はじめまして。筑波大学社会・国際学群国際総合学類4年次で、現在アテネオ・デ・マニラ大学に留学中の楢府奈緒子(ならふ なおこ)と申します。^^
留学期間は今年の11月から来年の3月までです。本当は1年間留学に行きたかったのですが、来年の学年歴変更に伴う4月から8月までのExtreme Long Vacation(!!??) により、1semesterのみ大学に通うことになりました。
ただ、フィリピンには8月頃まで残ってインターンやボランティア等をしようと考えています。
「フィリピンに留学に行く」と話すと、「何で?」「語学留学?」と今まで様々な方からご質問を頂いたので、自己紹介を兼ねて、なぜ私が交換留学先としてフィリピンを選んだのかお話ししたいと思います。
手短に言うと本当に「偶然」です。 正直に言えば、2年生の時はヨーロッパ留学に憧れて、そのために準備をしていた時期もありました。2-3年生の間は、特に国際人権法に関心があり、「人権」という概念をヨーロッパで勉強してみたいと思っていました。しかし、国際法を勉強し、国際人権法・国際労働法に特化していく中で、
「国際人権法だけで本当に保護されるべき人々を救えるのか」
という疑問が強くなっていきました。もちろん、国際人権法の存在意義は大きいと思いますし、それによって救われた人々もいるはずです。しかし、国際人権法の救済を自ら求められる人はほんの一部の高等教育を受けた人に限られています。加えて、現在の国際法の枠組みでは重大な人権侵害以外は救済を望むことは難しいのが現状です。だからこそ、法に軸足を置きつつ、「人権の国際的保障」を勉強したいと思うようになりました。
何か仰々しいですね(苦笑) でも、正直に言ってどの方法・手法がいいのか分かりません。だからこそ、今年から東南アジアの大学との協定プログラムが始まると偶然耳にした時、直感的に「行きたい!!」と思ったのだと思います。人権問題を抱える発展途上国で、様々なことを見聞きし、学ぶことで何か得られるものがあるのではないかと。
数ある東南アジアの協定校の中で、最終的にフィリピンを選んだ理由は大きく分けて3つです。1つ目は「言語」です。ほとんどの協定校では、英語で授業が行われるのは観光・ビジネス・言語文化のみで、私の興味分野である国際法、労働法、開発等は現地語で開講されています。その点、フィリピンは大学の授業は全て英語で行われているので、授業の選択肢が広がります。教科書も授業も学内の掲示物も全部です。(時々、教授がタガログ語で冗談を言うことはありますが・・・笑)
つまり、純粋に勉強に集中できる環境があるというのが1つ目の理由です。
2つ目は、一番早く留学に行ける大学であったことです。完全に手続きの問題です(笑)。というのも、他の大学を目指す場合、学期の関係上年明けから留学が始まります。しかし、大学4年時に留学する私にとっては、年明けまで待ってられない!!「とにかく一番早く留学に行けるフィリピンの大学に行かせてください!!」とお願いしたら、この大学になりました。(大統領を輩出するような名門私立校で、お金持ちな大学のためとても快適な大学生活を送れているので本当にありがたいです!)
