—— ベルさんは事務所に所属していないのにも関わらず、チャンネル登録者数が45,000人を超える注目のYoutuberです。まずは、そもそもYoutuberになろうと考えた理由について、お伺いさせてください。
ベルさん:もともと「Youtuberになろう!」と考えていたわけではないんです。動画の編集経験があったわけでもないですし、そもそも動画をアップし始めた頃はYoutuberを名乗ってもいません。新しい物好きな性分なので、Twitterに動画をアップするくらいの感覚だったと思います。
—— そうなんですね!では、「YouTuberとして食べていこう!」といった覚悟があったわけでもない…?
ベルさん:そうですね。ただ、「収益化できる」ことだけは知っていました。なので、興味本位でやってみて「おまけがついたら最高だな」くらいの感覚です。
ただ、全く知名度のないときも、二桁の再生があったんです。そこで小さな反応をもらえたことが、今につながる原点だったかもしれません。
—— 「千里の道も一歩から」と昔から言いますが、そうした小さな反応があったからこそ、続けてこられた?
ベルさん:私は以前、嫌がらせを受けて不登校を経験したことがあります。今思い返せばですが、そうした経験もあったので、理解者を無意識的に探していたのかもしれません。
自分の意見を発信することが好きだったのですが、不登校が起因して、挫折した過去があるんです。それからは、人生において目立つ必要性を感じなくなっていました。ただYouTubeなら、新しい世界をつくることができます。「二桁の再生」が、私に小さな可能性をくれたんだと思います。
—— 誰しも、新しいことを始めるときには勇気がいります。動画の編集経験のないベルさんがYouTuberになる際にも、同じような経験があったのではないかと思います。本格的にYouTuberを志したことに、何かきっかけはありましたか?
ベルさん:2016年の3月にアップした動画が、「バズった」んです。それこそYouTuberを名乗る前のことですが、微々たる収益を得ることができました。
そこで、「やりようによっては、食べていける世界なんだな」と思ったことを覚えています。「YouTuberを仕事にしよう」とは思っていませんでしたが、現実味を感じた瞬間でしたね。
以降、ただただ楽しくて動画をアップしていたら、1年が経過していました。興味があることをとりあえずやってみたら、ファンの方が応援してくれる状態になっていて、「私はYouTubeが好きなんだ」と後から気づかされました。
—— ただ現実的な話、YouTubeだけで生計を立てるのは、簡単なことではないと思います。
ベルさん:正直、お金のことはそこまで考えていませんでした。企画や演出など、全てを自分でできるスタイルが自分に合っていたことが、今こうしてお仕事ができている一番の理由です。
先ほど、「自分の意見を発信することが好きだった」とお話ししました。でも、発信することによって目立つことが、ネガティブに感じられるコミュニティってあるじゃないですか。
でもYouTubeは、目立って浮くことが賞賛に値します。むしろ、自分の色がないと活躍できません。発信することで挫折した過去とは違い、発信することが価値につながることを肌で感じられたことが、今につながる大きな要因です。
—— 現在は「文学YouTuber」として活躍されていますが、文学にフォーカスするまでの経緯についても教えてください。
ベル:「YouTubeを仕事にしたいな」と思い始め、とにかくいろんなジャンルに挑戦してみたんです。モノマネをしてみたり、歌を歌ってみたり、ピアノを弾いてみたり。メイクのレビュー動画や、ネタ動画をアップしたこともあります。
そうやっていろんな可能性に挑戦していくうちに、自分のやりたいことが明確になっていったんです。もともと趣味だった読書や美術館巡りをコンテンツにして、そのコンテンツを評価してもらえることが、とても嬉しくて。
読書や美術館のレビュー動画は、コンテンツとして非常にニッチです。つまり、爆発的なPVを得られる動画ではありません。でも「書評動画のベルさんは、すごくキラキラしていますね」ってコメントをもらったことがありました。
ベルさん:そこで、「自分が本当にやりたかったこと」が明確になったんです。それからは、「文学YouTuber」として活動しています。
—— やりたいことを仕事にしたというわけでなく、気づいたら、やりたいことが仕事になっていたと。
ベルさん:そうですね。気の進まないことを無理にやる必要はないと思いますが、ちょっとでも興味があるのなら、まずはやってみるのがいいと思います。
最初は、大きな目標がある必要はありません。もちろんYouTubeである必要はないので、TwitterやInstagramなど、気軽に投稿できるSNSで発信してみると、世界が変わります。小さくとも行動を起こし続ければ、いつか誰かに見てもらうことができる。そこで得られるフィードバックは、自分の「好き」を見つけることにつながっていくんです。
—— 小さくても、動いていくことでしか見えない世界があるんですね。
ベルさん:私自身の経験から、そう思いますね。
—— 最後の質問になりますが、ベルさんの今後の活動についても教えてください。
ベル:リアルな場所をプロデュースしたいと思っています。動画でも「本を読む」という体験を届けることはできますが、より濃い体験を皆さんに届けていきたいんです。
私はYouTubeに出会って、自分の仕事を見つけることができました。今度は自分が皆さんに、何か新しい体験を提供し、力になることができればと思っています。