【村上浩輝】目の前の球を120%で返し続けろ。全ての組織に当てはまる、能力と信用を獲得する人の共通点

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学生の皆さん、確固たる指針を持って進路を選択できていますか?


家族や友人の意見に流されるまま、なかば“思考停止状態”で就職先を決めている方もいるかもしれません。そんな悩み多き学生に、キャリア選択のヒントをお届けしていく連載【 #学校では教えてくれないキャリアの話 】。社会の第一線で活躍する経営者・ビジネスパーソン・クリエイターの方々に、進路選択の心構えを聞いていきます。


今回お話を伺ったのは、株式会社ツクルバ共同代表・CEOの村上浩輝さん。村上さんは、不動産ディベロッパーの株式会社コスモスイニシアに新卒入社。その後、リーマンショックの影響で会社都合の転職をし、ITサービスを開発・提供する株式会社ネクスト(現:株式会社LIFULL)を経て、2011年に株式会社ツクルバを共同創業。コワーキングスペース「co-ba」やリノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo」など実空間と情報空間を横断した場づくりを実践されています。


20代から起業家として活躍されてきた村上さんは「仕事の報酬は、より面白い仕事。全力で自分がいる場所を面白くすることが大切だ」と語ります。進路選択におけるマインドセットから、入社後に活躍する人の特徴まで、キャリアを考えるうえでのポイントをお伺いしました。



“キャリアすごろく”なんてない。自分で決めた「一番星」を目指し、今いる場所を全力で面白くしよう


—— 村上さん、本日はよろしくお願いします!進路選択に悩む学生に向けて、アドバイスをお伺いしに来ました。

【村上浩輝】目の前の球を120%で返し続けろ。全ての組織に当てはまる、能力と信用を獲得する人の共通点


村上浩輝さん(以下、村上さん):「すごろくの盤面をすべて見せてほしい」ということですよね。世の中はすごろくの盤面ように順序立ってマスが敷かれていると思っていて、それを優位に進めるための攻略本がほしいと。


まずは、そうした思考回路を捨てるところからはじめましょう(笑)。すごろくの盤面は、あらかじめ用意されているものではなく、自分自身でつくっていくものです。正解なんてありません。


—— まさに、「盤面を見せてほしい」と思っていました...(笑)。


村上さん:なにより大事なのは、「なりたい“一番星”を決めて目指す」こと。自分のやりたいことが漠然とでも見えている人は、それに近しいことに取り組んでいる人のもとに行ってみるのが良いと思います。


「一番星」が見えていると、どんな困難に出会っても、自分の目指す道が揺らぎません。希望の進路選択ができなかったり、予想外のキャリアを歩むことを強いられても、取るべきアクションが自然と見えてきます。


—— 「一番星」が見つかっていない学生さんも少なくないと思います。

【村上浩輝】目の前の球を120%で返し続けろ。全ての組織に当てはまる、能力と信用を獲得する人の共通点


村上さん:であれば、「自分のいる場所を面白くする」意識を持ち続けましょう。どんな会社にも、自分で改善できるポイントはあります。だからこそ、まずは自分が今の場所でできることを、全力で果たすことだけを考えてみてください。


社会人になって約10年経ちますが、どの組織でも共通していたのが「つべこべ言わずに目の前の球を120%で返し続ける人が、能力も信用も得られる」ということ。どんな場所でも圧倒的に成果を出していたら、周りの人は絶対に放っておかず、どんどん新しい機会が舞い込んでくるでしょう。


僕は「仕事の報酬は、より面白い仕事」だと思っています。もちろん、金銭的な報酬がもらえることも嬉しい。ですがそれ以上に、成果を出したことで能力と信用が積み上がり、もっと面白い仕事を任せてもらえるようになることがワクワクするんです。

気づいたら貯金が1,000万に。「自分の世界が広がる」のが楽しかった学生時代


—— 村上さんはどんな学生だったのでしょう?


村上さん:大学時代に、プロダンサーの舞台に学生が出られるようにするための事業を立ち上げました。評判やできることが広がっていくなかで、ナイキさんから声をかけてもらい、マーケティングのお手伝いさせていただくようにもなりましたね。「おもしろい」と思ったことに取り組んでいくうちに自然とお金が貯まっていき、気づいた頃には貯金が1,000万ほどになっていました(笑)。


—— 「1,000万」ですか…!お金は、「目の前の球を120%で返し続けてきた」ことの結果ということでしょうか…?

