日本政治の次世代を担う真のリーダー”徐東輝”(前編)

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名前: 徐 東輝(そぉ とんふぃ)さん 所属: 京都大学 法科大学院 1年

ーー自己紹介をお願いします。

京都大学の法科大学院1年の徐東輝です。在日韓国人として生まれて、父と母も日本生まれ日本育ちの韓国人です。おじいちゃんとおばあちゃんの世代から日本にやって来ました。 小学生の時から本名を使っていたのですが、小学校の同級生たちは「そぉ とんふぃ」という僕の名前に違和感を持って、僕はいじめられてしまったんですよね。小学校に行くのは面白くなかったですし、地元の中学に通うのも楽しくないと思ったので、電車で通える韓国人学校に行くことにしました。そこで同じバックグラウンドを持つ人たちに会って、「生きていくのはこんなに楽しいんだ!」というごくごく当たり前のことを知ることができました。その後、弁護士になりたいと思うような出来事があり、京都大学に進学しました。

目指すは弁護士

ーー弁護士になりたいと思われた理由は何だったのですか? 10799371_839643456086858_1399004449_n小学生の時から在日韓国人という自分のバックグラウンドが嫌でした。韓国人が群がっていたり、被害者意識が強かったり、日本の文句ばかり言っていたりするという部分ですね。僕自身も韓国人という理由で日本人にいじめられて、「なぜ韓国人として生まれてきてしまったのだろう」とずっと思っていました。 そうした中で、あるとき両親にシンポジウムに連れて行かれたことがあって、「日本に対して戦後賠償問題をどう解決するか」というトピックでした。 僕は「また韓国人が傷の舐め合いをしてるな」と思っていました。でもそこで韓国人を集めて訴えかけていた弁護団は皆日本人だったんですよね。当時僕は、日本人は皆韓国人のことが嫌いだと思っていたので、日本人が韓国人を弁護している理由が分からなかったんですよ。そのシンポジウムの後に、弁護団のトップの方と話せる時間があったので、「なぜ日本人が韓国人を助けるの?」って聞いたんです。そしたら「人間として正しいことをやってるだけだよ」と言われたんですよね。それが客観的に正しいのかは分かりませんが、「自分が思う正義を社会的に実現できるのが弁護士だ」と言われて、「めっちゃカッコいい!」と思ったんですよね。その原体験から弁護士になりたいと強く思いました。

ーー徐さんにとって弁護士の魅力は何ですか?

成長していくにつれて、社会の良いところも悪いところも見えて、社会の病気を治せるのは法律や政治だと感じるようになりました。そこが魅力ですね。法律や憲法は国を作る根幹にあるものだと思ったので、そこに関われる弁護士になりたいと思ってロースクールを目指しました。そこからは、短絡的な思考なんですけど、地元で一番偏差値の高い京都大学を目指しました。 ただ、進学校に行くと「京大すげえ」と言われて、「京大行けば人生決まるよ」って言われるわけですよね。京大に現役で合格したんですけど、その進学校の洗脳を受けて、ひどい大学生になりましたね(笑)本当に人生勝ったと思っていたので、1年生の時はいかに楽に卒業し、いかに楽に弁護士になって、いかにお金を稼ぐかという考え方になって、当初の目標を見失っていました。弁護士も余裕でなれると楽観的に考えていましたね。

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震災を経験、そしてivote関西設立へ

10754264_839631916088012_1369282413_o ーー当初は楽観的な学生だったとのことでしたが、そこから徐さんが「変わらないといけない」と思われた転機は何だったのですか?

昔からやりたいことがあって、英語が好きということもあり留学しようと決めていました。1年生でお金を貯めて、2年生の時にニュージーランドへ留学へ行きました。留学に行った時でさえ「俺京大だけど」みたいな感じで斜に構えてました。だけどニュージーランド人は京大を知らないんですよね。しかも現地の先生に「君がどんな教育を受けたか分からないけど、君は何を語れるんだ!?」と言われて、それが響いて頭打ちしたんですよね。僕は京大という大学名を抜いたら何も残らないなと思ったんです。本当にしょうもない人間だなと強烈に思いました。

その留学の時にクライストチャーチで地震があって、僕も被災したんです。阪神淡路大震災は経験していたものの、トイレも電気もない生活を体験しました。さらに帰国後に高校の友達と旅行で東北に行ったんです。それが2011年の3月だったんです。実は宮城で3月9日に地震があって、10日には関西に戻ってきていました。翌日にあの大震災が起こって、訳が分からない状況になりましたね。当時僕なんかよりも日本のことを考えて、日本を変えたいと思っていた東北の大学生が亡くなりました。彼らが亡くなったことは日本にとってかなりの損失だと思います。僕がそれまでやってきたことは自分のいいように生きるためのもので、日本のためとか何も考えてなかったんですよね。同時に、死ぬってこんな簡単なものなんだなと思いました。今僕ができることは亡くなった方々の代わりに何とかして精一杯日本のために貢献することだと思うようになりました。

