成功には「テクニック」よりも「人格」。『7つの習慣』とは
突然ですが、このような経験はないでしょうか。
● モチベーションを保つために様々なテクニックを試してみたが、全く続かない。
● 仕事をやらなければならないのに、誘惑に負けて後から自己嫌悪に陥ってしまう。
現代の高度情報社会で、私たちが直面する課題や困難は日々増加しています。特に学生や若手社会人は、未来のキャリアや人生の方向性を模索する中で、多くのプレッシャーや迷いを感じることが多いでしょう。そんな中、スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』は、私たちが持つべき習慣や考え方を示してくれる指南書として、多くの人々に愛されています。この記事では、特に中高生や大学生の皆さんに向けて、この名著の中から学び取るべきポイントや、日常生活にどのように取り入れることができるのかを解説していきます。現代人が直面する課題を乗り越え、より良い未来を築くためのヒントが詰まっています。ぜひ、最後までお読みください。
https://www.amazon.co.jp/完訳-7つの習慣-人格主義の回復-スティーブン・R・コヴィー/dp/4863940246
ダース・ディベーター(編集部・ライター) Twitter
ミネルバ大学特別聴講生。高校時代は英語ディベートの全国大会に出場するなど。趣味はサッカー。
第1の習慣:スタート「主体性を持つ」 〜Be Proactive〜
── スティーブン・R・コヴィー 著『 7つの習慣 』(キング・ベアー出版, 1997年)p.104,105より作成
我々が何かに対する不満を漏らした瞬間、コヴィー氏によればそれは「主体的ではない」と評されます。「主体的である」ということは、全ての事象を自分の責任であると感じることを指します。我々の多くは、何かが起こるたびにそれに反応する傾向があります。しかし、私たちが傷つくのは、自らが傷つくという選択をした結果であり、外部の事象に起因するものではありません。したがって、できることに焦点を当てることが重要であるとコヴィー氏は指摘しています。
つまり、意識を変えることが重要です。
例えば、提出期限が明日に迫っている課題があるとしましょう。そのときに、「多すぎる!」や「あのときやっておけばよかった」などといつまでも嘆くのではなく、これから「どのように効率的にできるのだろうか」や「自分はこの課題から何を得たいのか」という今の時点における自分の影響の中にあることにエネルギーを注いだ方が効果的です。
現状に疑問を呈することも重要ですが、それが自分の影響力の範疇にないとき、特に学校のシステムの中で生きる学生にとっては、自分の思考や感情に責任を持つということが大切です。
情報が飽和しているこの時代においては、この意識一つで疲労度が一気に少なくなります。さらに、失敗したとき、いつまでも後悔するのではなく、それをもとにこれからどうするのか意識を向けましょう。
「主体性を持つ」ことはこれから紹介する他の習慣のスタート地点となっています。
第2の習慣:ゴール「終わりを思い描く」~Begin With the End in Mind~
突然ですが、ある晴れた日に葬式が執り行われているのを想像してください。見渡すと、あなたの家族、親戚、友人、職場の同僚、サークルでの知人などが参列しています。そう、これはあなた自身の葬儀です。彼らはあなたに別れを告げるために参列しています。まさに今、弔辞の文言が読み上げられようとしています。
このようにして本書の第2の章が始まります。
ここで深く考えてみてほしい。これらの人たちに、あなた自身あるいはあなたの人生をどのように語ってほしいだろうか。彼らの言葉で、あなたがどういう夫、妻、父、母だったと述べてほしいだろうか。彼らにとって、あなたはどのような息子、娘、あるいはいとこだったのか、どのような友人だったのか、どのような同僚だったのか。
あなたは、彼らに自分がどのような人物だったのかを見てほしかったのか。どういう貢献や功績を憶えておいてほしいのか。その場に集まっている人たちの顔をよく見てもらいたい。彼らの人生に、あなたはどのような影響を及ぼしたかったのだろうか。
── スティーブン・R・コヴィー 著『 7つの習慣 』(キング・ベアー出版, 1997年)p.125より