【村上浩輝】目の前の球を120%で返し続けろ。全ての組織に当てはまる、能力と信用を獲得する人の共通点


村上さん:おっしゃる通りです。でも、お金が積み上がることに対しては、まるで興味をもてなかったんですよ。それよりも、自分の世界が広がっていくことが楽しくて。小学生のときは家の近くでしか遊べなかったのが、中学生になって街の外に出られるようになると、全能感を覚えますよね。その感覚に近かったです。できることが増え、より面白い仕事を任せてもらえることで世界が広がっていく日々は、とても充実していました。

「起業するための就職」はやめよう。やりたいことがあれば、今すぐにトライすべき


—— しかし、そのまま起業はせず、あえて一度就職されたと。

村上さん:労働集約的な事業の広がりに限界を感じていたんです。「もっと大きな事業に育つための、“仕組み”のつくりかたを学びたい」と思い、それを企業で学ぶことにしました。


当時は面接で「将来は起業するつもりです。ただ、3年間だけは馬車馬のように働くので、雇ってください」と豪語する、少し変わった学生でしたね。まあ、会社が倒産しかけて3年もいれなかったんですが(笑)。

—— 起業前の修行期間として就職された、ということでしょうか?

村上さん:いえ、違います。シンプルに、「得たいものを得られそうな場所に行く」という選択をしただけです。例えるなら、「これまで自己流でなんとなくギターを弾いていたけど、もっと上手くなりたいから、音楽の本流を知れる海外に行こう」という感覚に近いです。

起業したいと考えているのであれば、今すぐ会社を作った方がいいです。登記さえすれば誰でもできます。思考停止状態で「起業のための勉強」をするのは、「ギターを始める前に、まずギターの歴史や弦の張り方をしっかり勉強しよう」と言っているのと同じです(笑)。演奏技術を身に付けたいなら、実際にギターを弾くしかないですよね。

【村上浩輝】目の前の球を120%で返し続けろ。全ての組織に当てはまる、能力と信用を獲得する人の共通点


—— 村上さんにとって、「やりたいこと」とは?


村上さん:明確で具体的な「やりたいこと」ではなく、広く“人を残す”取り組みがしたくて。23歳で出会った「金を残すは下、事業を残すは中、人を残すは上」という言葉と、大学時代にお金だけが積み上がっていくことに全く興味が持てなかった自身の原体験から、こう思うようになりました。


たとえば、いま「co-ba」や「cowcamo」を推進しているのも、それ自体が目的なのではありません。自分の中では“人を残す”取り組みの一環として行なっているんです。

起業家がサラリーマンより偉いわけじゃない。大切なのは、全力で自身の役割を果たすこと


—— 最後に、キャリアに悩んでいる学生の読者に向けて、メッセージをお願いします。

【村上浩輝】目の前の球を120%で返し続けろ。全ての組織に当てはまる、能力と信用を獲得する人の共通点


村上さん:世の中には、数十年前のリクルートやソニー、ホンダの創業メンバーのように「リスクをとってこれからの“当たり前”を作る人」と、大きな仕組みを動かす「既存の仕組みをしっかり回す人」が存在します。両者は役割の違いでしかありません。

起業家ではなく、創業期のメンバーを始め多くの支えてくれる人がいるからこそ企業が回っているので、起業家やフリーランサーが企業で勤める人を馬鹿にするのは言語道断ですし、中途半端なベンチャー企業よりも大企業の方がストイックにやっているケースも、往々にしてあります。あらゆる役割の人にリスペクトを持たなくてはいけません。自分がどちらのタイプなのかを見極め、自分がすべき仕事に真摯に取り組むことが大切なんです。



村上浩輝さん:プロフィール

1985年東京生まれ。立教大学社会学部(現:経営学部)卒業。不動産ディベロッパーのコスモスイニシアにて事業用不動産のアセットマネジメント事業を経た後、不動産情報サービス企業のネクスト(現LIFULL)にてSaaS型サービスなどの企画開発及びマーケティングに従事。2011年8月に中村真広と共にツクルバを共同創業し、代表取締役CEOに就任、現職。

国内先行事例となるコワーキングスペース「co-ba」、ITを活用したリノベ住宅流通プラットフォーム「cowcamo」などを展開、国内著名投資家などから資金調達を実施し急成長を遂げている。共著に「場のデザインを仕事にする」(学芸出版社)。


 

製作協力:株式会社モメンタム・ホース
構成:川尻疾風、編集:小池真幸、撮影:岡島匠

この記事を書いた学生ライター

co-media 編集部
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