「失敗しないことこそが、最大の失敗なんだ」—— 成功の影に潜む“潜在的失敗”の正体

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未知の体験に手を伸ばすとき、リスキーな選択肢に飛び込むとき、途方もなく遠い夢をかかげたとき。——「昨日の自分」を超える挑戦には、多くの場合「失敗」がともないます。

しかし失敗は、スキルを拡張する挑戦をした証であり、ときに成功よりもはるかに大きな学びをもたらしてくれるものです。

本連載「失敗のレジュメ」では、時代を創るアントレプレナーたちの「失敗談」をもとに、僕たちU-25世代が「本当にやりたいこと」に向かうための勇気を届けていきます。

今回編集部が注目したのは、全国から満足度の高い一流ホテル・旅館を厳選した宿泊予約サービス 「Relux」を運営する株式会社Loco Partners代表取締役社長の篠塚孝哉さん。

篠塚さんは「過去に、目に見える失敗はほとんどしたことがない。しかし、目の前の成功にとらわれ、目に見えない“潜在的失敗”をした経験がある」と話します。

稀代の経営者に、失敗の本質について語っていただきました。


「大失敗は一つもない」はずだった


—— 今日は篠塚さんの「失敗談」についてお話をお聞きしたいと思っています。

「失敗しないことこそが、最大の失敗なんだ」—— 成功の影に潜む“潜在的失敗”の正体

株式会社Loco Partners 代表取締役社長 篠塚孝哉さん

篠塚孝哉さん(以下、篠塚さん):それが、私自身、これまでに「目に見える失敗」をほとんど経験したことがないのです(笑)。

高校時代や、大学生時代に遡っても、勉強やスポーツ、音楽、留学などあらゆる活動において、それなりの成果を出してきました。

今風に言えば、「仕組みをハックして、成果を出す」ことが得意だったのです。仕組みを見つけては、誰よりも効率良くスピーディーに物事を進めていくことが私の強みだったと思います。

たとえば、中学校時代に所属していたサッカーチームでは、レギュラーとして出場した全国大会の16位まで進出しています。


高校時代から活動していた音楽バンドでは、インディーズながらも毎月ライブをし、多少の観客が集まるまでになりました。


大学時代は、当時はまだ少し珍しかった「バックパッカー」となり、英語を操り世界中を巡っては、たくさんの友だちを作っていましたね。


とにかく、周囲と比較して、ほんの少しだけ要領が良いタイプだったのです。

—— 何をやってもうまくいっている…うらやましいです。

篠塚さん:ただ、器用貧乏な側面もありました。各分野で上位20%に到達することができても、トップ1%になったことがほとんどありません。

特に意識するようになったのは大学卒業後、リクルートで働きはじめた頃になります。

同期は優秀な人材ばかりで、アメフトやチアリーディングの元日本代表選手がいたり、メジャーデビューを経験したミュージシャンがいたり、「世界二周しました」という旅人がいたり。これまで自分がやってきたこととは「次元が全く違う」のです。


入社まもない頃、私は完全なる劣等生でした。要するに、これまでは井の中の蛙であったのです。

—— 社会人になり、周りの人との差を意識しはじめたと。

篠塚さん:そうですね。同世代とのギャップに苦しみ、「このままでは、成果を一ミリも出せずにビリになる」と覚悟しました。

それから必死になって行動時間と努力を増やしたところ、2年目から突き抜けて、成果を上げられるようになったのです。


この成功体験によって、冒頭にもお話した「仕組みをハックして、成果を出す」ことが、自分の強みだと気づくことができました。

—— 本当に「大失敗」がないんですね。起業後に、何かやらかしたエピソードとかないですか?

篠塚さん:Loco Partnersを起業したのは27歳のとき。誰に相談することもなく突発的に起業しましたが、そこでも目に見える失敗はほとんどないのです(笑)。

創業時から右肩上がりに業績が伸びていますし、今この時点で同世代の起業家と比較しても、売り上げや会社の規模が上位に入るのではないでしょうか。

目の前の成功が、潜在的な失敗を隠す


—— 今日は失敗談を聞きに来ましたが、篠塚さんは失敗と縁がなさそうですね…。

「失敗しないことこそが、最大の失敗なんだ」—— 成功の影に潜む“潜在的失敗”の正体


篠塚さん:でも実は、「目に見える失敗がない」だけなんです。


人は成功しているときほど、ゼロベースで物事を考えられなくなってしまうもの。成功の陰に隠された“潜在的な失敗”は数多くあります。

—— どういうことでしょうか?詳しく教えていただきたいです。

篠塚さん:「もっとこうすべきだった」という後悔は少なくありません。「目に見える失敗はなかった」とはいえ、「じゃあどうして、Loco Partnersはユニコーン企業になれなかったのだ」という話です。

