右から、ゆきのん、初葉、朝比奈ひかり、aine、さえぴょん、いしいれお
neorareに所属するメンバーはそれぞれ、過去に大学生向け・高校生向けにイベントを開催した経験があったり、企業のSNS運用を手がけていたり、若者の心理を熟知する、いわば“プロ学生”です。
彼女たちはイベントの最初に、私たちにとあるクイズを出題。「2019年上半期のワカモノトレンド、ちゃんと理解できていますか?」——ここでは、特に若者の間で盛り上がった「Snapchat」と「恋愛免許証」についての解説をレポートします。
テストには、ワカモノの心を掴んだトレンドアイテム(人物)の写真。たしかに見たことがある気がするけど、名前まで思い出せない…。しかしneorareのメンバー曰く、「簡単ですよ」。
aine:「顔を変えられる」は、数年前からのトレンドです。トレンドの火付け役はSnapchatでしたが、Instagramでも利用できるようになり、複数のSNSで見かけるようになりました。
ではなぜ、Snapchatの人気が再燃したのでしょうか?その理由は、Snapchatが「自分の写真を載せる言い訳をつくったから」です。
「幼少期の可愛い写真を見てほしい」という欲求を持っている人は多いのですが、写真を載せると「勘違いしている」などと叩かれてしまうケースもある。
でも赤ちゃんになれるフィルターを利用した上で、幼少期の写真を載せるのなら、トレンドなので誰も文句を言わないんです。私たちの心を掴んだサービスだったと思います。
ちなみに、たくさんの人がフィルターを利用していましたが、アップするSNSによってトレンドが違うことにも気がつきました。
Snapchatには「赤ちゃんになった写真」がたくさんアップされていましたが、Twitterにアップされた写真は「おじさんになった写真」が多かったのです。
若い世代にとって、Twitterに写真をアップするのはハードルが高い。でも24時間で写真が消えるSnapchatなら、気軽に写真を載せれる。そんな意識の違いが明確になっていましたね。
続いて、若者の間で爆発的に流行った「恋愛免許証」について。「ティーンの心理をがっちり掴んだサービス」だそうですが、なぜ流行ったのか、ちゃんと把握できていますか…?
ゆきのん:いくつかの質問に答えることで、自分の恋愛性質が記載された“免許証”を発行してくれる「恋愛免許証」も、ワカモノの間でとても流行ったサービスです。
恋愛性質が実際に当たっているかは分かりませんが、恋愛における“推しポイント”を他者が評価してくれる。つまり、自慢していると思われずに、自分のいいところを友だちにシェアできるんです。
普段は自分語りをしない“シャイ男子”もSNSにアップしていたことから、「自分を見てほしい」という人間の根本的な欲求をうまく利用したサービスだったと思います。
特にInstagramでは「当たってる or 当たってない」のコミュニケーションが活発に生まれていました。「ストーリーズ見たよ」の会話は、若い世代のコミュニケーションを象徴しています。写真をアップするだけで会話が生まれる、新しいトレンドです。
参加者のうち、クイズに全問正解できたのは「0名」でした。若者のトレンドは移り変わりが早く、私たちが知らない間に次々と変化していくことを痛感する時間となりました…。
参加者の「若者理解」の無さが露呈したところで、イベントは後半戦へ。「ワカモノトレンド分析」と題して、若者の消費行動を女子大生目線で分析し、徹底解説するトークセッションが開催されました。
まず最初にテーマに上がったのが「憧れ消費」について。若者(特に女子大生)の消費行動が年々変化していることに、皆さんはお気づきでしょうか…?
初葉:私たちが中学生のときは、桐谷美玲さんやローラさんといったモデルが憧れの的でした。
しかしトレンドは移ろい、次は読者モデルが、その次はInstagramerと、憧れの対象が変化しています。——つまり、「憧れが身近になった」ということです。
たとえば、アパレルショップ『WEGO』のモデルが大好きで、原宿の店舗に出向いて写真を撮ることがトレンドになりました。身近になった憧れの人と写真を撮り、その写真をSNSにシェアすることが最大の楽しみになったんです。
憧れが身近な存在になった結果、消費行動にも変化が起きます。芸能人が出演するCMより、アパレルショップのスタッフや、ファッションが大好きな一般人をInstagrammでフォローし、彼女たちを参考にアイテムを購入するのだそう。
購買意欲の原点は雑誌やテレビから、Instagram、そしてWEAR(ファッションコーディネートアプリ)へ。スマホ一つで完結する手軽さと、「自分も真似できる」という身近な感覚が、彼女たちの消費行動を左右しているのだといいます。
初葉:今年流行ったInstagramアカウントとして、「Kastane」を紹介します。
「kastane」はアメリカンクラシックをベースとした、女性向けのアパレルブランドです。同ブランドのInstagramアカウントは特徴的で、ショップスタッフ自らがInstagramerになっています。
なぜアカウントが流行ったのかといえば、「Kastane」のアイテムだけでなく、カフェやメイク、他ブランドのアイテムも紹介しているので、信頼できるから。
また、スタッフの方に憧れを持つので、彼女の真似をしようとすると、最終的には「Kastane」にたどり着く。女子大生の心理をうまく掴んだSNS運用なのではないかと思いました。
「芸能人よりInstagramer」という話がありましたが、芸能人でも圧倒的な人気を誇っている人がいるのだとか。その人物とは、元HKT48の指原莉乃さん。手の届かない有名人なのに、身近さを感じることから、彼女に対する若者のエンゲージメントは非常に高いのだそう。「指原が使ったアイテムは売れる」と断言できるほどだそうです。
冒頭でも説明しましたが、Z世代——つまり若者世代は「世界の動向を握る世代」です。
彼・彼女たちのトレンドを知らずして、ビジネスを成功させることは難しい。そんな感想がたくさん聞こえてくるイベントとなりました。
neorareは、今後も継続してイベントを開催していく予定。次世代のトレンドを握る彼女たちの活動から、目が離せません。