企業を選ぶ基準は……だ!北野唯我・寺口浩大が語る「就活の思考法」

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各界のトップランナーを招き、学生と講師がインタラクティブに意見を交わし合う実践的な授業で人気を集める法政大学キャリアデザイン学部・田中研之輔教授。大学内の学びにとどまることなく、就活や卒業後のキャリアを実践的に結ぶ教育メソッドにより、法政大学ベストティーチャー賞を受賞されています。

本記事は、田中教授が「大学の講義では教えてくれない学生にとって有益な情報」を寄稿する連載シリーズです。

第五弾の今回は、ワンキャリア執行役員 最高戦略責任者の北野唯我さんと、ワンキャリア経営企画室で採用を担当されている寺口浩大さんの豪華ダブルキャストで「大学生へのメッセージ」をお届けします。

北野さんは、発売2月で10万部を突破した『転職の思考法』(ダイヤモンド社)、発売4日で3万部を突破した『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)の著者でもあります。また、寺口さんは、「Twitter #就活をもっと自由に」をはじめとして、数々のプロジェクトに携わりムーブメントの仕掛け人としても知られています。

就活生なら誰もが一度は、ぶつかる悩みからお二人に聞いてみることにしました。


「窓から見える景色」のアナロジーで、企業を見抜く

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―― 就職活動をする上で、どのような視点で企業を選んだらいいですか?


北野唯我(以下、北野)
:まず、前提として、親御さんが働いてきた時代の背景といまの時代は同じではない。時代の背景が変わってきているということを理解して、後悔しない選択をしてほしいと思っています。

その上で最も大切なことは、これから成長していく事業を見抜くことです。とはいっても、「どうやって見抜いたらいいのですか、わかりません」というのが就活生の本音でしょうね。

そこで成長する事業・企業をどう見つけるのか。その具体的な方法を伝授します。

具体的には、前年度と比べて、売上が25〜30%以上伸びている会社かどうかを、企業を選ぶ基準にするのがオススメです。

窓から見える景色を思い浮かべてください。どのような景色でも構いません。あなたの好きな景色を思い浮かべるのです。そこから見える景色が5%変わったとします。気がつくでしょうか?


もし、木々が見えていたら、5%の変化では木の幹は変わりません。もちろん、その背景にも変化はありません。葉っぱの様子が少し変わる程度でしょう。

次に、その窓から見える景色が25〜30%変わったとします。景色のおよそ3分の1が変われば、あなただけでなく、誰もがその変化に気がつくでしょう。ここがポイントです。

25〜30%以上売上が伸びていれば、景色が変わっています。それに対して、5%程度の伸びであれば、景色はそれほど変わらない。上場企業であれば、何%の成長率であるか、ホームページのIR資料から確認することができます。ベンチャー企業であれば、社員にアポイントをとって、成長率を直接聞いてみるのもいいでしょう。

当然、前年度対比30%以上伸びている企業が、3年続けば、100%を超える数字になります。つまり、窓から見える景色は全く違うものになるのです。

時間とお金の使い方を親に教えるのが就活生の役割だ

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―― 企業を選ぶ際に、両親のアドバイスをどう受け入れたらいいですか?

寺口浩大(以下、寺口):まず、あなたの判断や意思を尊重してくれる両親であれば、問題はないですね。ただ、就活生としてのあなたのジャッジと、ご両親との判断がズレることもあります。その時に、起こるのが「親ブロック」ですね。

(* 寺口さんによる問題提起 『平成も終わる中、就活に全力で昭和のアドバイスをする親へ——勝手に内定辞退の電話をしないで【就活2019】


「そんな名前も聞いたことのないベンチャー企業なんか行くか。とにかく大企業に入れ」と、頭ごなしに否定されるケースも頻繁に起きているようです。

「親ブロック」がなぜ起きるのか。簡単に説明していきますね。まず、一番の変化は、事業サイクルのスピード感が劇的に変わっているということです。

両親の時代は、就職した企業で働き続け、同じビジネスモデルで安定的に利益を出し続けることも可能でしたが、いまは、そうはいきません。時代の変化にあわせて、適宜事業を生み出し続けない限り、マーケットで淘汰されてしまいます。

この類の話は日々メディアなどで言われていますが、親といえども、旧来型キャリア形成の環境下において実感するのは難しいです。ちゃんとマーケットの変化を自分の言葉で理解してもらう必要があります。

そうした変化の中で、これまで以上に、働く人の「キャリアのつくりかた」に注目が集まるようになっています。特に、「時間の使い方、お金の使い方」が「消費型から投資型」へと移行している事をおさえておくべきでしょう。

これからは組織や事業に自らを捧げても、かつてほどの確約されたリターンは得られません。企業は守ってくれないし、(採用メッセージに出す出さないはありますが)企業もホンネでは守らなくていい人を求めている。自らのキャリアをアセットにして、あなた自身のキャリアに対して時間を投資していく時代です。

この世の中の状況要約を、あなた自身の言葉で、丁寧にご両親に伝える必要があるのです。今、大企業か、ベンチャー企業なのか。経済がこれから安定するのか、安定しないのか。という二軸で考えるのではなく、「あなたがこれからどう働いていきたいのか。そのために、あなたのキャリアをどう形成していくのか」が大切なのです。

