こんにちは。co-mediaライターの戸名康平です。
今回は、株式会社日立製作所(以下日立製作所と日立は同じ意味で使います。)と東京都の地方公共団体である八王子市と府中市が協力して取り組んでいるチームについて紹介したいと思います。
日立といえば、「Inspire the Next」のコマーシャルでお馴染みの家電屋さんというイメージが強いですよね。そんな日立は私たちの生活を直接支えてくれているだけでなく、公の団体とタイアップして政策を支援することにより、間接的にも支えてくれているということをご存知でしたか?今回インタビューしたのは、まさに公の団体との協創によりビジネスプラットフォームを創成し、介護予防施策の向上に努めているチームです。
今回、記事の作成にあたって、現在日立と協力して介護予防施策を行っている八王子市の辻さんにもお話を聞くことができました。
「現在の日本の介護予防政策は”焼け石に水”となってしまっているケースが多くあります。多くの地方公共団体はそれを見て見ぬふりをしていますが、どうにかしてそこから脱却したい、という思いがありました。」
この言葉が特に印象的でした。確かに国や地方公共団体は多くの介護予防施策をうっていますが、増え続ける高齢者に対応しきれていないのが現状です。辻さんも、市内に15万人もいる高齢者に対して、自分が10人、100人を対象にした体操教室をいくらやってもどうにもならないと感じていたそうです。
そこで、多くのデータを分析の実績がある日立と協力して進めて、脱「焼け石に水」をはかったそうです。健康保険などのデータを利用して、必要な人に必要なサービスを、より広く、より適切に提供する政策が実現されそうです。(この政策の魅力について語りきると日が暮れてしまうので、詳しくは以下の日立や八王子市のサイトをご参照ください。)
日立製作所ニュースリリース「成果連動型介護予防事業を駆動するEBPMビジネスプラットフォームの創成に向け『東京都次世代ウェルネスソリューション構築支援事業』に参画」
ここからは、八王子市や府中市と協力している日立製作所のチームの石井さんと小城さんについて、どうして日立に入ったのか、という観点から紹介していこうと思います。皆さんの進路を考える上でも参考になるポイントがたくさんあるはずなので、ぜひ参考にしてみてください。
日立製作所の研究者としてデータ分析などを担当されている石井さんは、学生時代に都市と犯罪の関係について分析していました。しかし、機微な情報を含む行政データを一人で管理・分析することには壁がありました。そこで独自の技術に強みを持ち、行政と深いパートナーシップを構築している日立に入社することで、自身のスキルを社会課題の解決に活かしつつ、新しい知見・学びの発見につながるのではないかと考えた、とのことです。
今回の政策の目玉である健康保険データの活用において、絶対に避けなければならないのが、個人情報の漏洩です。そこで、個人情報の機密性・暗号化を強みとする日立の技術を社会実装する分野でご活躍されている小城さんについてもご紹介したいと思います。
大学時代に情報系を専攻していた小城さんは、日立においてもその経験を生かしています。
国民保険などの個人情報を使う際に、個人特定情報を暗号化した上で、その他の個人情報と分離し、暗号化したまま検索できるという、日立独自の技術を利用して、個人情報の保護とデータの利活用の両立に努めています。
お二人とも大学生からの活動や夢の延長線上として今の仕事を選ばれていました。
最後に今回インタビューさせていただいた3人の方から、これから進学や就職などを控えている人にアドバイスをもらいました。3人とも、学生のうちに多くの経験をした方が良いという意見でした。特に石井さんと小城さんは、大学生時代の体験がもとで日立に入社しています。
八王子市の辻さんは、東京大学の法学部を卒業した後に八王子市に就職しました。どうして、東大からの「王道」とも言える官僚や弁護士にならなかったのでしょうか。自分の進路選択について、辻さんは、根性論が嫌いで、長く働きたくない、自分のやったことと結果のつながりを知れることをしたい、という自分の特性から市役所を選んだと話してくださいました。
「誰よりも長く付き合う人間は自分自身。自分にとって正しい・カッコいいと思えることを大切にしてほしい」
今回は、大学生からの夢の実現の最中にいる日立製作所の皆さんと、八王子市の方にお話を伺いました。他人の軸にとらわれずに自分の好きなこと、やりたいことを続けて進路選択にも活用する、そんな選択肢があるということを皆さんに知っていただけたら幸いです。
公開日:2023-12-18