3つ目が、仰々しい関心分野と関係している一番重要な理由です。 私が、「人権の国際的保障」に興味を持ったきっかけは、児童労働問題との出会いでした。(だから、国際人権法と国際労働法に特化して勉強していたのです!!)そして、フィリピンは5-17歳の子どものうち約10人に1人が児童労働に従事し、そのほとんどが「最悪の形態の児童労働」とされる売春や危険な場所での仕事に従事しているとされています。だから、この社会について勉強して、「なぜ」この問題が起きるのか、「どうしたら」この問題を解決できるのか、自分なりの答えを探してみたいと思いました。
「児童労働」を初めて知ったのは、小学校4年生の夏休みでした。人生で初めて行った発展途上国のベトナムでのことです。学校に行くべき時間に、路上で物を売り歩き、観光地で物乞いをし、存在していないかのように扱われる子ども達。「貧しい」という言葉は知りつつも、「ご飯を残したり、物を粗末にしたりするのを注意するために大人が使う言葉だろう」と完全に生意気な考え方をしていた当時の私としては衝撃的でした。
自分と同じ身丈の子たちが、ぼろぼろの服をまとい、はだしで、私を妬ましそうに見ている。特に、観光地のレストランで外から私を見ていたあの眼差しは忘れられません。「怖い」「何でこんなにも違うの?」それが小学校4年生の私が感じたことでした。
そして、帰国後もこのもやもやが残ったままでした。そして、中学1年生で偶然参加した児童労働反対世界デーで、初めて「児童労働」という言葉を知り、「仕方のないこと」ではなく「解決すべき問題」であることを知りました。
その後、大学の進路選択の時期になり、「外国好きだし」「『児童労働』って言葉気になるしなー」という理由で国際関係学専攻を選び、たまたま受験時期に読んだ児童労働の本が国際労働法学者の方の本で「このアプローチ方法好き!!」という理由で国際人権法の勉強を始め、「でも法だけじゃやっぱり現実的に救うのは難しいのか・・・」と少し視野を広げた「人権の国際的保障」という言葉に落ち着いたというのが正直なところです。
色々書きましたが、今は正直なところ、留学開始1ヶ月の私は大学の課題に追われ、抜き打ちテストに慌てて、Taglish(フィリピン訛りの英語)の聞き取りに苦労し(特に学外のお店)、日本の大学との授業スタイルの違いに戸惑い、疲れて帰宅してドミトリー(学生宿舎)のスタッフに「大丈夫?」と心配され「もう少ししたら慣れるから!!」と励ましてもらう日々です。
そして、本当に周りのフィリピン人に救われています。クラスメイトには、独自のコピーシステムを教えてもらったり、授業終わりにご飯に連れて行ってもらったり、課題の相談に乗ってもらったり。ドミトリーのスタッフには、タガログ語を教えてもらったり、遠出する時の交通手段について教えてもらったり、ご飯の名前を教えてもらったり。そして、悪友には昼間から飲みに誘ってもらったり、「日本人なんだから英語話せないフリしたら教授が優しくしてくれるよ」と悪知恵を授けてもらったり、「バカ」をはじめとした汚いタガログ語を仕込まれたり。日々落ち込むことはありますが、彼らのおかげで何とか楽しく過ごしています。
個人的な感想ですが、フィリピンほど、日本人=英語が話せないという固定概念が強い国はない気がします。大学には、見た目が日本人に似ている中国系フィリピン人が多いので、授業中にフィリピン人と勘違いされ、名乗ると「え、日本人!?英語話してたよね!?」と言われたり、日本人と自己紹介したにも関わらず英語で少し会話した後は韓国人だと思われていたりすることもあります(東アジア系で英語が話せる=韓国人という認識があるようです)苦笑。
たった1ヶ月しかまだ滞在していませんが、授業では様々な価値観の違いに驚かされています。例えば、「開発」と聞いて日本人の多くは貧困問題を連想するかと思いますが、こちらでは「開発」=「経済発展」という意味合いが強いように感じます。また、労働法は日本の授業では非正規雇用やワーキングプアなど社会問題を絡めて勉強したのですが、こちらは「自分の権利は自ら主張して守る」ために勉強するなど、授業の雰囲気が全く違います。このような小さな発見を色々積み重ねる10ヶ月にしたいなーと思っています!!そして感じたことをこの場をお借りして、発信させて頂ければ幸いです♪
最後まで読んで頂きありがとうございました。今後ともよろしくお願いします!!^^
2014年10月からフィリピンに滞在中。11月から3月までのアテネオ・デ・マニラ大学の交換留学を終え、現在はオロンガポ(マニラから北に4時間)でPREDA FoundationというNGOでインターン中。フィリピンの色々な側面を知りたいと、現地の人に交じって生活しています。 (※Facebookでの目的が曖昧なコンタクトや友達申請は控えて頂けると幸いです。)