みなさんこんにちは!ボストンに留学中の若尾和紀です。
表題にある通り、日本ではろくに講義に出席できない私が、ここアメリカでは高い出席率をキープしています。94%というのも、週末に遠出をするために金曜日をスキップせざるを得ないなど、ときどき仕方ないことがあるので、叩き出し得る最高の出席率と言ってもよいかもしれません。
さて、なんでこの私が出席し続けられるのか。 理由は簡単です。
それは、出席率が低いとビザの違約になり国外追放されるから!! アメリカへ3ヶ月以上留学する際は領事館にF-1ビザというものを発行してもらう必要があります。 勉学を目的として渡米する人に限って発行されるものなので、勉強をサボろうものなら容赦なく国外追放です。出席率が80%を切ると、まずアカデミックオフィスへの呼び出しがかかります。そこでキツーい指導を受け、それでも改善しなければ退学です。本当に国外追放されます。 そりゃ授業にも出るわな。 以上、第2回でした。では次回をお楽しみに!!
……ちょおっと待った!
違う違う。いや、確かに出席率が80%を切ると退学になり国外追放されるのは事実です。事実だけど、そんなことを書くためにこの稿を起こしたのではありませんッ! 私が授業に出続けられるのには主に2つの理由あります。
まずはこちらの授業スタイルです。
どの授業も、10人~15人のディスカッション形式で行われます。
対して100人の学生が巨大な講義室に詰め込まれ教授がひとり前で喋り続ける日本の大学の講義は、怠け者の私にはどうも肌に合いません。それが90分も続くとこれはもう拷問です。気付けば寝ているか本を取り出して教授の声をBGMに読書を始めてしまいます。どう贔屓目に見ても教授の声がモーツァルトのピアノソナタに敵うわけがないので、そうなるとどうしても欠席したくなります。
一方こちらの参加型授業では、教科書が取り上げているトピックに対して頻繁に意見を述べることを求められたり、先生や他の生徒が発した意見に対しての指摘を求められたりします。 特に語学学校という特質上、生徒全員が留学生なので各々のバックグラウンドからの意見が求められます。日本ではこの問題をどう捉えているのか、日本ではどう教えられてきたのか、などです。
例えば、先週のトピックは環境問題でした。 すると、欧州の生徒は福島の原発事故について熱心に質問を飛ばしてきます。 みんな”Fukushima”に”Hiroshima”と同等、あるいはそれ以上の知識と関心を持っていて、事故の収束の具合やその後の影響、政府の対応、現行の日本のエネルギー政策など、ともすれば私も正確には知らないような鋭い問いを投げかけてきました。 これに応ずるには知識だけでなく、対応する語彙を英語で持っていなくてはなりません。意見を言えないということはクラスに存在していないのと同義なので、雑巾を絞るように脳みそから知識を絞り出して総動員し、語彙が分からなければ持ち合わせのものでどうにかするしかありません。 単語が分からなくても、なんとかして伝えようとする努力を示せば先生は助け舟を出してくれます。孔子の「非せざれば発せず」という言葉を思い出します。 また、意見がまだできあがっていない段階で先生に当てられ、「ギクッ!」となることもよくあります。そんなときはアドレナリンを噴出してとっさに意見をでっち上げます。巧遅は拙速に如かず。待ってはくれません。
授業はしばしばこんな感じに進められるので、大人数での講義よりはるかにチャレンジングで参加のしがいがあります。
そして何より、いまのクラスが大好きです。
クラスは、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠:Common European Framework of Reference for Languages)に基づいてレベル分けがなされています。日本でも最近になってこの枠組みが取り入れられてきました。
私がいま所属しているのはその6段階(A1〜C2)のうちの上から2つ目、C1レベルのクラスです。
調べてみると、C1レベルの学習者は「広範で複雑な話題を理解して、目的に合った適切な言葉を使い、論理的な主張や議論を組み立てることができる」と冷や汗が出るようなことが書いてあり、「ひええええええええごめんなさいいいいい」て感じになりました。
これを読んで青ざめているような私はともかく、他のクラスメイトはみんな知的でおもしろく、英語も非常に流暢です。
怠惰極まりない私が毎朝5時起きも辞さずに出席し続けられるのは大好きなクラスメイトのおかげでもあります。日本人が私の他にもう一人と、ラテンと欧州からの生徒が半々といった感じで、クラスメイトのことは(彼らがいいよと言ってくれれば笑)おいおい紹介できたらなーなんて思っています。
それでは今回はこんなところで終わろうと思います。 次回は「ハウスメイトが宿題をさせてくれない話」をお送りしようと思います。
「英語教育を通してアンビシャスな人たちの夢を叶える力になりたい」という夢を実現するため、日本人に最適な語学教育のあり方を求め米国ボストンに留学。現在は日本に帰国し、語学教育事業に注力中。帰国後も執筆の機会を頂けたことに感謝しています。大阪大学4年生。