※注釈:ユニコーンは未上場 or 未買収企業で時価総額1,000億円を超える企業を指すため、M&Aによって物理的に成し遂げられない。


著名投資家である松山太河さんの話が分かりやすい。彼は、Googleがまだ創業まもない頃、代表のラリー・ペイジに出会っています。しかし、のちの成功をイメージできず、出資しなかったそうなのです。

松山さんは自身のSNSで、『最大の投資の失敗というのは、目に見えない「投資すべきだったのに投資しなかった」機会損失にあるように思える』とおっしゃっています

これは事業にも共通することが多く、私も同じように、目に見えない失敗をしています。もっと言えば、そうした潜在的な失敗は、現在進行形でしているかもしれません。

—— 具体的には、どのようなことが挙げられるのでしょうか?

篠塚さん:たとえば、Reluxは「SNSで成功したサービス」と言われています。


たしかに、旅行業界内でのFacebookアカウントのフォロワー数は断トツで、SNSをきっかけにユーザー認知や業績を伸ばしてきたことは紛れもない事実です。

ただ、いま遡って考え直すと「当時注力すべきだったのはSNSではなくアプリだったのではないか」と少し後悔しています。

2013年当初、私は「我々が取り扱う高級ホテルのような商材は、アプリでは予約しないだろう」と決めつけ、アプリ開発を検討すらしなかったのです。

しかし現在、会社全体における売り上げの半数超がアプリによって占められています。2〜3年前に慌ててアプリのサービス開発に投資をしたのですが、明らかに遅かった。

考えてみると、実は世界中におけるユニコーン企業のほとんどがアプリであり、旅行業もその例外ではないのです。

Reluxのサービス開始時から、スマートフォン向けアプリに完全特化した宿泊アプリをつくっていたら…。もしかしたら、Reluxがメルカリのような日本を代表する世界的なサービスになっていたかもしれません。

つまり、成功が潜在的な失敗を隠していて、私はその事実に気づくことができませんでした。


アプリ開発ではなくSNSマーケティングに力を入れていたのは、経営戦略の大失敗だったのです。

「失敗しないことこそが、最大の失敗なんだ」—— 成功の影に潜む“潜在的失敗”の正体


——「やらなかったこと」も失敗の一つとなると。

篠塚さん:氷山で考えてもらうと分かりやすいと思います。


失敗と聞いて、みんながイメージしやすいのは、物事をやっていくなかで発生する「顕在的な失敗」ばかり。しかし、本来気づくべきは、物事をやらなかったことで発生する「潜在的な失敗」なのです。

「顕在的な失敗」は改善する余地があるので、どれだけ挑戦しても失敗を埋め合わせることができます。


一方で、「潜在的な失敗」は、気づいた頃には「時すでに遅し」ということが多い。失敗による損失が広がり続けてしまっているのです。

行動した結果に伴う「顕在的な失敗」よりも、行動しないことで発生する「潜在的な失敗」の方が遥かに損害が大きいことは、誰もが意識しておいた方がいいと思います。

「ORの抑圧」をはねのけ、「ANDの才能」を活かす


—— 「大失敗(=潜在的な失敗)」を減らすためにも、大学生は「顕在的な失敗」を増やしていった方が良さそうですね。

「失敗しないことこそが、最大の失敗なんだ」—— 成功の影に潜む“潜在的失敗”の正体


篠塚さん:まさにその通りです。“企業人のバイブル”と称される不朽の名著『ビジョナリー・カンパニー』で紹介されているように、大学生は A or B or Cのように「OR」の考え方で選択を狭めるのではなく、あれもこれもと「AND」の思考で目の前にある選択肢にひたすら取り組むべきだと思います。