ーーivote関西さんを立ち上げたきっかけを教えてください。

大学院に合格した後、ivote関西を立ち上げました。念願でした。若者の無意識を無くしたいと思っていたんです。日本の若者、特に学生は、当事者意識や帰属意識がなくて、時間が経過して自然と訪れるものをただ受け止めるだけ、就活の時期が来たら頑張る、テストで単位を取らないといけないから頑張る、みたいな状態になっているんですよね。僕はもっと若者が誇らしく日本の未来を語って欲しいんです。僕の夢は「ふへん」的な価値を嬉々として語る若者を増やしていくことです。「ふへん」の意味は「普遍」と「不変」です。 そして、いまボクにとって最も伝えたい普遍的価値が「投票」です。休日に友人と映画に行くように、恋人と買い物に行くように投票に行って欲しいんです。僕は在日韓国人ということで投票権がないので、僕が日本の政治や社会に興味を持って、憲法や法律を勉強していても日本の未来を作ることができないんですよね。帰化も考えているんですけど、現時点では投票権がないので、投票権のある人に土下座するしかないんですよね。心では土下座して、頼むから投票してくれ、って思っています。皆の持っている投票権というのは、僕にとっては涙が出るほど凄いことなんです。 海外に目を向けると香港や台湾の人たちが投票権を得るために命を賭けているわけです。でも日本の人たちにとっては当たり前に存在しているものなので、びっくりするくらい簡単に投票権を捨ててしまうんですよね。そういった思いを伝えたいという意図があって、Google検索でivoteを見つけて関西でも立ち上げようと思ったんですよね。

ーーivote関西さんをゼロから立ち上げるのは難しかったと思うのですが、どのような経緯があったのですか?

今年の1月にivoteに話しかけて、ivote関西を立ち上げたいと訴えかけました。ivoteは7年目の学生団体で、国会議員では知らない人はいない、地方議員でも知れ渡っているようなセンセショーナルな団体ですし、そんな団体に傷はつけられないので、二つ返事で関西支部を立ち上げてもいいですよとはなりませんでした。僕がどういう人間かも分かってもらわないといけないですし、2、3か月関東支部の方とSkypeで協議していました。理念を理解して、打ち合わせをしてOKが出てスタートしたのは今年の4月でした。僕がちゃんとしている人間と理解してもらえましたね(笑) やはり支部化をする上で重要になってくるのは、「理念の共有」ですので、Skypeのみならず、何度か東京へと足を運び、何度も詰め合わせを行いました。 仲間集めに関しては3回ほどFacebookで告知をしました。最初に集まったのは5人くらいでしたね。説明会を開催したんですけど、6人しか集まらなかったんですよね。こんなに響かないんだなと感じました。結局4月の段階でivote関西に入ってくれたのは2人でした。しかも僕以外全員海外にいるという(笑) その後はビラを作って配りまくりましたね(笑) 人海戦術です。その甲斐あって5人くらい入ってくれました。あとはヘッドハンティングのような形で、僕が信頼している知り合いに「ivoteに興味のある人がいたら紹介して欲しい」と個別にメッセージを送りました。1か月半でメンバーは14人になりましたね。これが今年の5月の中旬です。でももう7人辞めちゃったんですよね。今は理念に興味を持ったメンバーが増えてくれて、27人になりました。やっぱり団体を立ち上げてすぐはメンバーの入れ替わりが激しかったです。

ーーivoteさんのミッションをお聞かせください。

20代の投票率の向上が最上理念です。今の20代の投票率は30%前後を推移していますが、これをもっともっと上げていきたいです。それも、強制的にではなく、自発的に行く人達を増やしたいです。政治的中立を保ちながら、中間層と言いますか、選挙に興味を持っていない層をターゲットに活動しています。いま投票に行っている層には働きかけるのではなく、ivoteが働きかけることで動いてくれるような層にアプローチしています。政治的中立を保つことと、中間層の投票率を上げることがミッションですね。

なぜ日本の若者は投票に行かないのか

とんふぃさん ーー若者が投票に行かない理由はなぜだと思われていますか?

今、なぜ若者が投票に行かないのかをコンサルぽく分析しているのですが、2つ原因があって「ナレッジの不足」と「モチベーションの欠如」だということが分かってきました。1つ目は選挙や政治に対する知識不足ですね。手続きや行政やマニフェストそのものが「分からない」という状態です。2つ目は、当事者意識の不足であるとか、投票が面倒だとか、無力感ですね。知識があっても意識がなければ投票には行かないですよね。原因は主にこの2つに分解できました。 原因の分析に対応して対策があると考えて、解決のためのプロジェクトを考えています。

ーー具体的にどういった対策を考えられていますか?

