現在の集団的自衛権とは

日本の安全保障政策が大きな変化を見せています。7月1日、安倍晋三内閣は憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認を閣議決定しました。中国の軍事力増強や韓国の対日強硬姿勢などアジア情勢の変化を受け、抑止力を強化する狙いのようです。
以下安倍首相発言内容
集団的自衛権が現行憲法の下で認められるのか。そうした抽象的、観念的な議論ではありません。現実に起こり得る事態において国民の命と平和な暮らしを守るため、現行憲法の下で何をなすべきかという議論であります。
例えば、海外で突然紛争が発生し、そこから逃げようとする日本人を同盟国であり、能力を有する米国が救助を輸送しているとき、日本近海において攻撃を受けるかもしれない。我が国自身への攻撃ではありません。しかし、それでも日本人の命を守るため、自衛隊が米国の船を守る。それをできるようにするのが今回の閣議決定です。
出典:内閣官房内閣広報室
行使「限定」容認
日本は従来、国連憲章第51条 に基づき集団的自衛権を保持していましたが、憲法9条 により行使を認めていませんでした。7月1日の閣議決定文では、日本と密接な関係にある国が攻撃された場合、
1)日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由と幸福の追求権が根底から覆される明白な危険がある場合、
2)日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない場合、
3)必要最小限の実力行使にとどまる場合、
――以上の3要件を満たせば、集団的自衛権は憲法上許容されるとしています。また、安倍晋三首相は会見で先制攻撃や自衛隊の海外派兵は引き続き行わないと述べており、「限定容認」という点を繰り返し強調しました。
集団的自衛権、歯止めはこれから
首相は、中国の軍事力増強や韓国の対日強硬姿勢などアジア情勢が変化する中、集団的自衛権の行使容認は抑止力強化につながると言います。しかし、閣議決定文には自衛隊の出動について「国家安全保障会議における審議等に基づき、内閣として決定を行うこととする」とあり、武力行使の範囲が政権によって拡大する恐れがあります。政府は3要件を基に関連法の整備を進めているが、具体的な歯止めはまだ見えてきていません。
この記事を書いた学生ライター
Satoshi Tazoe
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政治経済からスポーツまで、興味は幅広く。主にカメラマン、社会系のライターとして活動中です。