毎年数千組ものインディーズバンドが応募し、毎年バンド界で注目を集めるコンテスト『RO69JACK』。今回は『RO69JACK 2017』で見事優勝し、ROCK IN JAPAN FESTIVALの出場権を獲得した今注目のバンド『Rollo and leaps』で作詞作曲、リーダーを務める石岡和樹さんにインタビューを行いました。
早稲田大学法学部に在籍する現役学生でありながらも、バンド活動のために休学する決断を下した石岡さんは「チャレンジには計画と下準備が大切」と語ります。石岡さんをロッキンジャパンへ導いた'計画と準備'とは!?
早稲田大学法学部3年生。RO69JACK2017で自らが作詞作曲、ギターを務めるロックバンド『Rollo and leaps』で優勝し、今年の夏にROCK IN JAPAN FESTIVALに出場。大学生活4年目に当たる今年は1年間休学し、バンド活動に勤しむ。
ーはじめに、音楽を始めたきっかけを教えてください。
フラッシュ動画が流行っていた小学3〜4年生のときに音楽と接点を持ち始めました。BUMP OF CHICKENの歌詞に合わせて作られたフラッシュ動画をみて、「ああ、音楽っていいな」って思って、エアギターを始めたんです。ギターじゃなくて、エアギター(笑)。ところが小学5年生の時、家に遊びに来た弟の友達に部屋でエアギターをしている場面を見られてしまう恥ずかしい経験をしたんです。そこでやっと「これはギターを買わないとやばいぞ」と思って初心者用ギターを買いました。ちょうどそのタイミングで小学校の友達がバンドを組みたいと言っていたので、同級生4人でバンドを組んだのが始まりですね。小学校~中学校の間は、学校の演芸発表会や地元のお祭りで簡単なコピーを披露する程度でした。
当時は周りにバンドをやっている同年代はいません。そもそもバンドを組むこと自体のハードルが高かったので、周りから「すごいね」と褒められ、その嬉しさが長く音楽を続けるきっかけになっていたと思います。
―Rollo and leapsはどのように結成されたのですか?
もともと大学に入ったらオリジナルバンドを結成したいと思っていたので、大学生活1年目はメンバー探しも兼ねてバンドサークルに加入し2年目でバンドを結成しました。
メンバー集めの際は、小中と6年間バンドをやってきた経験から「意見が衝突したときに友達だと気まずくなる」ことを知っていたので「バンドをやるための仲間」だと割り切って探すことを意識しました。あと、年下を中心に構成すること。僕が後輩好きというのもありますし、何より自分がリーダーとして皆を引っ張っていくなら、会社のように上下の関係があったほうが変にカドが立たず円滑な関係を築けると思ったんですよね。
また、お互いの得意不得意を補いあえるかどうかも1つの条件で、これはRolloのドラマーである新垣を誘った理由に大きく反映されています。というのも、インディーズバンドとして活動するにはコネがすごく大切なんですが、ドラマーの新垣は色んな所に積極的に自分を売り込みにいけるという強みを持っているんです。僕はそういうのが得意なほうではないので、曲を書く代わりにコネ作りという役割を任せています。
ー結成の段階で色々考えていらっしゃったんですね。大学生活4年間を通してのバンド活動はどのように進める計画だったんですか?
1年目はサークルに入ってバンドメンバーを探し、2年目でバンドを結成。3年目でコネ作りをしながら活動して、4年目は休学しながら活動をする予定でした。先ほども述べた通りバンドにはコネ作りが非常に重要なのでその一年は欠かせなくて、4年計画だとやっとバンドの下準備ができて安定した頃に就活が始まってしまうので、きちんと成果を出すためのもう一年がどうしても欲しかったんですよね。
予期していなかったのは、僕は入会当初はバンドメンバーを見つけたらサークルをやめようと思っていたのに幹事長になってしまって2〜3年目はサークルを続けながらの活動になったことですね(笑)。
あと、ひとまず就活をしよう、という気になったこと。休学中に予想以上に業界の知り合いができて、色んな道が開けたんですよね。ただ単にバンド活動するだけではなく、例えば音楽業界で働くとか、逆に業界の悪い部分も知ったので、音楽業界以外で働くとか。兼業しながら売れていったバンドもたくさんあるし、僕はしっかり地に足をつけた状態で頑張っていきたいですね。
RO69JACKのウェブ投票予選を勝ち抜いた名曲『ミッドナイター』
ー兼業しているバンドがたくさんあるということですが、やはりバンド活動だけで生計を立てるのは難しいという事ですか?
そうですね。そこそこ有名なバンドの人でも、いまだにバイトを続けていたりするくらいなので。そういう厳しい業界で少しでも収益をあげるには、日本だと映像作品がネックだと思います。海外のバンドだとサウンドクラウドのように音源だけの媒体でも拡散されて有名になっていくことが結構あるんですが、日本人は映像がついていないと楽曲を聞いてくれないんです。未だにDVDの売り上げも海外と比べて良いですし。
あとは、物販も意外と売り上げの大部分を占めています。今は物販に別段力を入れているわけではありませんが、いずれはライブで観客を動員し、物販で収益を得られるのが理想です。勿論根底にあるのは収益をあげることではなく「良い楽曲を届けたい」という気持ちですけど。
ー楽曲は石岡さんが作詞作曲を手掛けているということですが、どのようなことを意識して書いているんですか?
僕は、曲の歌詞は「幸せに代表されるポジティブな感情よりも、苦労や苦悩を綴ったほうが共感を得られる」と思っています。自分だけが苦労してきたとは思っていませんが、それなりの苦労はしてきたので「あのときの苦労がなければこの歌詞は書けなかったな」と思うことはよくありますね。
例えば、実際に休学をしてみると、周りは就活をして進路が決まる中、自分だけふわふわとニートみたいな身の上で危機感も感じるわけです。ミッドナイターという曲はそんな休学期間に生まれた楽曲で、RO69JACKで僕らを決勝にまで連れて行ってくれた楽曲でもあるので、思い切って休学を決断して良かったなと思います。
あとは、リスナーによって色々な解釈ができる歌詞を作るようにしています。6割は僕の意図を伝えて、残りの4割はそれぞれの人生観で自由に考えてもらいたい。僕が大事にしているところです。
ー最後に、やりたいことがあっても一歩踏み出せない学生はたくさんいると思います。そんな学生たちに向けてメッセージをお願いします。
僕は小5からずっと将来のバンド活動を構想していたので、自然と何歩か先を見越した考え方が身に着いたんだと思います。だから本格的なバンド活動の前にきちんとコネ作りの時間を設けましたし、そのおかげで実際に休学中に知り合った音楽ディレクターと仲良くなり、良いMVを撮っていただけました。
チャレンジすることは大切ですが、僕が休学という決断に見合った成果を出せたのは、計画をしっかり立てたり、コネづくりなどの下準備をしっかりとした上でチャレンジしたからだと思っています。しっかりした計画と準備をした上でのチャレンジは、きっと皆さんにプラスになるものを与えてくれるはずです!