「ここに常識は存在しない」ハリーポッターのモデル校 オックスフォード大学院で’今’みている景色

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日本人は周りに合わせて’空気を読む’ことが美徳とされる。海外と比較した日本の特徴として、なんとなくそう感じている人は多いのではないでしょうか。慶應義塾大学法学部を卒業し、オックスフォードの大学院に進学した日置さんはそんな日本の美徳とは対照的に、当たり前だと思っていた常識にザクザクとメスを入れていくディスカッションに衝撃を受けました。オックスフォードに進学する前は、ヴァイオリニストとして活躍する傍ら自ら作ったオーケストラで海外ボランティアをしたりと、課外活動にも積極的な日置さん。現在もイギリスの地で奮闘している日置さんが臨場感持って語るイギリスと日本のコントラストとは…?

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[日置駿:プロフィール] 1993年生まれ、慶應義塾幼稚舎入学、同大学法学部法律学科卒業。3歳からヴァイオリンを始め、全日本学生音楽コンクール東京大会中学校の部第1位。大学1年次に“音楽で人の心をふるわせたい!“を理念としたオーケストラ、Orchestra MOTIF(モチーフ)を設立し、以来ミャンマーや福島に於ける音楽教育に携わる。松下政経塾立志論文コンテスト最優秀賞。福沢諭吉記念祭全国高等学校弁論大会優秀賞。TEDxKeio2013、TEDxKeioHigh2016スピーカー。英オックスフォード大学法学部修士課程在学中。



国家権力をも操った音楽の歴史ー音楽的に見る法学論


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ーはじめに、オックスフォード大学院へ進学しようと思ったきっかけを教えてください。

まず大学院への進学を考えたきっかけとなった源には、私が大学時代に設立したオーケストラの活動がありました。当時そのオーケストラに「MOTIF」と名付けてミャンマーやカンボジアでの音楽教育活動に精を出していたのですが、大学卒業後にその活動をどうしていこうか悩んだ時期があったんです。色々な人に相談をしながら自分を見つめなおす時間ができて、出した結論は「もっと音楽と社会の関係性について勉強しよう!」ということでした。大学院に進学して勉強を続けることは、自分の中で自分に何か変化をもたらし、もやもやを解消するための1つの手段だったんです。

その中でもオックスフォードに進学した理由は、私が文化政策とそれに関する法律を研究テーマにしていたからです。というのも、音楽や芸術は憲法論的にも大変興味深いテーマなんです。例えば、極端な例ですがナチス時代のヒトラーはユダヤ人作曲家の演目は上演禁止とし、代わりにドイツ国内のオーケストラには鉤十字の旗の前でドイツ人作曲家の曲目を演奏することを強いました。これは演奏家や作曲家の芸術的表現の自由に国家が介入する例として最もよく使われるものです。ヒトラーはプロパガンダの材料として、人の心を動かす音楽を捉えていました。このように、芸術は本質として国家や権力との軋轢関係にあり、不安定な立場です。こうした問題に関する議論について、世界で最も古い総合大学であるオックスフォードの学問的な蓄積は大変魅力的でした。法哲学や憲法理論における神様のような教授達に直接学ぶことが出来る環境はここにしかない、そう強く思って受験の準備をしていた事をよく覚えています。


ー音楽と勉強をバランスよく頑張れるように育った要因はなんだと感じていますか?

私は慶應義塾幼稚舎に入学して以来、小学校からずっと慶應義塾に通っているのですが、当時から先生や周囲の仲間達が個性を大事にし、勉強以外のことも応援してくれる環境がありました。慶應義塾では「実学」という考え方を大切にしているのですが、それは単に「社会に役立つ学問」と言うだけではなく、全人格的な教育を通して道徳心の高い人間を育成することを目指しているように思います。一貫校ならではの事だと思いますが、周囲に勉強だけでなくバレエや水泳、テニス、乗馬などあらゆる分野でプロフェッショナルを目指す稀有な仲間達がいたことが何よりも刺激になっていました。皆のおかげで、学生時代はバイオリンの演奏活動と勉強を両立する事が出来たと感謝しています。


日本の学生に必要なのはオックスフォード流「なぜ」を問う姿勢


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ー世界の中で見た「日本」は日置さんの目にどのように映りましたか?