何度もいいますが、「時間とお金の概念が変わってきている」ということ、生存戦略として、それらとの付き合い方は消費から投資に変わってきていることを、就活生から親に伝えていくことが必要なのです。

あなたが輝ける場所や輝ける人との出会いは必ずある

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北野:新卒で大企業に入社するのも、ベンチャー企業に入社するのも、どちらも全く問題はありません。ただし、今の時代は、ずっとその企業で働き続けるということを前提にして働かないことのほうが重要です。

『転職の思考法』に書いたように、大事なのは「いつでも転職できるような自分をつくること」。結果的に転職しなくても、今の会社に居続けることへの満足度にもつながります。

この視点は、大学の学年は全く関係ありません。


仕事は、人生の中で長い付き合いになります。それなのに、大学3年生から急に、仕事について考えだす方が不思議に感じます。大学1年生から働くことについて真剣に向き合っても、何1つ悪いことはないのです。


入社した1社目で本当に幸せで、その会社で働き続ける人も確かにいます。ただ、その確率はものすごく低いと思います。例えるならば、初めて付き合った恋人と、結婚して、死ぬまで一緒の人と同じようなものです。


それぐらい自分にあった会社をたった一度きりで選ぶことは難しいことなのです。だからこそ、一回トライしてみて、最初の会社で自分は活躍できないなとか、思っていたことと違うなあと感じても、落ち込む必要は全くないのです。


もっと他に輝ける場所や、輝ける人との出会いは必ずあるのです。


あと、就活は学業にとってむしろプラスに働くことのほうが多い。実戦は理論をサポートしますし、何より、学業に集中するか、しないかは、「授業のコンテンツ」の問題であって、就活の問題以前の方がはるかに大きい。


学生のみんなは、大学の授業を的確に見抜いていますね。この講義は学びが多いのか、学びが少ないのか、もっというと、「生きた学び」か「死んだ学び」かを判断しているのです。その判断と就活は、論点の軸が違うのです。

失礼の境界線を知っているか

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寺口:今、大学生ならとにかく、「リアルの友達」を作ります。まず、100人友達をつくります。その中で「自分はこんなやつで、こんなことがしたい」と自己開示をしていると、友達が新しい友達を紹介してくれます。大学はアカデミックな知を学べる教育機関であるとともに、4年間をかけて自分がいかに限られた知識や経験に囚われ凝り固まっていたのかを知る期間だと捉えています。学生の特権をフル活用してほしいです。

最初に、自分の凝り固まりを解いてくれるのが、違う考え方を持っている友達なのだと思います。逆に「あの人とは価値観が合わない」とすぐ言う人がいますが、それは危険信号です。逆に違いの中にこそ自分を発見できる。リアルの友達を増やすことは、最初は勇気がいりますが難しいことではないと思います。

ただ、リアルの友達を増やそうとしている学生は少ない。仮想のつながりや、仲の良い気の知れた限られた友達の輪の中だけで過ごしていくのは、あまりにもったいない。一見、古めかしい考えに聞こえるかもしれませんが、実は今のフェーズではむしろ、webのつながりは当たり前、改めてリアルのつながりの価値が問われています。

友達を横に広げることができたら、次は大人と遊んでほしいです。年の離れた社会人と一緒に過ごすことで、社会人と学生は、思っているほどかわりはないんだと思えること。このことを実体験として学べることは就活の時でも武器になります。「大人慣れ」してほしいなと。


どこまでの失礼が可愛いのかを知ることができる。


可愛いと失礼の境界線を知っていると、大人になってからチャンスを早送りでゲットできたりします。

カッコいい社会人は、自らを市場に晒し続けている

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北野:自分に値札をつける経験を持つようにしましょう。市場に晒される経験といってもいいでしょう。結局、カッコイイ社会人とカッコよくない社会人の差は、自らを市場に晒し続けているかどうかに尽きます。市場に晒されている人は、カッコいい。組織の中だけに閉じこもっている人は、いずれダサくなります。生物として当然ですね。


そして、市場に晒されるということは、自分の作ったものや時間に、値札をつけることです。


大学生のうちから自分が作ったものに値段をつける。Noteに記事を書いて、有料で公開する。なんでもいいのです。


自分の力がどれだけのものかを知るキッカケになるはずです。


大学生であることは、それだけで価値です。大学生から話を聞かせてくださいと言われて、断る全良な社会人は、ほぼいません。だからこそ、自ら動き飛び込んだらいいのです。


寺口:価値の対価としてお金をもらう経験をしておかないと、お金をもらう理由が「しんどい」からとかになってしまう。アルバイトで働くことへの勘違いが生まれるのも良くないなと。仕事と労働の違いに早く気づいて欲しいと思います。


また古めかしいことを言いますが、今必要なのは、一周回って後輩力なのかも知れません。「社会人」「大学生」と分けて不要な壁をつくらずに、不器用だけどとにかく学びたいとか、とにかく行動に移すのが早いとか、イケてる社会人ほど肩書や年齢関係なく、接している気がします。そっちの世界に入ったらもう楽しくて抜けられない。最初の一歩の勇気を、出してほしいです。



北野さん、寺口さんから届けられた言葉の数々は、就活の結果にこだわるのではなく、自分自身のキャリアをみすえて、今を大切に過ごしていく栄養源になるはずです。


北野さん、寺口さん、貴重なダイヤローグをありがとうございました!

北の唯我


この記事を書いた学生ライター

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