【茂木健一郎さん特別講義レポート】地方創生のカギは「地域ブランディング」にあり!

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2024年5月17日、金沢大学で開講された「ソーシャルビジネス概論」にて、脳科学者であり、多方面でご活躍なさっている茂木健一郎さんによる特別講義が開講されました。本記事では、茂木さんが語る地方創生と地域ブランディングの重要性とそのエッセンスをお届けします。


今回の特別講義の先生

茂木 健一郎さん

脳科学者。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。


レポート記者

岡田 元

ライター。金沢大学在学(休学中)。株式会社フューシャスを設立し、学生向けメディア「co-media」の運営を行っている。


地域にイベントや文化を根付かせるために

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本講義は金沢大学の自由履修科目としてオムニバス形式で開講されている「ソーシャルビジネス概論」の一環として開講されました。担当教員は私が日頃よりお世話になっている篠田隆行准教授です。

講義が始まるや否や、聴講生である私は、茂木さんの熱気と話の引き出しの多さに圧倒されました。テレビやメディアでよく見ていた方が実際目の前で喋られているというだけでも驚くべきことでしたが、講義前に気さくに話しかけてくださるフランクさにも驚きました。

本講義のテーマはソーシャルビジネスですが、脳科学者でありながら多分野で活躍されている茂木さんならではの切り口で、地方を盛り上げるにあたっての課題を明快に分析されていました。

まず、茂木さんは、本当の意味で地域に根付く”文化”を作る難しさを指摘します。


茂木さん:例えば、昨今の地方の動きを見てみると、熱心な自治体や首長さんが色々な企画を作って、有名人、タレント、スポーツ選手を呼びイベントを開催するなどという取り組みは全国で見かけます。しかし、そのイベントの瞬間だけ盛り上がり、”有名人が来て終わり”で終わってしまう、ということがよく見受けられます。一時的に爆発的な人数を呼び集めることはできても、その後持続的に”地域に根付く文化”まで昇華することは案外難しいんですよね。そこが地方創生の課題なのではないかなと思っています。


では、どのように地域に根付くものを作っていくのでしょうか。茂木さんは、「背景にあるストーリー性やテーマを重視すること」が重要だと語ります。

例として挙げられたのが、新潟県長岡市の「長岡花火」です。戦争犠牲者への追悼というストーリーが地域の人々に受け継がれ、長く続く花火大会となっています。


茂木さん:長岡花火のクライマックス、三尺玉が打ち上がる直前、どんな音が鳴ると思いますか?実は空襲警報を模したサイレンの音が鳴るんですよ。花火大会は、平和なイベントですが、花火はそもそも火薬を使うものです。兵器と同じ原理を使うものを平和的なイベントとして使用することで、地元の方々にとっては鎮魂の象徴的なイベントになっているのです。このようなストーリー性・テーマ性があるものは代々受け継がれていきます。


金沢・加賀藩の地域ブランディング

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続いて話されたのは、「地域をどうブランディングしていくのか」というテーマです。

ブランディングとは、モノやヒトの独自性を認識させるアプローチです。例えば、自己ブランディングでは、一言で「私はこういう人です」と表現できることも一つだと茂木さんは言います。そんな中、茂木さん自身は、物理学者、脳科学者、タレント、学校の校長など、多岐にわたる活動をしており、一言で表現するのは難しいと語ります。


茂木さん:例えば自分のブランディング。皆さんは「あなたを一言で表現すると、どんな人ですか?」と聞かれた時にパッと答えが思いつきますか?

大抵の人はなかなか言えないと思います。

僕の場合はとてもややこしいです。元々物理学を研究していたんですが、脳科学を研究するようになり、タレントのようなこともし、はたまた通信制高校の校長もやっている。最近は、ドイツで僕の書いた本がベストセラーになったりと、何をしているのか一言では表せないんですよ。

しかし、そういう時にヒントになるのが、人からどういう評価を受けているかということです。僕の場合、ありがたいことに「茂木さんと一緒にいたら元気になる」といった嬉しいことを言っていただけることが多いです。一方で「落ち着きがない」と言われてしまうことも多いですけどね(笑)。そうやって人からの評価を聞くことで、「もっと人を元気にさせるように振る舞おう」という風にして、ポジティブにブランディングを強化していくことができるわけです。


地域ブランディングにおいても、「この地域を一言で表現すると〇〇」というイメージが定着していることが重要だそうです。

例えば、金沢には「食」や「伝統工芸」のイメージがあります。特に、九谷焼は金沢を代表する伝統工芸品として知られています。

その中で、金沢・加賀地域の代表的な伝統工芸である九谷焼のブランディングについて、興味深いエピソードをシェアしていただきました。


茂木さん:金沢、加賀のブランディングという面で言うと、面白いエピソードが一つあります。皆さん九谷焼って知っていますか?もちろんこの講義を聞いている金沢大学の学生さんならご存知かと思いますが、江戸時代、加賀藩の時代から続く伝統工芸です。お土産などとしても非常にポピュラーで、「金沢の伝統工芸といえば九谷焼」と言えるほど有名なものです。しかし、実はこの”九谷焼ブランド”についてはさまざまな学説があり、古九谷と呼ばれる初期のものは九州の有田で生産されたものではないかという説もあります。私は専門家ではないので真偽のほどは分かりません。しかし、その説が本当だとしたら、今でいうOEM生産、もしくはプライベートブランドのモデルになりますよね。このように、生産のリソースが少なかったとしても、エンドユーザーに届ける時のブランディングさえ成功すれば、地域経済を飛躍させられる可能性を秘めているということです。


この話については金沢在住である私も知らなかったエピソードなので、新たな観点を得られました。地域ブランディングの視点からは、(真偽のほどは置いておいても)OEM生産などのモデルを活用して、生産のリソースが少なくても、ブランディングを成功させることで地域経済を活性化できる可能性があるということです。もちろん現在の九谷焼は金沢市や能美市など石川県で生産されたものとなっています。


まとめ・茂木さんからのメッセージ

茂木さんは、地域ブランディングの重要性を強調し、地域が持つ資源やストーリーを最大限に活用することで、地域経済の活性化や持続可能な発展につながると語りました。

今回の講義は、地域に根ざした社会起業やプロジェクトを志す学生たちにとって、ブランディングの可能性を再認識する貴重な機会となりました。茂木さんのメッセージは、地方創生に取り組む人々にとっても、大きなヒントになるのではないでしょうか。


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↑ 講義終了後に写真を撮っていただきました!茂木さん(右)、佐賀新聞メディアホールディングス取締役 橋詰空さん(左) と 私(中央)

本記事作成のサポートをしていただいた、「ソーシャルビジネス概論」担当教員であり、金沢大学先端科学・社会共創推進機構の篠田隆行准教授に感謝申し上げます。


公開日:2024-06-10


この記事を書いた学生ライター

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