こんにちは。お茶の水女子大学4年生の塩満理恵です。
私は大学2年生の時に休学をし、2021年10月から約半年間、UAE(アラブ首長国連邦)で開催された「ドバイ国際博覧会」での就業を経験しました。
この記事では、ドバイ万博の日本館アテンダントとして働いた経験についてご紹介いたします。
↑ドバイ万博の日本館の外観:アラベスクと麻の葉文様を組み合わせ、アラブ文化と日本文化の融合を表現
万博(万国博覧会)とは、世界各国が参加し、最新技術や芸術品などを展示公開する国際的な博覧会のことです。
ドバイ万博は、中東、アフリカ、南アジア地域で開催された初の万博であり、万博史上最多である192の国と地域が参加しました。
日本館のテーマは「Where ideas meet - アイディアの出会い」で、最先端のテクノロジーと古き良き日本の文化を融合させた展示が人気を集め、世界各地から多くのお客様をお迎えすることができました。
私が大学に入学した2020年は、新型コロナウィルスの感染拡大によりさまざまな活動が大きな影響を受けた1年でした。
大学の授業や所属していた学生団体の活動はすべてオンライン、サークル活動もほとんど実施されませんでした。「このままオンラインで大学に通い続ける意味はあるのだろうか」と自問自答する日々が続く中、偶然見つけたのがドバイ万博の求人でした。
コロナ禍で元々行きたかった海外留学も諦めざるを得ないと覚悟していた中、目の前に飛び込んできた海外に長期滞在できるチャンス。
アラビア語を話せるわけでもないし、前職での経験もないただの学生だけど、出してみないことには可能性すらないからとダメ元で応募書類を提出し、数々の選考ステップを経て、無事にドバイ行きが決まりました。
「休学をしてしまったら履修していた教職は辞めないといけないのかな?」
「募集があれば応募するつもりだった交換留学には行けなくなる?休学中には応募できないよな…」等々不安はたくさんありましたが、一旦何も考えず思い切って休学手続きを済ませた記憶があります。
↑家族が日本館に遊びに来てくれた時に姉と
日本館アテンダントとしての主要な業務は、日本館にいらっしゃったVIPを含むお客様の接遇、万博で開催されるイベントへの参加などでした。
日本のナショナルデーである「ジャパンデー」には、日本館アテンダントたちが2025年大阪・関西万博をPRする横断幕を持って万博会場内を行進する催しもありました。
日本館は万博屈指の人気パビリオンで、休日には3時間半待ちになることも。
「せっかく遠くから足を運んだのに、お目当ての日本館に入れないなんて…」と悲しむお客様もいるほどでした。
私が特に楽しんでいたのは「Japanese Culture(通称ジャパカル)」という業務です。
ジャパカルは、ツアーを担当しないアテンダントが待ち列に出て日本文化を紹介する業務で、外国人のお客様に折り鶴をプレゼントしたり、日本についてのクイズ大会をしたりしました。
お客様に折り鶴を渡したときに笑顔になってくれたり、「日本が大好き!Arigato!」「いつか日本に行きたい!」と言ってもらえたりしたことがとても心に残っています。
↑ジャパカルでの一枚
日本館で働けて良かったことの一つは、仕事の合間に世界最大規模のドバイ万博を回ることができた点です。
先述したように、ドバイ万博には世界192の国と地域が参加していました。
アメリカ館やUAE館のような規模の大きいパビリオンから、アンティグア・バーブーダ館といった小規模なパビリオンまで、世界中の国々や地域が工夫を凝らした展示を見て回り、それぞれのパビリオンで友人を作ることができたのは、とても貴重な経験になりました。
↑10回程度通ったお気に入りのフランス館(クロワッサンが絶品)
また、ドバイ万博では「Expo Passport」というパスポートを模したスタンプラリー帳が販売されていました。
私は各パビリオンを回りながらスタンプを集め、なんと192個分のスタンプラリーを達成することができました!
(左上)イギリス館でできた友人と、イギリスのナショナルデーに参加
(右上)ミャンマー館でできた友人 「日本はミャンマーが苦しい時に助けてくれた。恩返しがしたい」と話してくれた
(左下)ヨルダン館でできた友人 「いつかヨルダンに遊びに来てね!」と言ってくれた
(右下)ホンジュラス館にて、メッセージを書いてくれている友人
① 生活力がなさすぎた
個人的な話にはなってしまいますが、親元を離れて(ルームメイトがいたとはいえ)ほぼ一人暮らしをするのは初めての経験でした。
後述するとにかく一年中暖かい気候も相まって、食糧を腐らせてしまったり、家中に虫が湧いてしまったりしたときは、自らの生活力のなさに落ち込みました。
② 想像以上の暑さ
ドバイはとにかく暑いです。
私が滞在していたのは、9月から4月と比較的暑さが和らいだ時期だったのですが、それでも数分間外を歩くだけで汗でびっしょりになりました。
日本館の仕事では、待ち列対応などで外にいることも多かったため、熱中症で倒れてしまい病院に搬送されたこともありました…。
③ アラブ文化圏への理解が不十分だった
働く場所で選んだのではなく、万博で働けることに魅力を感じて求人に応募をしたため、ドバイやUAEについての事前知識がほぼゼロでした。
内定が決まってからドバイについて調べ始めたのですが、イスラームやアラブ文化圏についての理解がもう少し深まってから行けば現地での生活や旅行も楽しめたのでは、と思います。
↑ドバイといえば!なパーム・ジュメイラの眺め
ドバイ万博日本館で働いた半年間は、どの瞬間を切り取っても充実したものでした。
日本にいたら出会えなかった人との出会いにも恵まれ、また見るもの聞くものすべてが未知のものという刺激的な環境に囲まれ、人として一回りも二回りも成長できたと思います。
正直、大学入学以前の私にとっては「休学をして海外、しかも中東で働く」という選択肢は考えられないものでしたが、紆余曲折あったとはいえ、行ってみたら結局何とかなりました。
この記事を「思いきって海外に飛び出してみたいけど勇気がない」という方に届けることができれば幸いです。
ドバイの次の万博は、なんと2025年に日本・大阪で開催されます!
ドバイ万博のような感動を日本でも味わえる機会になるはずなので、時間があればぜひ足を運んでみてください。
最後になりましたが、拙い文章をここまで読んでいただきありがとうございました。
↑次は2025年大阪・関西万博!今から楽しみですね!
↑ドバイ万博日本館の同僚たちと
(文責:塩満理恵)
公開日:2023-11-06