【ミュージアムのプロ】「学芸員」って何をする人?

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 みなさんは、「学芸員(curator)」という仕事について何かイメージがありますか?「学」「芸」って言うから学問とか芸術とかに関わる人でしょうか?概ね正解です。でも彼らはどこで働く人なのでしょうか?芸術ということは、アトリエとか?惜しいです。アトリエで完成した芸術はどこに流れ着くのでしょうか。そう、ミュージアムです。つまり学芸員は、ミュージアムを主戦場とする人たちのことです。

 では、学芸員に会ったことのある人はどのくらいいるでしょうか?え、博物館でチケット売っていたり展示のそばに座っている人じゃないの?と思われるかもしれません。...まったく違います。実は学芸員のフィールドはほとんどが裏方なのです。彼らは館のバックヤードで暗躍しているか、あるいはふつうのお客さんに擬態して展示室を巡っています(忍者みたいに)。ですから普段ミュージアムに行って、学芸員に気づくということはまずありません。

 ですがそれゆえに「学芸員って何してる人...?」というイメージが湧くこともよくあります。みなさんの中でもの方も多いかなと思います。今回はよくある誤解、「学芸員って芸術家のトモダチみたいなもの?」からスタートして、学芸員の仕事に触れようと思います。


この記事を書いた人

成川航斗(ライター)

北海道大学2年生。人類学を専攻しており、アイヌ・民俗風習・博物館などについて研究している。


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1.学芸員=芸術家???

 「学芸員なんかになっても食っていけない」という話を時々耳にします。これは学芸員が「芸術家」と混同されていることで起きている誤解です。実は学芸員は公務員と同じイメージで捉えると良いので他の職種と比べても安定しているのですが、どうしてこういった誤解が湧いてくるのでしょうか。(もちろんひとくちに芸術家と言ってもいろいろですが、「芸術家なんかになっても食っていけない」という言い方と似た感じです。)

 さて、こうした誤解の一因として挙げられるのは、実際の学芸員を知らないことです。さきほども述べた通り生身の学芸員と会ったことのある人も、そこで実務について聞いたことのある人もそれほど多くはありません。またミュージアムを頻繁に訪れる人もそれほど多いわけではないので、つい勘違いをしてしまう人が多くなってしまうのです。

 続いては、そうした学芸員を「知らない」という状況から一歩踏み出すために、彼らのしている仕事のナカミを考えていきます。


2.学芸員の業務

 一度辞書に立ち返ってみましょう。学芸員とは、「博物館などで、資料の収集・保管・調査研究などにたずさわる専門職員」(小学館 デジタル大辞泉)のことです。

 ...まだイメージが湧きづらいですね。資料の収集・保管?調査研究?結局何やってるの?となるので、辞書の説明に沿いつつ具体的に考えてみます。

 まず、資料の収集や保管に注目します。例えば「松尾大社まつのおたいしゃ展 みやこの西の守護神まもりがみ - 京都府京都文化博物館 (bunpaku.or.jp)」という企画を考えてみましょう。京都文化博物館は京都市中京区にあるミュージアムですが、ここでは年に何度も特別展が催されています。今回の企画は松尾大社という京都市西京区にある神社にフォーカスしたもので、この神社に関する文献史料や彫像が展示されています。

 しかし、そうした資料の数々がはじめから館にあるわけがありません。無論ほとんどのミュージアムは収蔵庫を持っていてそこに資料が保存されているのですが、そのコレクションだけでは不十分なので、他の館や寺社から借りたり、買ったりするのが普通です。こうした手続きの際に発揮されるのが学芸員の底力です。いかにスムーズに、壊さずに、魅力的に配置するのか。これこそがミュージアムのプロ、学芸員の腕の見せ所です。

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↑この「松尾大社蔵」「佛教大学附属図書館蔵」は借りもの(パンフレットより抜粋)


 続いて調査研究に目を向けると、これは公的機関や研究者相手の仕事になります。当然ながらミュージアムを訪れるのは一般のお客さんだけではありません。資料の専門的な分析を行う業者や学者が来館することも間々あります。そういったときどこにどんな資料が置かれているのか、いつどこで誰が収集したのか、といったことがバラバラではせっかくの収蔵品の持ち腐れです。

 したがって、資料をすぐに使える状態にメンテナンスしておくのも大事です。学芸員はここでも一役買っています。また、実は学芸員自身も資料の研究をおこなったりするため、そのためにも丁寧な管理をするのが重要なのです。


3.必要な資格

 「でも、学芸員になるためには資格が要るんでしょう?」と思われる方もいるかもしれません。

 その通りです。名前の通り、学芸員資格なるものが無ければ学芸員にはなれません。では、どうすれば資格が手に入るのでしょう。実のところ大学の学部レベルで取得できるのは学芸員補の資格なのですが、このあたりの解説は泥沼なので詳しくは文化庁の説明に託します(学芸員になるには | 文化庁 (bunka.go.jp))。

 ただ、いずれにせよ学芸員への第一歩として単位取得が肝要なので文化庁が示す科目の表を載せておきます。ちなみに、1科目あたりおよそ15回の授業で単位をもらえます(実習はその限りではありませんが)。

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(博物館に関する科目について | 文化庁 (bunka.go.jp)より)

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shinko/about/gakugeiin/1409686.html


 もちろん資格を取得したからといって即座に学芸員として雇われるというわけではありませんが、学芸員資格を取得する過程はそのままミュージアムを楽しむコツを知ることにつながっています。ですから大学でこれらの授業が開講しているなら、試しに興味があるものから受けてみることをオススメいたします(私の所感では博物館情報・メディア論、博物館教育論などは他分野の視点も含まれるので興味を持ちやすいと思います)!

 

 次回は私の実体験をふまえ、ミュージアムを巡ったときに学芸員資格の授業が活きてる場面!みたいなものをまとめてみようかと思います。国内外のオススメミュージアムを紹介するので、またのぞいてみてくださいね。

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公開日:2024-06-02

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