東京大学医学部4年生。大学3年生の時、21歳にして最年少で司法試験合格。さらに第30回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでは、17293人中ベスト30にランクイン。フジテレビのバラエティー番組「さんまの東大方程式」では、番組が選ぶ超天才東大生ランキング1位に輝いた。日本テレビのバラエティー「頭脳王」では日本1の頭脳王に輝いた。「超神童」と呼ばれ、数々の番組に出演している。
ーー理科3類に入学したのは、医者志望だったからですか?
河野玄斗(以下、河野):正直いうと、医者になりたかったわけではないんです。高1ですでに理科1類は受かるレベルだったし、高2の終わりの同日模試では理科3類の合格点より30点以上取れていたので、余裕で入れたから理科3類に入学しました。
ーー医師と弁護士の二つの免許を持っている人は日本に数十人しかおらず、相当珍しいと言われています。なぜ医師と弁護士の資格を取ろうと思ったのですか?
河野:進振り(進学振り分け)の際、せっかくなら自分にしかできないことをやりたくて、医者と弁護士の資格を持つことに決めました。医療ミスで泣き寝入りする患者は多く、今後も美容整形やレーシックが増えるにつれ、医療過誤も増えていくと思います。でも医師と弁護士の知識を持っていたら、彼らを救うことができると考え、どちらも取ることにしました。
ーー大学入学後はどのように過ごしていましたか?
河野:司法試験の勉強は大学2年生の秋ごろから本格的に始めたのですが、それまではずっと遊んでいました(笑)。社会人になったら遊べないと考えていたので、「学生生活に悔いを残さない」というモットーのもとに熱がでても遊んでましたね。
ーー遊ぶ環境から司法試験の勉強に切り替えられたのはすごいですね。
河野:1年半毎日同じようなことをして遊んでいたので、正直遊ぶことには飽きていました。ただ、その先の人生は想像がつきません。「司法試験に合格したら、自分の人生はどうなるんだろう?」。未知の環境に惹かれたんです。分かりきったことを続けるより、何が起こるか分からない世界に進んで行くほうが刺激的なので、やる気がでました。
ーーモチベーションを維持するのは大変でしたか?
河野:司法試験へのモチベーションは常にありました。将来やりたいことをするために、今すべきことはなにかということを、常に逆算して考えられていたからだと思います。あと、周りに予備試験を受けることを内緒にしていたので、「みんなを驚かすぞ」といつもワクワクしていましたね(笑)。
もちろん、しんどい時もありましたし、遊んでる人たちをみて「いいな」と思うこともありました。でも、遊び続けてゆっくり満足度を蓄積するより、ちょっと頑張ってスペック上げてから遊んだほうが満足すると思うし、長期的にみればプラスだと思うんです。今必死になって自分を磨くことで、将来に投資しようと考えたんです。いま遊んでる人たちをみて「あとあとほんとに幸せを獲得するのは俺のほうだぜ」とも思っていましたね(笑)。
人って、人生のどこかしらで頑張らなきゃいけないと思うんです。頑張らなくても成功するのは石油王の子供くらいだと思います。石油王の子供はずっと遊んでても安泰だし、はじめから石原さとみさんのような絶世の美女と毎晩お酒が飲めるわけです。
でも、僕みたいな一般人は、自分で成功までの布石を積み重ねていかなきゃいけない。それだったら、早いうちから頑張っておけばいいと考えたんです。大学に入ってからの僕は全く変わってなくても、「司法試験合格」という肩書きを得ただけで急にある程度ちやほやされるようになった。僕が変わったんじゃなくて、ただちょっと頑張っただけなんですよ。そう考えると、早いうちに頑張っておくということはトータルで考えるとプラスなのかなって思います。
ーー医学部の勉強と司法試験の勉強の両立は相当大変だと思います。どのように工夫していましたか?
河野:効率を最優先にしていました。医学部の勉強は最小限に止め、ギリギリで単位を取得。優先順位を考えると、医学部の試験で全部「優」を狙うよりも、全部「可」にして、今年中に予備試験受かった方が人生の最大幸福を得られると判断したんです。心がけていたことは、ゴールから逆算する事です。試験から逆算して、今何をすべきかを常に意識していました。
ーー司法試験勉強をしていた時期、毎日どのようにすごしていましたか?
河野:医学部の授業を出て、余力があれば司法試験の勉強をしていました。モチベーションがあるときにやって、ないときはやらないと決めて、ダラダラやらないようにしていました。0.7の効率で10時間やるより、1の効率で7時間やって残りの3時間寝た方がいいと思っているので。司法試験のために通っていた塾は、全ての講義がネット受講だったので、1日10コマを倍速で再生し、3〜4ヶ月で見切って、ひたすら残りの半年は自分で読んでやっていました。
ーー勉強のコツはなんですか?
河野:学問に王道はないというし、科目によって全然違いますが、共通して言えるのは「人に説明できるようにやる」ことです。自分が家庭教師になった気分で人に説明できるようになればその問題は完璧なので。
全体像を見ることもすべての科目に共通して大事です。たとえば日本史なら、何もわからない状態で単語をただやるのではなく、本で流れを読んで大まかな全体像を掴んでから細かい知識を入れる。マップがない状態で目的地までさまよっていたら、目的地までどのくらいあるかわからなくて怖いし、着いても来た道は思い出せません。でも地図であらかじめ確認してからいけば、自分がいまどの地点にいるのかがわかるし、後で道のりを聞かれても、マップを思い出しながら説明できますよね。全体像のマップを獲得しておくことは大事です。
ーー大学生活を送る上で、大切だと思うことはなんですか?
河野:勉強も遊びも、モットーを持って行動することです。僕は人生で後悔したことがありません。基本的に行動する時には明確な理由があるので、マイナスなことでも「あの時はこういう理由でやっていたからしょうがない」と自己肯定できるんです。だから1年半遊んでたことも後悔していません。もし漫然と遊んでいたら司法試験の勉強をやるときにもっと早くからやっていればと思ったかもしれませんが、全く思わなかったし、逆にあの時遊んでたからもう遊びはいいやと思えました。
ーー大学生の学生生活について思うことはありますか?
河野:お金のためだけのバイトだったら最小限に抑えた方が良いと思います。家庭事情とか理由があれば別だけど、ただバイトばっかりやるならインターンを頑張るほうがスキルもつくし将来のためになるんじゃないかな。たとえ無償でも、いま自分のためになることを少しするだけで、将来の年収はちょっとだけでも変わると思うんです。目先のお金にとらわれて、生涯の年収を失うのはバカらしいって思いますね。
ーー最後に、co-media読者に向け、ひとことお願いします。
河野:目的を持ってやれば、それがなんであろうといいと思います。目的がない行動はぶれちゃうし、つまずいたときに踏ん張れないので。その目的を達成するためには、逆算思考が必要だと思います。なりたい自分から逆算して今すべきことをやる。そうすれば後悔しない生き方ができるんじゃないかな。