりました。
それでは、私が主観で選んだいくつかのクリスマスマーケットを、寒さにも(恐らく)負けないマーケットの楽しみ方と織り交ぜつつ、ご紹介します。
1.飲む!クリスマスマーケットの飲み物といえば、まずは日本でも有名なGlühwein(グリューヴァイン)。直訳すると「灼熱ワイン」ですから、体が温まらない訳がありません。お酒の上でラム酒を染みこませた角砂糖が燃えて溶け落ちる、Feuerzangenbowleも面白かったです。アルコールが苦手なら、Kinderpunsch(キンダープンシュ・子供のポンチ)を。もちろん大人も頼めます(笑)
ミュンヘンのクリスマスマーケットでもまず初めに挙げられるのは、旧市街中心部、市庁舎前の広場 Marienplatz(マリエンプラッツ)のマーケットでしょう。本当にさまざまな種類のクリスマスの飾りとともに、飲食のできるスタンドも並んでいます。温かいワインを買って、市庁舎と巨大クリスマスツリー、広場の周りのお店の建物のイルミネーションを眺めながら飲むと、ミュンヘンにいるんだなーと実感できます。
2.食べる!温かい食べ物は体を温めてくれますし、何より、人間、幸せな気分でいる間は寒さを忘れるようです(笑) お決まり・ソーセージだけではなく、実に様々な食べ物が売られています。Lebkuchen(レープクーヘン・ケーキという名ですが、私には香辛料入りの超厚手クッキーに思えるときが多々あります)などの焼き菓子、Schokokuss(ショコクス・マシュマロをかわいくコーティングしたドーム型お菓子)などのチョコレート菓子、ドイツでは意外にもイベントの際の屋台でしか見ることの少ないクレープ、Flammbrot(フラムブロート・長くて平たいパンに具をのせて焼いたもの)他、たくさんありすぎて書ききれませんがどれも美味しかったです。
Marienplatz(マリエンプラッツ)の少し北、ヴィッテルスバッハ王家の宮殿・レジデンツや黄色が特徴的なテアティーナー教会の並ぶOdeonsplatz(オデオンスプラッツ)の近くで開かれるMittelaltermarkt(ミッテルアルターマルクト・中世風マーケット)では、屋台の造りからお店の方々の衣装に趣向を凝らし、その名の通り中世の雰囲気が演出されています。素焼きっぽく素朴なお皿やマグカップで飲食物を提供してくれる屋台があり、また調理過程を「魅せる」屋台が多かったように感じました。売られている小物なども、中世風な趣のあるものばかりで、他とは違った楽しみ方ができます。
3.人ごみ!昼間は人影もまばらなマーケットも、夜になると猛烈な人手になります。そんな中、人々が押し合い圧し合いしているのに巻き込まれていると、心なしか寒さが軽減されるように感じました。サルだんごのようなイメージですね(笑)
お決まりとはいえやはりニュルンベルクのクリスマスマーケットは見ておきたいと思い、ミュンヘンから電車で1時間40分ほどの道のりを向かったのですが、土曜ということもありすさまじい人ごみ!街は世界大戦の際徹底的に破壊されたそうで、現在の街並みはその後再建されたものですが、それでも旧市街では中世の面影を見て取ることができ、ややこじんまりとしたかわいい雰囲気の街という印象を受けました。ミュンヘンとは少し趣の異なるクリスマスの飾りやお菓子などを買い求めることができます。
4.屋内に入る!時には外で粘り続けるのではなく、あきらめよく温かい屋内に避難することも大切です。既にたくさん食べ、飲んでいても、カフェに入ったり、レストランに入ったり… 世界最大のビール祭り・オクトーバーフェストの会場にもなるTheresienwiese(テレジエンヴィーゼ)で開かれる、アートなマーケット・Bioと呼ばれる健康と環境に配慮した食べ物、様々な文化的プログラムをメインとするTollwood(トルウッド)というお祭りでは、普通の屋台に加え、たくさんのテントがあり、中で冷たい風を避けて飲食や買い物、イベント鑑賞をすることもできます。
ここでは全ては紹介することができませんが、他にもたくさんのクリスマスマーケットがあります。留学で長期間滞在していると、違うメンバーで行くと同じ場所でも新しい発見があったり、自分の所属するオーケストラの団員がブラスアンサンブルをするのを聴きに遠くのマーケットまで足を運んでみたら思いの外面白い品が見つかったり、またそれぞれのマーケットにも個性があって飽きることはありませんでした。もし機会があれば、みなさんにもぜひ一つ一つゆっくり見て回っていただきたいです。くれぐれもその際には、防寒にお気を付け下さいね! ではまた次回、お目にかかりましょう!
憧れのドイツ・ミュンヘンにて留学中の大学3年生。学問だけでなく、文化も素晴らしいこの街で、たくさんの貴重な経験をしています。