よく「世界に行くと日本の良さを認識する」と聞きますが、あれは本当ですね。時間の正確さであったり勤勉さ、独特の文化や芸術もあって、ご飯も美味しくて(笑)友達と話していても「ああ、日本って素晴らしいな!」と思う瞬間が多々あります。しかし他方で、日本という殻に閉じこもっていては本質は何も見えてこないということも実感しています。私は日本が大好きですが、実際の世の中は遥かに多様化し、国籍も国家もその境界線がハッキリとしなくなりつつある。そんな中で如何に客観的かつ冷静な視点を持つことが出来るか、それが私たちに問われている気がします。


―日本の大学とオックスフォード大学との違いはどんなところですか?

やはり一番最初に浮かぶ違いといったら、ダイバーシティーに富んでいる点です。多様性は国籍に留まりませんが、国籍に関して言えばオックスフォードには140カ国からの留学生が集まり、クラスでは1人が1つの国の代表として議論を行っていると言っても過言ではないくらい、バックグラウンドは様々です。また、オックスフォードの学生は本当によく勉強するなあ...と感じました。一概には言えないですが、単純に課題の量で比較してしまえば、慶應大学にいた頃に1学期間で読むくらいの量をオックスフォードでは1週間でこなすことを求められます。(註:もちろん慶應でも一生懸命勉強していた人も沢山いました!!!)

何よりも大きな違いとしてオックスフォードでは「なぜ。」を問うことに非常に重きを置いています。慶應の法学部で問われたのは、ある種の情報処理能力だったのかな、と思う部分があります。試験では答えがある問いが用意されていて、その答えをきちんと解答におとしこめることばかりを考えていました。他方、オックスフォードでは常に「当たり前」を疑うんです。例えば、憲法の条文にある国民主権はなぜ大切なのか、といったことを議論します。「そもそも憲法って何?」「何で憲法って必要なの?」「本当に国会って必要なの?」といった話題について何十ページものエッセイを提出しなければならなかった時はとても苦労したと共に、目から鱗の経験でした。


ーブレグジットもありましたよね。

はい、ちょうどこちらにいるときにブレグジットがありました。

その際に若者の政治への強い関心を痛感しました。若者が声をあげているのを目にすることが多々あったんです。Facebookでもタイムラインに流れてくるのは、政治的な発言ばかり。「I vote for labour!」とか。日本では政治的な意見はあまり表に出さないことが多いですが、こちらでは「あなたはどう思うの?」ということを常に問われます。「政治的なスタンスについては特になくて...」と戸惑っていると誰も話を振ってくれない、なんてことはしょっちゅうでした。


議論が日本を育てる 日置さんの描く理想のリーダー像とは

―日置さんの将来展望に関して教えてください。

自分の中で、「より良い日本を作りたい」と日本に貢献したい気持ちが強いです。小さいころから国際コンクールに出させてもらったり、ミャンマーやカンボジアに音楽教育を行ったり、オックスフォードで140カ国の人々と議論をしたりといった経験のなかで、日本ということを強く意識してきたなと思います。世界が大きな変化の中にあって、他の国の例に漏れず日本も今大きなチャレンジに直面していると思うんですね。そしてそのチャレンジには正に答えがない。そういった問いに立ち向かっていかなければならない時代になっていると思うんです。まだまだ未熟な自分ですが、きちんと勉強を続けて、「なぜ」を問う姿勢を持ち続け、そういった問題に道筋をつけられる人になりたいです。若い世代のリーダーと言ってはおこがましいですが、次の世代を作っていく一員という責任をリアリティを持って感じ、しっかりと実行に移していきたいと思っています。


「ここに常識は存在しない」ハリーポッターのモデル校 オックスフォード大学院で’今’みている景色


―最後に学生読者にメッセージをお願いします。

ありきたりなメッセージで恐縮ですが、是非失敗を恐れずに挑戦をして欲しいと思っています。オックスフォードに進学を決めたときは、英語力が低い中で法律の議論をする環境でやっていけるのか非常に不安でしたし、正直今もうまく行っているとは言えないかもしれません。しかし間違いなく、挑戦をしたことによって新しい自分に出会え、世界が広がったことは断言できます。ちょっとハードルが高すぎたかな、と弱気になることがあっても「挑戦しなかったらその高さすら実感することができなかったから、本当に挑んでよかった」と思います。皆さんの学生生活がチャレンジに満ちた充実したものになることを祈っています。私も頑張ります!

この記事を書いた学生ライター

倉益りこ
倉益りこ
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早稲田大学文学部3年 co-media編集部です。 バンドと服と食べ物が好きです

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