はじめまして。早稲田大学文学部3年、「co-media」編集部でインターン中の倉益りこです。
突然ですが、皆さんは“就活”に対してどんなイメージを持っていますか? 正直にいうと、私は今のところ、就活にプラスのイメージを持っていません。
この前まで、飲み会でサークルの話、恋愛の話、昨日見たテレビや夏休みの旅行の計画について話していたみんな皆が、渋い顔をしてサマーインターンの話をしている。
この前まで、派手な髪色、派手な服装をしていたあの子が、黒髪の一つ結び、皆と同じ形のリクルートスーツを着て、授業にやってくる。
今まで持っていた個性を潰して、企業に媚びているような気持ちになってしまいます。
……しかし、実は私も、その一人です。
だって、少しスーツの形が違ったり、少し髪色が明るいだけで企業から落とされるなんて、まっぴらごめんだから。就活って“そういうモノ”だし、それが“フツー”だから。
この感覚は、今まできちんと勉強を頑張って、大学に入って…というタイプの人に多い気がします。
せっかく良い大学に入ったんだから、大企業に入りたい。大企業に入って、親も安心させたいし、自分も安定した生活を送って、幸せになりたい。
しかし、こうして20年間信じてきた目標が、今、揺るぎ始めています。
私は昔から小説を読むことや、文章を書くことが好きで、文章なら“話し下手な自分”がきちんと相手に考えを伝えられるという理由から、「文字」に対してプラスのイメージを持っていました。
そこから派生して、将来は文章を扱う職業に就きたいな、とも。だから、大学の学部は文学部にしましたし、「co-media」でライターのインターンも始めました。
そして、「co-media」でインターンをしているうちに、「就活前の、ちょっと待った!」が、かかりました。
——私は本当に“大企業”に行くべき人間なんだろうか。
「co-media」のインターンを通じ、今まで出会ったことのないタイプの方とたくさん関わる機会を持ちました。
インターン先の上司、インタビュアー、皆さん本当に活き活きとしていらっしゃいますが、その中に大企業に入っている方はいませんでした。
ベンチャー企業でのインターンなので必然的ではありますが、とにかく「大企業を目指す」以外の選択肢が見え始めたんです。
今までは全ての意思決定に前提として「大企業」があり、「大企業」という枠組みの中で、自分の好きなことを探していたのかもしれない。
——大企業に入らなくても幸せそうな人、しかも稼いでいる人はたくさんいるじゃん。
そう気づきました。よくよく考えてみれば、そもそも異なる考え方や価値観、性格を持っているのに、「大企業へ入る」=「必ず幸せになれる」はずがありません。
そこで、就活を目前にして、自分の中から一度「大企業」という前提を消して、フラットな目線で「働くこと」について向き合いたいと思いました。
読者の皆さんの中にも、「やりたいことがない」と焦っている方がたくさんいると思います。でも、それは私と同じように「大企業」の中で職業を探しているからかもしれません。
「大企業」へのこだわりをなくし、ネームバリューに惹かれてしまうプライドをなくし、自分の心に素直になったとき、もしかしたら本当に自分にあった働き方を見つけることができるかもしれない。この連載は、そんな考えで始めました。
ここまで掘り下げておきながらも、どうして自分はこんなにも大企業にこだわっているのか。
私はその原因を、下記の5点であると考えました。
①“安定”を求めている。言い換えれば、フリーランスなどでうまく生計を立てていく自信がない。「大企業に入らなくても成功できる人間は優秀だから」と考えてしまう。
②周囲の期待に答えようとしている。予備校に私立大学、今まで経済的に支えてくれた親に不安を与えたくない。
③大企業のネームバリューに惹かれている。
④身近に実例がない。身近な人は皆どこかしらの大きな企業に入っているし、そもそも大企業以外の選択肢をよく知らない。
⑤インタビューなどで、“成功者”の話を聞いても「自分とは住む世界が違う」「成功しているから言える」と思ってしまう。
さて、これが今回の“ストリート就活”の所以です。私は④と⑤に焦点を当てました。もっと、私たちが身近に感じられるような人たちにも話を聞いてみたい。
そこで生まれたのが、このような形でマイクを向けてみないと誰かに取り上げられて記事化されることもない、いわば“普通の人”をストリートインタビューするこの企画。
もしかしたら、街には私たちが知らないステキな働き方や出会いが溢れているかもしれません。そして、その出会いが「就活しなくちゃ」 ーーそういって「就活しちゃう」私たちに些細な変化をもたらしてくれるかもしれない。
そうした出会いの中で、きっと何か感じたことや、疑問が生まれます。そこで、その感覚や疑問を解消してもらうにふさわしい人物に取材アポを出し、今度は自らお話を聞きにいきます。
このサイクルで、少しずつ「働き方」への価値観を磨いていきたいと思います。
第一回は、真昼間の渋谷にて突撃インタビューします!