co-media副編集長・オバラ ミツフミが、各業界のトップランナーにお話を伺い、時代の変化に左右されない「選んだ人生を正解にする力」を聞いていく新連載【#25歳の歩き方】。第二回のゲストは、株式会社インフラトップ代表・大島礼頌さんです。
民間から教育のあり方を変えようとビジネスを展開する大島さんは、「最初の一歩を踏み出せば、人は変われる」と語ります。第一回ゲスト・森本千賀子さんがおっしゃる「目の前の仕事を面白がることが大事」というお話を受け、「目の前に面白い仕事が飛んでくる」ための準備についてお伺いしました。
オバラ ミツフミ(以下、オバラ):連載の第一回では、株式会社morich代表・森本千賀子さんにインタビューをさせていただき、「今この瞬間を本気で生きる」ことの重要性について語っていただきました。森本さんのお話を受け、キャリア形成には、目の前にある仕事を面白がり、一生懸命になることが不可欠だと認識しています。
しかし、誰もが「目の前にある仕事を面白がれる」とは、限りません。そこで本日は、大島さんに「目の前に面白い仕事が飛び込んでくる」ための準備についてお伺いしたいと思います。
大島 礼頌さん(以下、大島さん):よろしくお願いします。
僕は「目の前にある仕事を面白がれる」状態を言い換えると、つまりは「目の前の仕事に没頭している状態」だと考えています。失敗か成功かを考える以前に、とにかく行動し、チャレンジをしてみる。すると、「面白い仕事が飛び込んでくる」のです。
オバラ:なるほど。つまり、とにかく没頭することがスタートになると。
大島さん:おしゃる通りです。また僕の場合、「面白い」は「苦しい」と表裏一体の関係にあるとも考えています。例えるなら、ずっと全力でマラソンをしている状態。苦しい状態は続きますが、ランナーズハイになっているので、苦しささえも面白さの一部と捉えられるのです。
オバラ:まさに森本さんがおっしゃる、「今この瞬間を本気で生きる」ですね。苦しさは、面白い仕事ができるための条件でもあると。
ちなみになぜ、「目の前の仕事に没頭している状態」だと、面白い仕事が飛び込んでくるのでしょうか。
大島さん:人生には、さまざまま壁があります。生きていれば、苦しい仕事があったり、難しい局面が訪れる機会が少なくありません。しかしそうした壁は、「乗り越えられる程度のもの」なのです。その人の器に合ったチャレンジしか、目の前にやってくることはありません。その壁を越えようと挑戦し、実際に越えると、次からは壁が少しずつ大きくなっていくのです。
オバラ:苦しくも、超えられない壁が立ちはだかることはないと。そうした壁があること、そしてその壁を越え続けていくことが、「面白い仕事が飛び込んでくる」状態なのですね。
大島さん:その通りです。なので、壁が立ちはだかろうとも、その瞬間を「成長のチャンス」と捉えてください。その機会に全力で立ち向かっていれば、「目の前に面白い仕事が飛び込んでくる」でしょう。
オバラ:目の前の仕事に没頭し、壁に向かう苦しさが人を成長させる。また、その成長過程が面白い仕事をしている状態だということが分かりました。しかし、まっさらな状態から何かに没頭するのは簡単なことではありません。大島さんが最初に「没頭する」経験をしたのは、いつ頃のことでしょうか?
大島さん:大学生時代に、インターンをした経験が原点だと思います。週6日、自分の意思で休みなく働いていたのです。当時は「自分ならできる」といった、根拠のない自信がありました。しかし、いざ働いてみると、全く成果が出せなかったのです。
オバラ:そんな時代があったのですね。その経験が、「没頭する」契機なったのでしょうか?