そもそも政治や選挙という言葉に若い人たちが踊らされています。黒い世界なんだろうなとか、面倒だとか、難しいとか。その中でも政治不信で「絶対投票行かねぇ!」という層は僕らが何と言おうと絶対動かないと思います。でも中間層というのは背中を押したり、入口まで手を引っ張ったりすると、結構興味を示してくれるんですよね。何とかして政治や選挙の堅苦しさとかを取っ払って、政治って身近だよとか、面白いよ、投票って難しくないよ、ワクワクするよ、ということを気づいてもらえるようにアプローチしていますね。

ーー政治に関する教育が学校でなされていないと思いますが、徐さんはどう思われていますか?

選挙の投票に関してもそうですが、そもそも政治の話をあまり学校でしないですよね。教育だけではなく、日本全体で政治に対する怖さを持ちすぎていると言いますか、ネガティブなイメージが強いですよね。なぜこんなに不信があるのか、政治で汚職が起きてて信じられないとか、選ぶ政党や政治家がいないとか言う人が多いですが、それは結局、国民が戦後70年間政治を怖がりすぎて注意を払っていなかったんですよね。時間がかかるかもしれないですが、失われた70年をこれから変えていかないといけないです。本当に政治にビビる姿勢を取っ払っていかないといけないと思います。

ーー教育に関してもivote関西さんでは何か活動をされているのですか?

ivote関西では、来年の4月以降に京都市内の中学・高校の5~10校くらいで授業をもらって、「議論」と「投票」という授業を1コマずつやります。たとえば、各班で国を作ってもらって、自分たちの国で大事にすることを3つ決めてもらい、最後にクラス全体で住みたい国を決める、という授業で、本当に投票してもらいます。 高校生は中学生に比べて考える力があるので、国政選挙がある時に同じ選挙を学校で行いたいと考えています。。投票日に登校して投票箱に票を入れてもらい、模擬投票をします。高校での選出者は世論と同じなのか違うのかを図るという取り組みですね。アメリカはそれを大統領選挙の時に行っているんですよね。高校を卒業してからは有権者になるので、それの準備段階として、そういったことが学校で行われています。日本でもそういった取り組みを取り入れられるようにしていきたいです。

日本の未来を変える

10752464_839646826086521_1495276378_oーーivote関西さんの活動で成果というのは出ているのでしょうか?

まだ活動を始めて半年なので、目に見える成果というのは今のところないんですね。2015年4月に統一地方選挙があるので、そこで結果を出したいと思っています。まず目指すのは京都の若者の投票率を上げることです。1年間僕らが必死に活動して京都という街を変えられなかったら、一生日本なんて変えられないと思うので、今はとりあえず一生懸命やるという気持ちでいます。今までは草の根の活動だったんですけど、ここからが勝負ですし、本気で京都のマスに働きかけていかないといけないですね。 イベントを開いて参加者のフィードバックをもらうと、9割以上の方が「次から投票に行きます!」と言ってくれています。そういう意味では少しずつポジティブな影響は与えているとは思いますが、これは本当に一部に過ぎないですし、それだけでは人は動かないので、ここからが正念場ですね。 ただivoteという名前はかなり京都で広まっていて本当に嬉しいです。そういう面では、活動の成果というのはあるのかもしれないですね。

ーーivote関西さんのこれからのビジョンをお聞かせください。

2015年の4月の選挙で京都の若者を動かすことができると思っているので、その事実を持って、支部を作り始めます。各大学に5人以上の支部を作る予定で、現在存在する類似の団体と合併していき、どんどんivoteの拠点を作ります。3年以内にはAIESECさんと同じ規模くらいにはしていきたいと思っています。僕やivoteだけではなくて、各地で若者が声を上げて、中央集中ではなく地方でも思うように政治ができる環境を作りたいです。5年後には京都だけではなく各地で投票率を上げて、現在の若者の投票率を30%から40%,50%にしていこうと思っています。10年以内には若者の投票率は75%にしたいと思っています。 それが実現できてからは投票の数ではなく、投票の質の話をしていきます。どういう風に日本が世界のトップに立つかですね。僕は政治と思想という面で若者のリーダーになっていきたいです。ノルウェーやドイツは15年~20年をかけて、政府のバックアップや法律改正があってこそ投票率が上がりましたが、日本の場合は僕や同じ志をもった仲間が引っ張っていきます。僕は変えられると信じています。さらにそこに弁護士という立場からのアプローチをしたいと思っています。そうすることで、僕の発言も重くなりますし、弁護士にしか入れない世界もあるので、その肩書は大きな意味を成すと思っています。

この記事を書いた学生ライター

Keiji Takahashi
Keiji Takahashi
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大学一年次よりスタートアップに興味を持ちアプリ開発/ベンチャーでのインターンシップを経験。 現在、学生の視野を広げるco-mediaとインターンシップから築く新しい就職の形InfrAを運営する株式会社Traimmuの代表。 サッカー観戦とジム通いが趣味。

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