人は皆いつか人生の幕を閉じます。人生を「逆算」することで自分の価値観を明確にし、「今を生きる」のがポイントです。
さらにコヴィー氏は、自分の人生におけ終着点をイメージしたら、それを踏まえて、ミッション・ステートメント(個人憲法)を書くと良いとしています。これはあなたの行動の原則となるようなもので、数カ月間これを練りに練る必要があります。
ミッション・ステートメントは自分の役割を考えることから始めます。一例として自分の役割を「家族の一員、友人、学習者、社会の一員、変化を作り出す人」というふうに列挙し、その役割としての自分の責務を行動の原則にすることができます。
第2の習慣「終わりを思い描く」ことは、すべての行動の判断基準となり、最も重要な習慣と言っても良いでしょう。
第3の習慣:方法「大切なことを優先する」 ~Put First Things First~
── スティーブン・R・コヴィー 著『 7つの習慣 』(キング・ベアー出版, 1997年)p.215より作成
上の表において、我々の最優先事項は第二領域です。第二領域を増やすために第三、第四領域を減らすようにします。それらの減らし方としては、自分のミッション・ステートメント(個人憲法)の行動の原則を思い出します。
例えば、勉強をしなければならないのにSNSを開いてしまうとき、行動の原則に帰り、「学習者として学ぶのを惜しまない」、「家族に恩返しするために勉強しよう」などと、自分の行動を軌道修正することもできます。
モチベーションを保つための小手先のテクニックを模索する前に、自分の人生における価値観を明確にし意識するのが先です。すると自然に第三、第四領域に「NO」と言えるようになるのです。
第4、第5、第6の習慣:公的成功
● 第4の習慣:Win-Winを目指す
● 第5の習慣:まず理解し、理解される
● 第6の習慣:シナジー(相乗効果)を生み出す
第4〜6の習慣は公的成功という括りでまとめます。
第1〜3の習慣では、そのためにまず自分が成功する秘訣について語っていました。しかし『7つの習慣』では、本当の成功とは個人の成功ではなく、周囲を巻き込んで成功することだとしています。これまで説明してきた習慣は、公的成功の前段階となるものです。
学生における協力関係はプロジェクト、グループワークなどにとどまらず、教師、友人、家族などにも及びます。ライバルと競い合うことも重要ですが、常にWin-Winの関係を目指し、それが実現できないのならば関係を見直すべきです。大学に合格したら合格体験記を書いたり、成功を収めたら講演会を開いたりするのもよいでしょう。
もう一度、第2の習慣で考えた他の人に言われたい弔事の文章を思い返してみてください。その人たちにどう思われたいか考えることによって、人間関係も理想に近づきます。
第7の習慣:改善・上達「刃を研ぐ」~Sharpen the Saw~
第7の習慣「刃を研ぐ」は、肉体、精神、知性、社会性、情緒の5つの側面を鍛えることを中心に据えています。運動や瞑想、読書、コミュニケーションを通じて、個人の価値を向上させることが強調されています。
これはGrowth Mindsetに通じる部分もあり、常に成長の意識を持つことが重要です。例として、学習中に定期的に休憩を取るとき、進捗を記録し、学習サイクルの改善点を考察することを繰り返すことで、学習の効率を最大化することが可能となります。自己の成長を継続的に追求し、成長を実感することでモチベーションの維持も可能となります。
我々は日々のタスクをこなすのに手一杯になってしまいがちですが、一歩下がって自分を見つめ直し、洗練させることも重要です。
最後に
以上が、『7つの習慣』という本の簡単な説明です。この本を読むことで、私たちは日常の中での挑戦や困難を乗り越える力を身につけることができます。特に未来に無限の可能性がある学生や若者の皆さんは、これからの人生の方向性を定める大切な時期において、この書籍から得られる知識や洞察は計り知れない価値があります。しかし、ただ読むだけではなく、日常生活の中で実践し、継続的に自己成長を追求することが大切です。
この記事を読んで、一人でも多くの人が「7つの習慣」を自らの生活に取り入れ、より充実した生活を送る手助けとなれば幸いです。未来はあなたが作るものです。この機会に自分の人生の主役として考えてみてはいかがでしょうか。
公開日:2023-09-18