こんにちは!co-media編集部のユッキーです。私は大学入学と同時に茶道を学び始め、稽古の中で「守・破・離」という考え方に触れました。今回の記事ではこの「守・破・離」という考え方について紹介していきたいと思います。ビジネスなど幅広い分野で使える考え方なので、ぜひこの記事を読んで身につけてみてください。
「守・破・離」とは、茶道や武道の修行のプロセスを3つの段階に分けて表したものです。3つの文字それぞれは、各段階において修行者が取るべき姿勢を表しています。
① 守:師匠に言われたことや、流儀・型を『守る』こと。
② 破:師匠の流儀を極めた後に、他流も研究すること。その型を自分と照らし合わせ、自分に合ったより良いと思われる型をつくることにより、既存の型を『破る』こと。
③ 離:自己の研究の集大成として、独自の境地を拓いて一流を編み出すこと。師匠の型、そして自分自身が創り出した型の両方に精通した人は、自分自身と技についてよく理解している。つまり、既存の型から『離れ』、自在となること。
まとめると「守・破・離」とは、人がある道を学び、独自の型を確立していく際に手本とすべき道筋ということです。もとは千利休の教えをまとめた『利休道歌』にある、「規矩作法 守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」を引用したものとされています。
それでは、具体例として茶道に当てはめた場合を見ていきましょう。
① 守:茶道のお点前、礼儀、精神について、先生から学ぶ段階です。茶道のお点前には一連の型があります。弟子は練習の際、先生から何度も指導をされる中でまずは一通りお点前ができるようになります。ここではまだ先生から言われたことにしたがって技術を磨いていくという段階です。ここを乗り越えて初めて次の「破」に進むことができます。
② 破:「守」では先生から教えられたことをそのまま取り入れ、技術を磨いていきました。「破」とは、簡潔に言うと「なぜその動きをするのか」を考えながらお点前をする段階です。「どうしてこの時のお茶碗は左手で取るのだろう」や「なぜ柄杓の構え方に決まりがあるのだろう」など、様々なことに対して疑問を持つことから始まります。茶道では可能な限り流れるようにお点前を進めていきます。一つ一つの動作の意味を考えて自分の答えを持ち、改めて先生のお点前を見たり言われたことを考え直してみたりすると、様々なことに納得できるはずです。これを積み重ねていって初めて、真の意味でお点前を習得したといえるでしょう。
③ 離:「離」は先生の下から離れ、自身が会得したものを次世代に伝えていく段階です。先生から受け継いだもの、そして自分自身で作り上げたものを組み合わせた新たな型を編み出し後世へと伝えることで、更なる研鑽を積むとともに、また新たな一流が生み出されるきっかけとなるのです。ここが茶道という道の、1つの終着点と捉えて問題ないかと思います。
ここまで「守・破・離」は修行の各段階を表す、ということをお伝えしてきました。そしてこれは茶道や武道など様々な「道」と名の付くものに限らず、仕事・ビジネスにも応用できます。
① 守:自分のできることを学び、1つずつ増やしていく。
仕事において、まず上司や先輩から仕事を教えてもらい、一通りの業務を遂行できるようにする段階です。元から用意されている業務マニュアルや営業スクリプトを使いこなすことで、その会社で受け継がれてきたノウハウを会得することができます。
② 破:指導されるだけでなく、自分で考えて行動する。最も成長を感じられる。
前述した「守」の段階を経た後は、「破」の段階、つまり自分で考えて行動することが重要になってきます。この会社の中で自分の仕事はどのような役割を持っているのか、またさらに効率的にできる方法はないのかを考えることで、自分なりの仕事のスタイルを確立する準備が整います。
③ 離:上司、先輩の下を離れ、自分で新しいものを作り上げる。
最後は「離」です。既存のスタイルに捉われず独自の手法を確立することで、この段階を達成することができます。また、新しく入ってきた後輩たちに自分の積み上げてきたことを伝えることも、後輩たちに「守」を達成させることにつながると言えます。
ここまで読んでくださった方々はもうお気づきかもしれませんが、守・破・離の考え方は様々なことに応用できます(学業や研究、習い事など)。インターネットで検索してみると、何かしらの成功を納めている人々の多くが、自分なりの守・破・離を作り出して生き方に取り入れていることが分かるかと思います。
皆さんの身近にも守・破・離が使える場面がたくさんあるはずなので、ぜひ新たな視点で世界を見渡してみてください。もしかすると今まで気づかなかったところに成長の機会が眠っているかもしれません。
(編集:岡田元・高橋利幸)
公開日:2023-11-21