大島さん:そうです。自信を折られた経験が、転機になりました。我流で成果を残すことができなかったので、先輩の教えを素直に実行するようになったんです。疑問視せず、とにかく受け入れてみる。そうやって愚直に行動をしたところ、自分のレベルが着実に上がっていく実感を得られました。
オバラ:なるほど。最初に「インターンをする」という意志ある選択をしたことが、全ての始まりになっているのですね。
大島さん:「没頭しよう」と思って、物事に没頭できるわけではありません。没頭し、目の前に面白い仕事が飛び込んでくる“成長のサイクル”をつくりだすには、まず何かを始めることが大事です。
人間が走っている状態を考えてみると、分かりやすい。速く走るためには、足で地面を蹴ったときの反発力を推進力に変える必要があります。体を前に倒し、それを支えようと足が出てくる。先に前傾するから、早く走れるのです。つまり、「前傾する=何かを始める」ことさえすれば、目の前の仕事に没頭し、目の前に面白い仕事が飛び込んでくる状態をつくることができます。
オバラ:とても分かりやすいです!走り出してしまえば次の一歩が出るので、「走り続ける=没頭することができる」のですね。その過程で小さな成功体験があれば、走るスピードも速くなっていきそうです。
大島さん:成功体験によって自信を得ることができれば、走るスピードが変わります。僕の話ですが、新卒で入社した会社では、同期の中で一番学歴が低かったんです。「みんな学歴があってすごいな」とコンプレックスを感じました。
しかし、内定者研修で自分にしか解けない問題があり、そこで自信がつきました。「腕っぷしさえあれば、やりあえる」と思ったのです。
今振り返れば、大学生時代に早くからインターンを始めたことや、たくさん行動を起こしたことが、その結果につながっていたと思います。今では、幼い頃からの夢だった「経営者になる」を叶えられています。
オバラ:「目の前にある仕事を面白がり」、「目の前に面白い仕事が飛び込んでくる」状態に突入した後のこともお伺いしたいです。
たとえば選択肢が同時に二つやってきたとして、そのどちらを選ぶことが自分にとって正解なのかは、分かりません。大島さんの場合、どのような基準で選択をしますか?
大島さん:常に難しい方を選びます。難しくてワクワクする方を選び、思いっきり踏み出すんです。先ほどの「走る原理の話」でいうと、思いっきり前傾する。走り続けるしかない状態を最初につくるようにします。
オバラ:なるほど。でもその分、失敗も増えそうです。
大島さん:僕なんか、学生時代に挑戦したことの大半は、失敗していますよ。むしろ、成功したことなんて何一つなかったのではないかと思っています。ただ、その経験は成長に結びついているんです。
オバラ:成功しなくても、いいんですか?
大島さん:むしろ、常に成功している方が、問題なのではないでしょうか。常に成功している状態は、ともすれば「成功できる挑戦しかしていない」ことの裏返しでもあります。
僕は、「完璧な状態=成長していない」と思っています。壁が高ければ高いほど、自分は過去に成長してきたと考えています。なので、学生の皆さんには、失敗している瞬間こそが「スーパーマンに近づいている」と思ってほしいです。
出来ることで勝負するのは、40歳、50歳の戦い方。今まで培った経験を活かして働くのは、年齢を重ねてからで十分です。若いうちはとにかく失敗し、自分のレベルをあげることに専念した方がいいと思います。
オバラ:大島さんが経営されるInfratopは、バリューに「人生に没頭しよう」、「チャレンジし続けよう」など、行動を後押しする言葉が掲げられています。社内のメンバーや、サービスを提供するユーザーの挑戦を応援することを心がけていられるのでしょうか?
大島さん:おっしゃる通りです。よく社内では「人生、フルスイングしよう」と声をかけています。また、ユーザーさんにも同じ思いでサービスを提供しています。プログラミングスクール・WEBCAMPは、「プログラミング学習を通じて、誰かの人生を変えること」が目的です。
僕は大学教育の意義が非常に形骸化していると思っています。学生の学習意欲も、教授の教育意欲も低く、魅力的で有意義な場にはとても感じられません。なので、大学以外で学びの場を提供する必要があると思っています。
プログラミングを学ぶことで新しい世界を知り、自分の可能性に気づき、変化していく。WEBCAMPを受講することが一つのきっかけになり、どんどん人生が加速していくような感覚や経験を提供したいのです。
そうした思いで教育業界で事業を展開しているので、普段から学生さんの相談に乗ることもあります。起業家志望の方がいれば、個人的に話を聞くことも少なくありません。もしco-mediaの読者さんに起業家志望の方がいるのなら、僕ができる範囲のアドバイスをしたいとも思っています。
オバラ:ありがとうございます。それでは最後に、学生に向けてメッセージをいただけますでしょうか?
大島さん:人生を変えたいと思っていても、なかなか一歩目が踏み出せない人は多いはず。そういった人の多くは、「本当は挑戦してみたいけど、上手くいかなかったどうしよう」と、ちょっとした不安を抱えているのだと思います。
最初の一歩を踏み出せば、人は変われます。そして、「学んで終わり」ではなく、学びによってより良い人生を描ける人間になってください。