たとえば、「インターンをするか、それとも留学するか」と悩む前に、並行して取り組む方法を考えるだけで、人生の切り開き方やスピード感が変わってくるはず。

堀江貴文さんが言う「多動力」の話にも近いと思います。選択肢を「OR」ではなく「AND」に増やしていくことで、自分の可能性を広げていけるのです。

「インターンと留学を両立するために、海外でインターンをしてみるか」と新しい選択肢を見つけるきっかけにもなると思います。

—— でも、時間を集中的に投下しないと、成果を得られないような気もします。

篠塚さん:私がリクルートにいた頃、シーガルズ(社会人アメリカンフットボールチーム)でも活動している同期がいました。


彼は「AND」で物事を考えるタイプで、「会社とアメフトを50%ずつの労力でやるのではなく、両方100%でやる」と言っていました(笑)。


そして言葉通り、平日の朝夜や休日は全て練習に時間を使い、仕事も一切の妥協をせずしっかり成果を出しています。


つまり、「AND」で選択を増やしても、工夫次第で両立できるはず。「OR」の抑圧に負けずに「AND」で人生の選択を増やしていくと、負荷が高まってくるので、必然的に工夫が必要になります。


結果的に、仕事の能力がついてくる状況になるのです。


「目に見える失敗」には、意味がない


—— リスクを避ける選択より、リスクを取る選択の方が、どっちにしろ成長できるわけですね。でも、どうしても「失敗したくない」と考えてしまう人が少なくありません。どのようにマインドチェンジすればいいでしょうか?

篠塚さん:顕在的失敗は、究極的にはあまり大きな失敗ではないことを理解してください。


私が代表を務めるLoco Partnersでは、失敗を歓迎する文化があります。社内共通の価値観に“FAIL HARDER”と掲げるくらいに、「激しく失敗する」文化が浸透しているのです。

「失敗しないことこそが、最大の失敗なんだ」—— 成功の影に潜む“潜在的失敗”の正体


篠塚さん:失敗経験が少ない人ほど、挑戦する機会も減ってしまい、結果的に潜在的な失敗を増やしてしまうことになる。だからこそ「顕在的な失敗を増やし、潜在的な失敗を減らしていこう」という発想が“FAIL HARDER”に込められているのです。

—— といっても、ただ失敗するだけでは意味がないですよね?

篠塚さん:おっしゃる通りで、“FAIL HARDER”と“FAIL”は全く違います。たとえば、事業の企画書が挙がってきた際は、シビアに判断していますし、徹底的にディスカッションをします。ただ闇雲にすべての意見を許可し、挑戦して失敗するだけでは意味がないからです。

目に見えた失敗自体に価値はありませんが、プロセスを十分に考え抜いた上「これでいこう」と挑戦し、失敗したものには大きな価値があります。経営がうまくいっている会社は、みんな同じことをやっているのではないでしょうか。

選択に溺れずに、選択を正しく変えていくべき


—— 最後に学生に向けて、メッセージをお願いします。


篠塚さん:進路に限らず人生全般に言えるのが、「選択に意味はない」ということ。人生が選択によってできていることを否定するものではありませんが、一番重要なのは、選択した後にバリューを出すことや、改善を繰り返していくことです。

なのに、選択探しばかりに気を取られて「どこの大学や会社に入るか」を決めることに満足してしまう人が少なくありません。

学生から「ベンチャーがいいですか、それとも大企業がいいですか?」と質問を受けることがありますが、この質問が典型例ですよね。ぶっちゃけどっちでもよい。

なぜなら、どっちのケースにも大成功事例となる人がたくさん存在しています。選択に溺れずに、自分が信じた選択を正しいものに変えてきた人が、5年後、10年後に生き生きと楽しく働いているはず。自分が選んだ選択を「正しいものに変える」姿勢が大事だと思います。

そして、最近の大学生を見ていると、“ファッション化”している人が多いことが気になります。

つまり、形だけ真似しているということ。ネット有名人の表層的な部分だけを真似し、本質が伴っていない学生が頻繁に見受けられます。

人から聞いた“How”を真似するのではなく、本質となる“Why”はどこにあるのか考えてみてください。そういった意味で、学生時代から自分のなかで倫理観や哲学、思想をしっかり磨いておかないと、社会人になってからも周りに流されやすい人生を送ることになると思いますよ。



篠塚孝哉さん:プロフィール

1984年生まれ。東洋大学経済学部卒業、東京大学EMP修了。 2007年に株式会社リクルートに新卒入社、旅行カンパニーに配属。2011年9月(当時27歳)に株式会社Loco Partnersを創業し、代表取締役に就任。2013年4月、宿泊予約サービス「Relux」をローンチさせる。趣味は旅行、ランニング、ギター、ワインなど。著書:整理の習慣(かんき出版)、メディア出演歴:日本経済新聞、産経新聞、テレビ東京、フジテレビなど。


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